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◇そばに居る意味
「一週間前の自分」*優月
しおりを挟む「一週間前のオレに、今のオレの気持ち伝える事が出来たとしたらさ」
「…………」
「絶対ぇ信じないと思う……」
玲央が、そんな事を言いながら、クスクス笑う。
「オレがこんな風に思うとか。しかも一週間前に会ったばかりの奴と、とか、絶対ありえねえって思うだろうからさ」
「――――……オレも。一週間前のオレは、絶対信じないと思うよ」
ふと振り返って、玲央と視線が合うと。
二人で、笑ってしまう。
「――――……変だよね……」
「ん。…そーだな。…変だよな」
玲央に体をくるん、と反転させられて。
真正面から抱き寄せられてしまった。
「――――……っ」
ほんとこれ。
……恥ずかしい。
「――――……優月はさあ」
「……ん……?」
玲央の太腿跨いでる形で。玲央を少し見下ろすみたいな。
――――……ベッドの上でも、何回か、したけど。
………うぅー。
玲央が、色気ありすぎて。見上げられると、困るんだよう。
見下ろすの、ドキドキしすぎて。
しかも、顔が近すぎて。
その瞳に、ほんとに吸い込まれそうな気がしてしまう。
「会って、一週間しか経ってないのにって、思ってる?」
「――――………ん?」
もう心臓がバクバクしすぎてるところに、良く分からない質問。
思わず首を傾げた。
どういう意味?
一週間しか経ってないのに、玲央とこんな風になってて、ってこと?
「んーと……うん。まあ… ほんの一週間前とは全然違うって、思う…」
じい、っと見つめられて、そう答えると。
「まだ一週間しか経ってねえし、会ったばかりだから、何でこんな風になってるんだろうって、最初思ってたんだけどさ……」
「うん……」
「オレ、多分、何年居ても、ならねえ奴はこうならないって思って」
「――――……」
「お前だから、こんなになったんだと思うんだよな。……たった一週間で、よくここまでオレん中、どんどん入ってきたよな―って……」
「――――……」
「ほんと、お前、不思議」
「……良い意味?」
玲央が微笑んでくれてるので、もう分かっていたけれど。
聞いてみたら。
「当たり前」
もっと、優しく笑ってくれるから。
ほんとに嬉しくて。
「――――……」
玲央の頬に、ちゅ、とキスしたら。
玲央が一瞬下からマジマジとオレを見つめて。
「――――……今更、ほっぺのキスだけとか……」
「え?」
「……逆に恥ずかしくねえか?」
「…………っ」
そんな風に言われると、急に恥ずかしいし。
もともとホカホカ温まってるのに、余計顔が熱くなる。
くす、と笑った玲央に、唇にキスされて。
「んー。今日は我慢かー…。ほんとは今日の昼の続き、ベッドでめちゃくちゃしたいんだけどなあ……」
「――――……っ」
また急に、恥ずかしいこと言ってるし……。
……でも。
「……オレも……して、ほしい……けど」
「――――……」
え、と言う顔で、玲央がオレを見上げてくる。
……言うところ迄は、頑張って少し耐えたのに、思い切りマジマジ見られて、耐えられず。また真っ赤になってしまった。
「そ、んなに見なくても……っ」
「何、優月、して欲しいの?」
頬を両手で挟まれて、まっすぐ向かい合わされる。
「……っ……だって」
「だって?」
「…………好きだし……」
「オレと、すんのが? オレが?」
「…………」
玲央とするのも。
……玲央も。
全部、好きだし。
「……どっちも好き」
頷くと。
玲央が、めちゃくちゃ嬉しそうに笑う。
ちゅ、と額にキスされて。頬にキスされて。
「――――……は。お前ほんと、可愛いな」
まっすぐに見つめられて、囁かれて。
また完全に、オレは、固まってしまった。
……玲央は本当に、オレを赤くさせるのと、固まらせるのの、天才だと、思うんだよね……。
唇に重なるキスに、瞳を伏せながら。
そんな風に思った。
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