94 / 838
◇進展?
「難しすぎ」*優月
しおりを挟む「……誰から?」
玲央に聞かれてしまった。
「え? ……あ。 えーと、蒼くんって言って……絵の先生の息子さん。ていうか、蒼くんも先生みたいなものなんだけど……」
「…それ、昨日も一緒に居た奴?」
「あ、うん。そう」
「――――……仲いいの?」
「んー7才から知ってるからね。ほんとのお兄ちゃん、みたいかなあ。いっつもからかわれてるだけな気もするけど」
ほんと、ひたすらからかわれている……。
ふー。やれやれだよ、ほんとに。
椅子に座って、水で、口を潤した。
そうだ。蒼くんの話なんかより、玲央とまだ話してる事があった。
「…それよりさ、さっきの話なんだけどさ」
「――――…ん?」
「…オレは、玲央が居てくれる間は、玲央としかしないよ…?」
「――――…」
「ていうかさ、オレ、玲央でいっぱいいっぱいなのに、他の人に行く余裕なんて、ないし……」
ほんとに、玲央が言ってる事が、全然意味が分からない。
オレが、玲央以外と、する訳ないじゃん。できる訳、無いじゃん。もう。
ついつい、文句っぽい言い方になってしまう。
でも、玲央は、怒ると言うよりは、少し、嬉しそうになってて。
…なんでだろ。
「…優月」
「…ん? 何?」
「早く食べて」
「…え? うん。食べるよ?…ていうか、オレもう、結構食べたんだけど…」
なんで改めて、早く食べて、なんだろう。
玲央を見つめて、首を傾げていると。
「――――…触りたいから。早く食べ終わって」
「――――……っ」
――――……だから。
そういうのに、慣れてないから。 やめてほしいんだけど。
触りたいって。
――――……オレも、触ってほしいから。
そんな風に、言われると、なんか――――……。
「……あのさ、玲央」
「ん?」
「………こっち、来て?」
「――――…」
玲央が、ん?という顔をして、じっと見つめてくる。
「ここに居る時いっつも、隣座ってるから……なんか、遠い」
ちょっと、寂しくなってしまう。
それくらい、玲央はいつも、すぐ触れられる位隣に居てくれる気がする。いつもっていっても。 3日目、なんだけど。
たかが3日で。
今まで過ごした誰よりも、ものすごい近くに居る、玲央。
――――……体的にも、気持ち的にも、密着度合いが、半端なさ過ぎて、
なんだか、色々冷静に考えられない位で。
先週の金曜に玲央に会ったから……。
木曜までのオレとは、考えてる事が、全部、違う。
頭の中、玲央の事ばっかり。 やばい、くらい。
「もう、食べなくていい? 良いなら、そっち行く」
そう聞かれて、顔を上げて、玲央を見つめる。
来たら触る、て、言われてるのかな。
――――……視線がまっすぐすぎて、熱くなる。
「……こ、れだけ食べちゃう」
お皿に取った食事だけ、食べきってしまおうと思って。
――――……そう言ったら。
「じゃ食べ終わってから行く。オレ隣に行ったら絶対触るし」
はっきりと、そう言われると、ますます恥ずかしいし。
そうだ。
夕方から、ずっと気になってた事。
触られたらもう聞けなそうなので、聞いておこうと、思った。
「……玲央、聞きたい事があって」
「ん、いーよ……なに?」
「……オレとのセフレ、もう一回考えるって言ったのってさ」
「ん」
「……あれってどういう意味?」
「――――……」
「……別にオレ、それだけがしたくて、玲央と居たいって言ってるんじゃない……よ? 玲央、他の人にも、ムカつきながら、セフレ何人も居るの……?」
「――――……」
玲央が、また、複雑な顔で、黙ってしまった。
――――……玲央の反応だけ、見てると。
オレが玲央だけなのが、嬉しいと思ってくれて。
玲央もオレだけにしてって。 オレに言わせたいみたい、に見えるけど。
――――……そんな訳、ないよね……。
でもだったら、何なんだろう。
何だか、難しくて、よく、分からない。
「――――……やっぱり、オレはセフレにも、なれない?って事?」
「――――……は?………ん? どーいう意味?」
「……だって、オレ、よく考えたら……まだ玲央としてないし。 なのにセフレにしてとか……おかしな事言っちゃってるし……」
「――――……」
「他の人にはムカつかないなら、そこが違うの??」
「――――……」
だから、オレと、セフレは、ムカつくの?
してないのに、セフレとか言っちゃってるから……?
してないくせに、それだけがしたい、みたいに思えるから??
んー……。
……何だか、よく、分からないな。
普通の恋愛だって未経験で、普通の事だって分からないのに。
――――……難しすぎだー……。
404
お気に入りに追加
5,432
あなたにおすすめの小説
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿
【Stay with me】 -義理の弟と恋愛なんて、無理なのに-
悠里
BL
高3の時、義理の弟に告白された。
拒否して、1人暮らしで逃げたのに。2年後、弟が現れて言ったのは「あれは勘違いだった。兄弟としてやり直したい」というセリフ。
逃げたのは、嫌いだったからじゃない。ただどうしても受け入れられなかっただけ。
兄弟に戻るために一緒に暮らし始めたのに。どんどん、想いが溢れていく。
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。

狂わせたのは君なのに
白兪
BL
ガベラは10歳の時に前世の記憶を思い出した。ここはゲームの世界で自分は悪役令息だということを。ゲームではガベラは主人公ランを悪漢を雇って襲わせ、そして断罪される。しかし、ガベラはそんなこと望んでいないし、罰せられるのも嫌である。なんとかしてこの運命を変えたい。その行動が彼を狂わすことになるとは知らずに。
完結保証
番外編あり

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる