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◇お互いに。
「可愛いとしか」*玲央
しおりを挟む――――……寝た?
マッサージをしてやって、リンスを流してやってる内に、優月からふ、と力が抜けたような感じがして。
じ、と見下ろして。頬に触れると。反応、無し。
「――――………」
――――……ほんとに、寝た。
無邪気な寝顔を見てると。
ふ、と 笑ってしまう。
ほんと可愛い。と思ってしまう。
とりあえず、自分の髪を洗う事にして。
優月がずり落ちて行かないように気にしながら、洗い終えた。
……スヤスヤ寝すぎ……。
――――……どうすっかなー……。
無邪気な寝顔をしばらく眺めていて。
まあ、いっか。起きるまで。そう思った。
バスタブに入り、後ろから優月を支えた形で、湯につかる。
「――――……」
……は。可愛い。
後ろから、ぎゅ、と抱き締めて、なんとなく、優月の手に触れて指をさする。
――――……勇紀とか甲斐とか……颯也もか。
……こんな事してるのバレたら、一体何て言われるか。どんな顔されるか。
ふと、そんな考えが浮かんで、苦笑い。
ぬるいお湯にゆっくりつかって、優月を抱いたまま。
鼻歌なんて歌い出す。
「――――……」
先週の金曜に知り合って。
月曜に約束して。そこから毎晩。
……毎晩というか。夜だけじゃなくて、昼にも連絡したり。……授業の途中で呼び出したり。
あいつらにも、誰か分かんねえとか言われ。
――――……普段やらない事に、散々突っ込まれ。
自分でも、ほんと、何やってンだろうと、思ってしまう。
……けれど。
優月の頭を、左肩に寄りかからせて、後ろからのぞき込む。
自然と、微笑んでしまう。
自分でだって、正直、よく分からない。
優月が、ぴくん、と動いた。
オレが触れていた手を、ぼーっと見つめて。
くる、と後ろを振り返ってきた。
「……れお?」
状況がよく分かってないらしい。何も言わず、じっとオレの顔を見つめて。
数秒後、やっと認識したらしく、がば、と起き上がろうとした――――…けれど、後ろから抱き締めて、止めた。
「……このままでいいよ」
「……オレ、寝ちゃった、んだよね?」
「ん、少しだけな?」
「――――ごめんね?」
「全然。だめだったら起こしてるし」
「――――……ありがと」
くる、と振り返ってきて、オレをじっと見上げて。
ちゅ、と頬にキスしてくる。
……は。
……可愛いな……ほんと。
「優月、こっち、向いて」
「……ん?」
腕を掴んで、向きをかえさせて、オレの上に優月を座らせた。
「――――……これ…ちょっと、っていうかすごく、恥ずかしい、かも……」
少し引き気味の優月を、きつく抱きしめる。
「―――――……なんか……すごい密着……」
そんな風に恥ずかしそうに言う優月に。
唇を重ねる。
「――――……ン……」
一度キスを少しだけ外して。
指で、優月の下唇のすぐ下に触れる。
「――――……舌だして」
「……っ……」
言われた言葉に、優月が、かあっと、赤くなる。
けれど言われるままに、舌を少し出してくる。
その舌を絡め取って、口内に引き込む。
「――――……っん、ふ、ぁ……」
そのまま長いキスをしていると、優月が、ぎゅ、と瞳を伏せた。
「……ぅ、ん……っ……ン」
「――――……吸うの、好き?」
舌を舐めて、ちゅ、と噛むと。
んん、と声を出して、震える。
「ん……好き……」
舌が離れない位に、小さく頷く優月。
「オレ――――……お前とキスすんの、すげえ好き」
「――――……っ……オレも……」
そろ、と手が後ろに回って、きゅ、と抱き付かれる。
――――……何で、自分がこんなになってるか、正直よく、分からない。
でも。
優月を見てると。今まで感じた事がない位。
可愛いとしか、想えないのは、確か。
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