【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

悠里

文字の大きさ
上 下
70 / 838
◇気持ち

「イケメンの子」*優月

しおりを挟む

  
 玲央の事ばかり考えたまま、2限を終えた。
 
 皆と話してて、服装とか髪形とかって、結構ちゃんと見られてるんだなーと、驚く。歩いてて会った友達にも、同じような事を言われた。

 オレ普段、外見を、気にしなさすぎかも……。
 変じゃない程度の服を、一応、着てればいいやと思ってた……。

 あんまり今日の服が似合うとか言われると、いつも着てるのが似合わないのかと思って、少し可笑しくなってしまう。

 スマホを開いて、玲央に、洋服のお礼を入れておいた。
 あんまり似合うって言われるから、伝えておこうと思って。

 それと一緒に、昨日の昼に食堂から逃げ帰ったオレを心配してくれてたらしい美咲と智也からの連絡に、「遅くなってごめんね、大丈夫、また今度話すね」と、返信しておいた。


 2限、ほとんど授業に集中できてなかったけど。
 とりあえず、残りの授業は頑張って出ようと、気合を入れつつ。

 ――――……お昼どうしようかなあ。

 クロにゆっくり会えてないんだよなー……思いながら、どうしようか考えていた時、前方から智也の姿。

「あ、優月」
「智也。 あ、ごめんね、返信遅くなって」

 昨日の夜の連絡に、翌日の昼前に返すなんて、普段は無い。
 心配かけたかなと思って、謝ると。

「大丈夫。なあ、お前、今日昼どーする?」
「特に約束はしてないんだけど……今日はクロの所で食べようかなーと思って」

「そっか。……なあ、オレ今さっき、神月と少し話したよ」
「そうなんだ? 何話したの?」

「……何をって程じゃねーかな。優月の事少し……あーでも、ちょっと余計なこと言ったかも、オレ」

 そんな風に言い出した智也を見上げて。
 すぐに、ふ、と笑ってしまう。

「大丈夫だよ。智也が言う事で、余計な事とか、きっと無いから」
「んー、でもなんか、神月に何か突っ込まれたらごめんな」

 クスクス笑って智也が言うので、大丈夫、と笑って返す。

「なあ、優月」
「ん?」

「また近々夕飯たべにいこ。美咲も誘って」
「うん。……あのさ、美咲、平気?」

「ああ、まあ……心配はしてるけど――――……まあ、美咲が優月を心配するのは、いつもの事だろ。大丈夫」

 笑う智也に、少し後、ふ、と笑って頷く。
 少し話して、智也と別れて、いつものコンビニに向かった。


「こんにちはー」

 言うと、コンビニのおばちゃん達が、オレを見て、あれ、という表情を浮かべた。

「優月くん、何? オシャレしちゃって。デート?」
「あー……あはは。違いますけど」

 何となく、さすが、と思ってしまう。
 一目で、突っ込まれた。

「今日って、クロもう缶詰食べました?」
「まだよー、優月くん来るかなーと思って」
「あ。良かった」

 自分の食事を選んだ後、猫缶の所に行って、1つ選ぶ。その隣に、玲央が買ってきてくれたおやつが掛かっていた。

 これも買ってこ……。
 何となく、微笑んでしまいながら、レジに行くと。


「そう言えばこないだ、優月くんのお友達かな。すっごいイケメンの子がこのおやつ買って行ったのよ。聞かれたから、これを教えてあげたの」
「あ、はい……」

 玲央だ。 すっごい、イケメンの子……。
 ……何だか、クスッと笑ってしまう。

「居なくなってから、2人で大騒ぎしちゃったわよね」
「そうそう」

 楽しそうな2人に、オレは何となくその様を想像して、クスクス笑った。

「分かります……カッコ良すぎですよね」
「あら、優月くんもそう思う?」
「誰でも思うんじゃないかなーって思います」
 
 答えると、2人は、うんうん、と頷いてる。
 レジを終えて、2人に挨拶しながら、コンビニの出口に足を向ける。


 すっごい、イケメンの子、だって。

 うんうん。分かる。
 ほんと、近くで見ても、めっちゃ整ってて、非の打ち所が無いというか。全部カッコイイもんなあ……。


 なんて思いながら、自動ドアを出た瞬間。
 目の前を通り過ぎて行った人が、こちらにふと視線を向けてきて。


「――――……」


 なんか、嘘みたいなタイミング。
 目が合った、その人は――――……玲央、だった。




しおりを挟む
感想 791

あなたにおすすめの小説

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります。 ※(3/14)ストック更新終わりました!幕間を挟みます。また本筋練り終わりましたら再開します。待っててくださいね♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

別れの夜に

大島Q太
BL
不義理な恋人を待つことに疲れた青年が、その恋人との別れを決意する。しかし、その別れは思わぬ方向へ。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

もう人気者とは付き合っていられません

花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。 モテるのは当然だ。でも――。 『たまには二人だけで過ごしたい』 そう願うのは、贅沢なのだろうか。 いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。 「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。 ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。 生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。 ※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

学園の俺様と、辺境地の僕

そらうみ
BL
この国の三大貴族の一つであるルーン・ホワイトが、何故か僕に構ってくる。学園生活を平穏に過ごしたいだけなのに、ルーンのせいで僕は皆の注目の的となってしまった。卒業すれば関わることもなくなるのに、ルーンは一体…何を考えているんだ? 【全12話になります。よろしくお願いします。】

処理中です...