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◇進展?

「照れ」*優月

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 玲央が、わざわざ教室ま来てくれて。
 ――――……色々、伝えてくれて。
 セフレ、についてはもう一回考えるって、言ってたけど。

 可愛いとか好きとかも、言ってくれるって。
 オレも、好きだったら言って良いって、言ってくれて。

 嬉しすぎて、ふわふわ浮いてるみたいな気持ちの中、今夜も一緒に過ごしてくれる事が決まった。オレの家にもついて来てくれるって。

 そんなの付き合ってもらっていいのかな?と思ったけれど、良いって言ってくれた。

 一緒に練習している場所に連れてこられて、たった今、目の前で、演奏中。


 こんなに近くで、バンドの演奏聞いたの、初めて。
 正直なとこ、初めて生でこういうのを見るので、他とは比べられない。

 オレ的には、すごいなーすごすぎだなー、という感想しかない。

 でもって…――――……。
 玲央が、カッコ良すぎて、ヤバい。


 歌、うまい。それはすごく分かる。
 玲央の声が、好き過ぎなオレにとっては……ほんと、ヤバい。

 男なのに、あまりにうっとりしてたら、きもち悪いかなと思ってしまうけど。視線が逸らせないまま。3曲の演奏が終わって。
 拍手すべき?と思ったけど、曲が終わってすぐ、普通に話し始めてしまったので、できないまま。

 手に握り締めたままだったペットボトルを開けて、カフェオレを口に含んだ。喉、なんだかすごく、乾いてた。

 ――――……なんか。

 やっぱりオレ、何で玲央と、キスしたりしてんだろ。
 何でオレ、ここで、こんなキラキラしてる人の事、待ってるんだろう??

 何でこんなカッコいい人が、オレの事、好きって言うのかな?

 ……本当に、謎。



「……優月?」

 悩んでたら、いつのまにか、玲央が近くに来てて、少し不思議そうな顔で、隣に座った。


「どした?」

 ううん、と、首を振って。


「……めちゃくちゃ、カッコよかったよ?」
「――――……」

 そう言ったら。玲央が、一瞬黙って。
 マジマジと、見つめてきて。それから、ふ、と視線を逸らされる。


「……マジで――――……意味わかんねえなー」
「え??」

 玲央が目の前で、前髪を掻き上げて、そこで止まる。
 そのまま、斜めに見下ろされて。


「玲央?」

 不意に、玲央の手が首の後ろに置かれて、引き寄せられて、キスされた。


「……!」

 びっくりしすぎて、唇を離した玲央を、マジマジと見上げる。
 だって、絶対、見えるし――――……。


「そんなとこでいちゃつくな」

 背の高い人から、すかさずツッコミが入る。


「はは。優月の顔……玲央と違って見られるのなんて慣れてないんだから、やめてあげたら?」

 勇紀のセリフ。もう1人の人は、ふ、と苦笑いで息をついてるだけ。



 ――――……こういうの、日常茶飯事なのかな……。

 世界の違いにやっぱりちょっとクラクラしながら。


 なんでか急にキスしてきた玲央は。
 オレに顔を寄せて、向こうの3人には聞こえないように、囁くみたいな声で。

「……誰かに見られて照れるとか、初なのにさ」
「え?」

「――――……めちゃくちゃかっこよかったとか、まっすぐ言われるとさ…」
「――――……」

 
「……すげえ恥ずいんだけど。……何これ?」


 照れ隠しなのか、む、とした顔をして、オレの頬をつまんでくる。



 え。

 何。

 玲央って、オレに、見られてると、照れるの?



 思った瞬間。
 ぼっ、と赤面。


「……だからー……そういう顔、すんなっつの……」

 ほんとにもー、とぶつぶつ言いながら。
 すりすりと、頬を撫でてくる。


「顔、あっつ……」

 クスクス優しく笑った玲央が、オレの持ってたペットボトルを手に取って、頬に当ててくる。


「ちょっとは冷えるか?」
「うー、もうぬるい……」

 オレがそう言うと、玲央はぷ、と笑って頭をくしゃくしゃ撫でてくる。

 

「ほら玲央、イチャイチャしてないで続きやるよー」


「ああ。 ……じゃな、優月。待ってて」


 頷くと、見惚れる位、カッコよく笑って、玲央が歩いて行った。





 もう。ほんとに。
 ドキドキが、すごいんですけど……。




 何で、オレと、居てくれるんだろって、思うんだけど――――…。


 ――――……玲央って……オレに見られると、照れるんだ。


 と思うと。

 ……なんか。玲央が言ってくれている通り。
 好きって思ってくれてるのかなとは、思って。


 何だか、ふわ、と気持ちがあったかくなる感じで。嬉しかった。



 

 
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