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◇進展?
「玲央が大好き」*優月
しおりを挟む自分で言ったセリフにまた迷って、悩みまくっていると。
「――――……なあ、優月?」
「……うん?」
「……オレ、お前の事、すげえ可愛いなと、思ってる訳」
急にそんな風に言って、まっすぐ見つめてくれる玲央。
それは、ほんとに素直に、嬉しい。
「――――……隣に座ったら、すぐ触りたくなるからって離れてるとか…… そんなに触りたいって思ってるのも、今迄あんまり無いわけ」
「――――……」
「……オレお前にはすげえキスしてるけど。キスも、普段そんなしてないし」
「――――……」
え。そうなの? ……普段キス、しないの?
……何で、オレにはしてくれるの?
「ベッドに2日も過ごして、最後までしてないなんて、ほんとなら、ありえない。ていうか1日でもありえねえし。しかもそれが、めちゃくちゃ慣らしてからにしたいからとか、正直自分でもよく分かんない訳」
「――――……」
……それは多分…… オレが初めてだし、男だし。
玲央が優しいから、言ってくれただけなんじゃないのかな……。
「……あと、他人と寝るの好きじゃねえから、他のセフレはほとんど泊まらないで帰ってた。けど、お前を帰す気にならないし」
「――――……」
――――……他人と寝るの、好きじゃないの? ……知らなかった。
ていうか、他の人が泊ってないって、結構衝撃のセリフなんだけど……。
どうしよう……オレ、今日で、もう、3日目、なんだけど。
オレが寝ちゃったから、仕方なく泊めてくれてたり……?
あれ、でも帰す気にならないって事は……居ても良かったのかな?
なんだか、色んな事が頭の中でぐるぐる回る。
「3日も続けてこんな風に会うのも、すげえ珍しいし。しかも、待ってたり、迎えに行ったり。……そんなのも、あんま、した記憶ねえし」
「……っ……」
――――……なんか。玲央。
言ってること――――……変だよね……?
「……ちょ……、と…… 待って?」
顔が、知らない間に、熱を持ってる。手の甲で唇を押さえて、少し、耐える。
「……何か……オレの事が……すごく好き、みたいに聞こえるんだけど……」
なんか、オレだけ特別って言ってるように聞こえてしまって、そう言ってしまったけれど。言葉に出してしまったら、ものすごい自惚れな気がして。余計熱くなってしまう。
もう。オレ何言っちゃってんだろ。
なんか。もう――――…… 全然分かんなくなってきた。
オレ、いっぱいいっぱい過ぎ……。
「――――……だから……」
椅子から立ち上がった玲央が、そばに立って。
ぐい、と顔を上げさせられる。
「――――……オレ、お前の事、好きって、言ったよな?」
「――――……」
じ、と見つめられると。
ずきん、と胸の奥が、痛すぎる。
好き、だから――――……全部……特別にしてくれてるって、こと?
これ、勘違い……とかじゃない、のかな。
玲央、なにか、違う意味で、言ってる……??
「――――……話、なかなか、かみあわねえからまた続き、明日で」
「……?」
続き、明日?
「ベッドいこ」
言われて、手を引かれて。
内心、心臓が飛び出そうになりながら、玲央についていく。
後ろ姿、だけでも、ほんとカッコいいなあ……なんて思ってしまう。
掴んできてる手、熱く感じて。嫌でもドキドキする。
ベッドに座らされて、玲央が部屋の小さな電気をつけるのを見つめて。
戻ってきた玲央に、ベッドに倒された。完全に上に押し乗られて。
真上の玲央が、じっと見つめてくる。
「―――……どんだけ好きか、教えてやるから」
「――――……っ……」
言われて一言で、心臓が、どくん、と鳴って。
そのまま、鼓動がうるさすぎて、顔が熱くて、自然と涙が滲んできた。
なに、どんだけ好きか、教えてやるって……。
そんなに、オレのこと、好きでいてくれてるのかなと……思ってしまうけど。
……それとも――――……。
こういうこと、する時は…… 誰にでも、言うのかな……。
……もしかしたら、そうなのかも、とも思う。
玲央みたいな人が、オレだけが好き、みたいな――――……。
そんな妄想を、自分の中で確立してしまうのは、ちょっと、怖い。
でも。
それは、怖いけど。
「……れお……」
重なってきたキスの間で、思わず、名を呼んだ。
くす、と笑った玲央が、「……ん?」と優しく聞き返してくれる。
玲央の気持は――――…… よく分かんないけど。
でも、オレは。
「――――……だいすき」
オレの気持は、もう、分かってる。
そう言ったら、少し顔を離されて、真正面から見つめられて。
ふ、と微笑まれた。
「……それいっぱい言ってて。―――……すげえ、可愛がってやるから」
組み敷かれて、見上げる玲央は――――……。
熱っぽくて。声も、囁くようなそれは、色っぽくて。
まだ触れるキスしかしてなのいに。
ぞくぞく、して。
体の奥から、一気に熱くなる。
「――――……言わなくても、可愛がるけど……」
クスクス笑いながら、何度か、重なるだけのキス。
バスローブの上から、ただ触れられてるだけなのに、どんどん、呼吸が、早く、なって。
「――――……心臓の音、すげえな……」
優しく笑んで、玲央がじっと見つめてくる。見つめあったまま、軽い、キス。触れ合わせるだけの――――……。
そのまま、頬にキスして、頬や、首筋に軽く、キス。
「……――――……ふ……」
くすぐったくて、首を竦めたら、手首をとられて、軽く抑えられて。
ゆっくりと、唇が重なる。重なって。離れて、また、角度変えて、触れてくる。
……何で…… そんな軽いキスばっかりするんだろ……?
……息が、できない位の、キス――――…… してほしいって……。
――――…… 思って、しまう。
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