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◇そばに居る意味

「ノロケ」*玲央

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 優月に惚れてるのかと考えて。
 3人にあんな風に返されて、少し葛藤。でも結局、だよな、と思った。

 ――――……惚れてるんだと思ったら。
 抱き締めたくてたまらなくなった。
 
 マンションに連れ込んで抱き締めて、キスして――――……。

 昼休みに、一体何してんだか。
 ――――……優月と居ると、ヤバい。 

 気持ちいい事は好きだし。
 そういう対象になる好みのタイプの奴となら、誰としても、わりと気持ち良いし。そう思ってたのに。

 優月を相手にしてると、興奮しすぎてヤバい。


 「中、する」とか。
 最初何言ってるか分かんなかった。言葉が足りな過ぎて。

 ……可愛すぎ。


 慣れてきてはいたのか、痛がらずに、気持ちよさそうにしてるのが可愛くて。あれ以上するのを堪えるのに、もう全理性を総動員。


 ――――……可愛すぎて。
 ヤバかったな……。


 今すぐもう一度家に連れ込んで、思い切り抱きたい。
 ……と思いながらも、仕方なく優月と別れて、授業に来たけど。


 もう授業は始まって、教授の声がする。教室に滑り込んで、後ろの方に固まってる奴らの隣に滑り込む。
 何人かに小声で声をかけられる。

「おーす、玲央」
「元気?」

「ああ。出席取った?」
「まだ。 今日とんねーかもな」
「そっか……」
 
 ――――……優月は間に合ったかな。

 そんな事を思っていたら、隣の奴に話しかけられた。

「玲央、先週これ居なかったよな? 練習だっけ?」
「ん、そー。そこの時間取れなかったって。あ、悪い。みのる、ノート見せて」

 西野 稔にしの みのるも、幼稚園から一緒で、バンドメンバー以外では一番よく話す。勉強とかはマジメな奴なので、ノートを借りるには最適。

「ん、いーよ。写真撮っといて後で写せよ」
「サンキュー」

 スマホを出して、差し出してくれた稔のノートにピントを合わせていると。

「なあ、玲央さー」
「ん?」

「なんか見慣れない奴と最近一緒に居ない?」
「――――……」

 ……優月の事か?

「なんか…こないだも今朝も見かけたんだけど」

 朝なら優月だな。

「ていうか、今朝は玲央が朝居るのが珍しくて、二度見しちゃったんだけど。……なんか大人しそうな奴と居るよな?」

「……大人しそうに見えるか?」
「え、違うの? なんか玲央が一緒に居るタイプじゃなくねえ?」

 写真を撮り終えて、ノートを稔に返す。

「ありがとな」
「ん」


 ……まあ。
 タイプで言ったら違うかも。


「…あいつさー…すげえ可愛いンだよなー……」
「……え???」

 稔が、物凄いびっくりした顔で、オレを見てくる。

「今度見かけたら、よく見てみろよ。可愛いから」
「――――…あ、ああ……ん?男じゃなかった?」

「稔、オレが男も平気なの知ってるだろ」
「いや、知ってるけど……それにしても、普通の奴じゃなかった?お前の相手の男って、すげー派手な顔っつーか、キレイっつーか……」

「まあ……確かに、そうだったんだけど……」
「普通の奴も対象になるの?」
「あ、お前はなんねーから」
「んな事聞いてねーわ」

 呆れたように言う稔に、視線を流しつつ。

「あいつ、普通じゃないから」
「えー? 見た感じ、すげえ普通だったようなー……?」

「すげー可愛くて、ヤバいんだよなー……」
「…………っいやいや、お前がヤバいわ。玲央のノロケとか、恐ろしいし」

 どん引きしてる稔に、苦笑い。


「……はは。そーだな。ヤバいよなー。まあオレもそう思うかも」



 肘をついて、顎をのせる。




 ……でも、マジで、可愛いんだけど。




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