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◇そばに居る意味
「ときめく」*優月
しおりを挟む玲央んちの玄関に入って、靴を脱いだ玲央の後について上がると、荷物を受け取って下に置いてくれた。
すぐに、ぎゅ、と抱き締められた。
「……玲央、ど、したの?」
「優月……」
名前を呼ばれて、ものすごいむぎゅー、と抱き込まれる。
「……はー……すげー、抱き締めたくて……優月……」
「……っ……」
一瞬で真っ赤になったオレを見て。
玲央は、くす、と笑った。
「――――……可愛いな」
………な、何なの。 玲央……。
ふわ、と、急に、体温が上がるような、気分。
ていうか、可愛いの、オレじゃないし。
……玲央だし。
何なのかな、その甘ったるい声……。
「……キス、していい?」
「玲央……」
胸がときめいてどうしようもなくて。
目の前の形の良い唇に、自分からそっとキスした。
「聞かないでよ……オレ絶対、嫌って言わな――――」
言葉の途中で、深く唇を塞がれた。
息もつけない位、激しくキスされる。
「……っん、ん……っ」
う、わ……なんか……すごい、激し……。
「……ん……っふ……」
――――……一生懸命ついていってる間に、
いつの間にか、壁に背を押し付けられて。
めちゃくちゃ深くキスされる。
息がちゃんと出来なくて、早くも空気が足りなくて。
くらくらしてくる。
玲央の指が頬をなぞって、首筋に触れる。
舌が吸われて、びくん、と体が震えた。
「……っん……ふ……」
始めたばかりなのに、急に玲央だけの世界に落とされたみたいな感覚。
ドクンドクン鳴ってる心臓がうるさくて。漏れる息が、熱くて。
「……っれ、お……」
「優月――――……」
「……っぁ……」
かく、と脚の力が抜けて、玲央の体で支えられた。
だめ、なんかもう――――……。
脚の間に入った玲央の脚と壁に支えられて、何だか、浮いてるみたいな感じで、玲央のキスを受ける。
「――――……優月……オレの事、好き?」
「……っ」
真っ白な頭の中で、何を聞かれたのか、少しの間、考える。
……玲央の事、好き?
もう触れてしまいそうな位、近くで。
玲央がオレを見つめてて。
じっと見つめ返して。
「……大好き……」
涙が、潤む。
キスが激しすぎるせいか。
目の前のこの人が、愛しすぎるせいか。
……分かんないけど。
「……オレも――――……お前が好き」
また唇が塞がれて。
何だかやたら、丁寧に、キスされる。
舌を優しく絡められて。
「――――……ん……んん……」
今度は激しくないけど。ゾクゾクしすぎて。
――――……体が、震える。
「れ、お……んん――――……も…」
「……ン?」
「あし、が……」
「立ってられない?」
「……っ……」
うんうん、と頷くと。
もう何度目だろう、また、ひょい、と抱えられて、運ばれて。
寝室のベッドに、座らされた。
こんな、お昼の時間に――――……何でこんなとこで……。
頭の隅で思うけど。
玲央に、触れてほしくて。 触れたくて。
なんかもう――――……。
「…っ玲央、キス、したい……」
「――――……」
玲央の腕に触れて、そう言ったら。
オレを組み敷こうとしてた玲央が一瞬止まって。
ふ、と笑った。
「――――……かぁわいい、お前……」
そっと押し乗ってきた玲央に、ちゅ、と、触れるだけのキスを一度されて。
見つめられてそのまま、深く、口づけられる。
少しも後ろに引けない状態でのキスは、めいっぱい深くて。
「……ん、ふ……っ……」
涙目を薄く開けると、絡んだ玲央の視線が、やたら熱を帯びてて。
ぞくん、と背筋が震える。
玲央の瞳、見ただけで、反応するって。
――――……ほんと、やばいんだけど……。
あっという間に、頭に靄がかかって。
気持ち良い、と、玲央が好き、しか、無くなる。
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