【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

悠里

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◇そばに居る意味

「一緒に過ごす」*優月

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「え。あの……」
「うん?」

 玲央は楽しそうに、面白そうに、オレをじっと見てる。

「……オレが行くから、歌ってくれるの??」
「そのつもりだったんだけど――――……どうせ曲も知らないから、歌っても分かんねえもんな? やめとくか?」

 クッとまた笑い出して。視線を逸らして、そんな風に言う。

「え、やだ。歌って? 今日その歌教えて、覚えるから」
「どうすっかなー。お前遅れたら歌わねーし」

「絶対行くから」
 そう言うと、玲央は、ぷ、と笑って、やっとまっすぐオレを見つめてくれた。

「ん、いーよ……つか、優月、少しは気づいたら? 何で勇紀達はすぐ分かったのに、お前、説明しても分かんねーの? 行った時に終わってたら悲しいって、何だよそれ」

 くしゃ、と髪の毛を撫でられる。

「だってそんな大事な曲歌うのに、オレが関係あるって思わないし。……これは分からなくてしょうがないんじゃ……」
「――――……」

「……オレが行くから歌ってくれるとか、今だって、ほんとに?て思っちゃうよ?」

 そう言って玲央を見上げると。

「あー……。分かった分かった」

 玲央が大きなため息とともに、そう言った。

「……玲央?」
「オレがお前の事、どんだけかわいーと思ってるか、好きか、お前は結局全然分かってないんだなーて事が、分かった」
「――――……」

「オレが、お前の為にとか、浮かびもしないんだろ?」


 苦笑いの玲央。
 そんな事は、ない、と言おうと思ったんだけど――――……。

 特にここ何日か、目の前に居る玲央が、好きって言ってくれるのも、可愛いって可愛がってくれてるのも、分かってるつもりなんだけど……。

 ……そう言われてしまうと、今の話が全然結びつかないのは、
 そういう事なのかも、しれない。


「え……っと。……ごめん、なさい……」

 思わず謝ると、玲央は、苦笑い。


「謝んなくていいけど。……まあいっか。今はそれでもしょうがねえか」
「――――……」

「……時間、一緒に過ごすしかねえよな?」
「――――……」

 時間。一緒に、過ごす。
 ――――……その言葉は、すごく嬉しいかも。

「ずっと一緒に居れば、少しずつでも信じるだろ? オレもそうしてけば今より確信してくだろうし。周りも認めるだろうし。……それでいーかな」

 玲央が話す言葉は。
 ……正直、何となくしか、意味が分からない。

 そんなに簡単にずっと一緒になんて、言い放つ自信は、全然ないし。

 でも、前を見てる言葉は、なんか、嬉しくなる。


 まっすぐな瞳を見てると。
 オレもいつか、何でだろうとか言わずに、玲央とずっと居たいと言えるように、なれたらいいなと思ったりして。


 玲央の事が、やっぱりすごく好きだなあと思ってしまう。






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