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◇お互いに。
「可愛いな」*優月
しおりを挟む「んー…… 優月結構忙しいのか」
「うーん? 忙しいって程じゃないけど。毎日学校から帰るだけっていうのもつまんないし……だから約束して……」
「――――……今週、全然他の奴と会えてないだろ?」
「……だって、玲央と会ってたから……?」
……何が言いたいんだろう。
「……でもオレ、玲央と会いたかったから……全然いいんだけど。何が言いたいの?」
「――――……んー……」
それきり後ろで、ちょっと黙ってる。
「だってそんな事言ったら、玲央だって、ずっとオレと居てくれたから…… 他の人と会えてないでしょ?」
そう言ったら、玲央はすぐに。
「……オレがお前と居たくて、オレが毎日誘ってたんだし、オレのことはどーでもいいんだよ」
そう言ってくれた。
――――……。
言葉が出なくて。
……なんだかな。
……玲央って。
こんな、見た目で。
……相手が、いっぱいいるとか言って。
……そういうことにめちゃくちゃ慣れてて。
……やらしいこと、めちゃくちゃ、上手で。
カッコイイとか、色っぽいとか、そっちの人だと思うんだけど……。
……なのに、何でたまにこんなに、
……可愛い?…… のかな?……。
この人を、可愛いって思ってるオレが、おかしいのかな?
でも、なんか――――……。
どうしても……そう思ってしまう。
――――……なんだかな。
……ズルいな。 カッコ良すぎなくせにたまに可愛いの。
「――――……なあ、お前、オレのマンションに来る?」
「……ん? え??」
何言ってるのか、よく分からない。
……何て??
……どういう意味?
「ここさ、誰かと会ったり、貸したり、バンドで集まったり、そういうマンションな訳」
「うん……聞いたけど」
「オレがちゃんと住んでるマンションは、ここじゃないンだよ」
「――……うん……?」
「……そっちのマンションに、来る?」
「……行っていいの?」
「……そのまんま、住んでもいいかも……と思って」
「……ん???」
咄嗟に振り返って。
まじまじと、玲央を見つめる。
……玲央は今、何を言っているんだろう??
そう思ってたら。
玲央が、はーと、息をついて、オレの頬に触れた。
「……何言ってんだろ、オレ」
そんな風に言ってる玲央に、思わずぷ、と笑ってしまう。
「――――……ちょうどいま、オレもそう思ってた」
「あ、そ」
玲央もクッと笑って、オレの頬から、首の後ろに手を回した。
そのまま引き寄せられて、キスされる。
「……っ……ん――――……」
深く深く、キスされて。
絡んだ舌をゆっくりと離されて、じっと見つめられる。
「――――………オレ、マジで何言ってんだろ……」
「……玲央?」
「……なあ。今思ってること、一応言っといていいか?」
「……うん?」
じっと、見つめられる。
……綺麗な瞳。
ほんと。整った、顔。
綺麗な、手が、すり、と頬を撫でる。
じっと、見つめ返すと。
玲央はちょっと、眉を寄せた。
「……オレ、ずっと、今週みたいに、しそうでさ」
「うん……?」
「……でも、お前もやることあるし」
「――――……うん……」
「だから、お前がオレんちに暮らせば、帰ったら一緒になるからそれでいいか、って一瞬浮かんだんだけど」
「……ん?――――……え?」
……くらす? 暮らす? ……玲央のうちに、暮らす?
たぶん、ものすごく、間抜けな顔、してたと思う。
そうしたら、玲央がふ、と苦笑いを浮かべて。
「……でもな、優月」
「……うん?」
「いっこ、引っかかることがあってさ」
「……うん……??」
「オレ、人と一緒に住みたいとか、一瞬でも思ったの初めてで。つうか……そもそも、オレんちに人を入れたこと、ないんだよな……」
「――――……」
……誰も連れてったこともないのに。
――――……オレと、暮らすって。言ってんの?
「だから、ほんとに――――…… オレ、何言ってんだろって、今すげえ思ってんだけど……」
じっと玲央を見上げていたけれど。
なんか、すごく困ってるっぽい玲央に。
なんか、胸がきゅ、と痛いくらい。
愛おしくなってしまって。
玲央の首に手を回して、ぎゅ、と抱き付いた。
「……優月?」
「……よく分かんないけど…… 大好き……玲央」
「――――……ごめんな、思ったまま……よくわかんねえで言ってるし。……オレ、今、優月と居ると、オレらしくなさ過ぎて……頭バカんなりそうなんだよな……」
「……ん……そう、なんだ――――……」
頭バカんなりそう、だって。……なにそれ。
こんな。 なんでも知ってそうな人なのに。
やっぱり、可愛く思えてしまって、くす、と笑ってしまう。
「――――……優月……とりあえず……今度、オレん家、行こうな?」
「初めて入るの? オレ」
「家族以外ではな」
「うん……連れてってくれるなら、行く」
「連れてく。いいよ、そのまま、泊って」
そんな風に言って、頬にキスしてくる。
「――――……玲央って……」
「……ん?」
「……そんなに、オレと……居たいの??」
思わず直球で聞いたら。
「……つかオレ、ずっと居たいって言ってるよな?」
直球で返ってきて。
「――――……」
あんまりにまっすぐ見つめられて言われると、一気に恥ずかしくなって……かあっと、赤くなってしまった。
「……また赤くなる……つか、今聞いたのお前じゃんか」
ぶに、と頬をつままれて。
そのまま、引き寄せられて、キスされる。
「……なんなの、お前……可愛すぎなんだけど……」
ちゅ、ちゅ、と色んなとこにキスされて。
くすぐったがってる間に、唇を塞がれて。
めちゃくちゃ深く、キス、された。
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