58 / 825
◇2人の関係
「最後まで?」*優月
しおりを挟むペッドボトルの水を渡されて。
飲み終えた所で、寝室に連れてこられた。
「――――……オレの好きにしていい?」
「……何で、聞くの?」
……さっきあんなに、色々したのに。
「……んー。ベッド来ると、怖気づいたりしないかと思って」
そんな玲央の気遣いに、こんな時なのに少し笑ってしまう。
「大丈夫……」
「それは良かった」
ふ、と笑って、ベットの上に玲央が座って。
引かれて、玲央の上に、向かい合って座らされる。
少しだけ、下にある玲央の顔。
うなじに回った手に引き寄せられて、キスが、重なる。
「……玲央?」
「ん?」
「……今日は、最後まで、する、よね?」
「――――……何で?」
「……何でって……心の準備しようと思って……」
さっき、後ろ、触られたし。
……中洗ったし。……そういう事、だよね?
昨日はいっぱいいっぱいなまま進んで、最後がどうとか考えてる余裕はなかったけど。……てか、今日も余裕がある訳じゃないけど、昨日しないで終わらせてもらったっていう、それが何だか……。
「んー……」
じいっと、見つめられる。
「――――……心の準備、ね……」
クス、と笑う、玲央。
優しい笑い方に、何も言えず、ただ見つめ返していると。
かなり長い沈黙の後、玲央が、ふ、と息をついた。
「……オレさあ……そんな急いでしたくないんだよな」
「……?」
「せっかく何もかも初めてなんだし。めちゃくちゃ丁寧に、体開発したいの。……意味わかる?」
「かいは……つ……?」
楽しそうに瞳を緩ませて、そんな事を言って見つめてくる玲央に。
開発って言葉をちゃんと頭で認識した瞬間、かあっと熱くなる。
「確かに、めちゃくちゃに抱きたいって思う時もあるんだけど……」
「……っ……」
玲央の目が、妖しく、緩む。
絶対何か、恥ずかしい事、言う気だ、この人……っ……。
目をつむって、耳を塞ぎたい気分だけれど、
敵わないまま、玲央のまっすぐな瞳を見つめ返すしかないまま。
「いっこずつ丁寧に覚えさせて――――……体全部、オレのにしたい」
「――――……っ……っ」
……なんか。
…………恥ずかしくて、死ぬかも……。
「はは。 真っ赤……」
笑う玲央が、そっと頬に触れる。
「めちゃくちゃ、熱いな」
頬にキスされて、ぺろ、と舐められる。
「……っ」
びく、と震えたら。玲央が、ふ、と笑って。
頬から耳に、するりと指を滑らす。
「オレが、どこ触っても、気持ちよくなるように、したいんだけど……」
「……っ」
「いい?」
……いい?って――――……。
……っそんなの……。
「っこれ以上……」
「ん?」
「これ以上は、なんない、と思うけど……」
「……ん?」
「オレ、今も……そうだから……」
今だって、もう、
玲央が触るとこ、全部、ゾクゾクするから。
「――――……あぁ。 今も、オレが触ると気持ちいいってこと?」
「…………っ」
頷くと。
玲央は、くっと笑って。
「……もっとな。気持ちいいって泣くくらい」
「……っ……」
……もう無理。
玲央の肩に額を押し付けて、沈み込む。
「優月?」
笑いを含んだ声で、名を呼ばれる。
「――――……わっ……」
顔を上げられないでいたら、ふわ、と体が浮いて。
かと思ったら、背が枕に沈んで。自分の体勢に気づいた時には、上に居る玲央を、見上げていた。
「……だから、今日は、それの心の準備はしなくていいけど」
「――――……っ……」
「気持ちいい事、いっぱい覚えろよ」
くすくす笑う玲央に、息を飲んでると。
顔の横に玲央の手がついて。
ドキドキして、動けないまま。 唇に、深く深く、キスされた。
295
お気に入りに追加
5,207
あなたにおすすめの小説
そばにいてほしい。
15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。
そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。
──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。
幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け
安心してください、ハピエンです。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
浮気されてもそばにいたいと頑張ったけど限界でした
雨宮里玖
BL
大学の飲み会から帰宅したら、ルームシェアしている恋人の遠堂の部屋から聞こえる艶かしい声。これは浮気だと思ったが、遠堂に捨てられるまでは一緒にいたいと紀平はその行為に目をつぶる——。
遠堂(21)大学生。紀平と同級生。幼馴染。
紀平(20)大学生。
宮内(21)紀平の大学の同級生。
環 (22)遠堂のバイト先の友人。
こっそりバウムクーヘンエンド小説を投稿したら相手に見つかって押し倒されてた件
神崎 ルナ
BL
バウムクーヘンエンド――片想いの相手の結婚式に招待されて引き出物のバウムクーヘンを手に失恋に浸るという、所謂アンハッピーエンド。
僕の幼なじみは天然が入ったぽんやりしたタイプでずっと目が離せなかった。
だけどその笑顔を見ていると自然と僕も口角が上がり。
子供の頃に勢いに任せて『光くん、好きっ!!』と言ってしまったのは黒歴史だが、そのすぐ後に白詰草の指輪を持って来て『うん、およめさんになってね』と来たのは反則だろう。
ぽやぽやした光のことだから、きっとよく意味が分かってなかったに違いない。
指輪も、僕の左手の中指に収めていたし。
あれから10年近く。
ずっと仲が良い幼なじみの範疇に留まる僕たちの関係は決して崩してはならない。
だけど想いを隠すのは苦しくて――。
こっそりとある小説サイトに想いを吐露してそれで何とか未練を断ち切ろうと思った。
なのにどうして――。
『ねぇ、この小説って海斗が書いたんだよね?』
えっ!?どうしてバレたっ!?というより何故この僕が押し倒されてるんだっ!?(※注 サブ垢にて公開済みの『バウムクーヘンエンド』をご覧になるとより一層楽しめるかもしれません)
身代わりになって推しの思い出の中で永遠になりたいんです!
冨士原のもち
BL
桜舞う王立学院の入学式、ヤマトはカイユー王子を見てここが前世でやったゲームの世界だと気付く。ヤマトが一番好きなキャラであるカイユー王子は、ゲーム内では非業の死を遂げる。
「そうだ!カイユーを助けて死んだら、忘れられない恩人として永遠になれるんじゃないか?」
前世の死に際のせいで人間不信と恋愛不信を拗らせていたヤマトは、推しの心の中で永遠になるために身代わりになろうと決意した。しかし、カイユー王子はゲームの時の印象と違っていて……
演技チャラ男攻め×美人人間不信受け
※最終的にはハッピーエンドです
※何かしら地雷のある方にはお勧めしません
※ムーンライトノベルズにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる