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◇進展?

「難しすぎ」*優月

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「……誰から?」

 玲央に聞かれてしまった。

「え? ……あ。 えーと、蒼くんって言って……絵の先生の息子さん。ていうか、蒼くんも先生みたいなものなんだけど……」
「…それ、昨日も一緒に居た奴?」
「あ、うん。そう」

「――――……仲いいの?」
「んー7才から知ってるからね。ほんとのお兄ちゃん、みたいかなあ。いっつもからかわれてるだけな気もするけど」

 ほんと、ひたすらからかわれている……。
 ふー。やれやれだよ、ほんとに。


 椅子に座って、水で、口を潤した。

 そうだ。蒼くんの話なんかより、玲央とまだ話してる事があった。


「…それよりさ、さっきの話なんだけどさ」
「――――…ん?」

「…オレは、玲央が居てくれる間は、玲央としかしないよ…?」
「――――…」

「ていうかさ、オレ、玲央でいっぱいいっぱいなのに、他の人に行く余裕なんて、ないし……」 

 ほんとに、玲央が言ってる事が、全然意味が分からない。
 オレが、玲央以外と、する訳ないじゃん。できる訳、無いじゃん。もう。
 ついつい、文句っぽい言い方になってしまう。

 でも、玲央は、怒ると言うよりは、少し、嬉しそうになってて。
 …なんでだろ。


「…優月」
「…ん? 何?」


「早く食べて」
「…え? うん。食べるよ?…ていうか、オレもう、結構食べたんだけど…」


 なんで改めて、早く食べて、なんだろう。
 玲央を見つめて、首を傾げていると。


「――――…触りたいから。早く食べ終わって」
「――――……っ」



 ――――……だから。
 そういうのに、慣れてないから。 やめてほしいんだけど。

 触りたいって。
 ――――……オレも、触ってほしいから。
 そんな風に、言われると、なんか――――……。


「……あのさ、玲央」
「ん?」

「………こっち、来て?」
「――――…」

 玲央が、ん?という顔をして、じっと見つめてくる。

「ここに居る時いっつも、隣座ってるから……なんか、遠い」

 ちょっと、寂しくなってしまう。 
 それくらい、玲央はいつも、すぐ触れられる位隣に居てくれる気がする。いつもっていっても。 3日目、なんだけど。

 たかが3日で。
 今まで過ごした誰よりも、ものすごい近くに居る、玲央。

 ――――……体的にも、気持ち的にも、密着度合いが、半端なさ過ぎて、
 なんだか、色々冷静に考えられない位で。

 先週の金曜に玲央に会ったから……。
 木曜までのオレとは、考えてる事が、全部、違う。

 頭の中、玲央の事ばっかり。 やばい、くらい。
 

「もう、食べなくていい? 良いなら、そっち行く」

 そう聞かれて、顔を上げて、玲央を見つめる。

 来たら触る、て、言われてるのかな。
 ――――……視線がまっすぐすぎて、熱くなる。


「……こ、れだけ食べちゃう」

 お皿に取った食事だけ、食べきってしまおうと思って。
 ――――……そう言ったら。


「じゃ食べ終わってから行く。オレ隣に行ったら絶対触るし」

 はっきりと、そう言われると、ますます恥ずかしいし。


 そうだ。 
 夕方から、ずっと気になってた事。
 触られたらもう聞けなそうなので、聞いておこうと、思った。

「……玲央、聞きたい事があって」
「ん、いーよ……なに?」

「……オレとのセフレ、もう一回考えるって言ったのってさ」
「ん」
「……あれってどういう意味?」
「――――……」

「……別にオレ、それだけがしたくて、玲央と居たいって言ってるんじゃない……よ? 玲央、他の人にも、ムカつきながら、セフレ何人も居るの……?」
「――――……」

 玲央が、また、複雑な顔で、黙ってしまった。
 ――――……玲央の反応だけ、見てると。


 オレが玲央だけなのが、嬉しいと思ってくれて。

 玲央もオレだけにしてって。 オレに言わせたいみたい、に見えるけど。


 ――――……そんな訳、ないよね……。
 でもだったら、何なんだろう。
 何だか、難しくて、よく、分からない。



「――――……やっぱり、オレはセフレにも、なれない?って事?」
「――――……は?………ん? どーいう意味?」

「……だって、オレ、よく考えたら……まだ玲央としてないし。 なのにセフレにしてとか……おかしな事言っちゃってるし……」
「――――……」


「他の人にはムカつかないなら、そこが違うの??」
「――――……」


 だから、オレと、セフレは、ムカつくの?
 してないのに、セフレとか言っちゃってるから……?
 してないくせに、それだけがしたい、みたいに思えるから??


 んー……。
 ……何だか、よく、分からないな。



 普通の恋愛だって未経験で、普通の事だって分からないのに。


 ――――……難しすぎだー……。






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