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◇2人の関係

「次」*玲央

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 テーブルに連れて行って優月を座らせると、優月がふと見回して、それからオレを見上げてきた。

「どーした?」
「昨日残したごはんは?」
「ああ。今日部屋、クリーニングきてもらうから片付けてもらう」
「捨てちゃうの?」

「ん。一晩だしっぱなしだったからな」

「そっか……片づけとけばよかったね」
「ん……そうだな」

 なんだか、困ったような顔で言われた言葉に、自然と頷いてしまった。
 気にした事無かったけど。あんまりにまっすぐな優月の顔を見てたら、そうだな、と素直に思って。

「次から食べれる量で頼むから」
「――うん」

 まっすぐオレを見上げて、にこ、と笑う優月。なんとなく、ふ、と笑い返す。

「とりあえず、これは食べれるだろ。 食べて」
「うん。 いただきます」

 手を合わせて、食べ始める。
 少し食べた後。コーヒーを飲んで、カップを置く。


「……あのさ、玲央」

 少し、改まった口調でオレを呼んで、まっすぐ見つめてくる。

「玲央さ、昨日からさ」
「ん?」

「……今度とか次とか、言ってくれるんだけどさ」
「うん」


「……次って、あるの?」
「……ん?」

 その質問に、優月を、マジマジと見つめ返してしまう。


「……次、ねえの?」

 思わずそう聞いたら、優月は、首を傾げた。

「それ、オレじゃなくて……玲央が決める事、でしょ?」
「――――……は?なんで?」

「だって……オレとじゃつまんないって、玲央が言うなら、無理だし」

 ……何言ってんだろう、こいつ。


「オレ、お前に触るの楽しいって言わなかった?」
「――――……だけど……」

「じゃあお前、オレがもう良いっていったら、それでいいの?」
「――――……しょうがないと思うよ?」

「――――……」


 しばらく無言になってしまう。


「ちょっと考えるから、食べてて」
「……うん」

 頷いて、黙って食べてる優月を目に映しつつ。
 何だか納得のいかない優月の話に、思考をめぐらす。

 ――――……どーいうこと。
 何だ、しょうがないって。

 そんなに簡単に「しょうがない」で片付けんのか?
 そんな簡単に、会わないって事にして、いいのかよ。

 なんかすげぇ…… モヤモヤする。


「……オレ、お前に触りたいけど」
「――――……じゃあ……また会ってくれるの?」

 「会ってくれる」というその言い方に、やっぱり会いたいと思ってるんだろ、とか。少しそれに気をよくして。何だか他にも、色々言いたい事がある気がするのだけれど。

 けれど何だか、うまく言葉にならない。


「……まだ全然……途中までしかしてねえし……会おうぜ?」
「――――……っ」

 それが言いたかったんだろうか、オレ。
 でもそれ以外、何が言いたいかよく分からず。

 優月は、オレのそんな言葉に、かあっと赤くなってる。


「食べ終わったら、連絡先教えて」
「……うん」

 にこ、と笑う、優月。


「……優月、今日何限から」
「1限。玲央は?」

 2限、と言いかけて。


「一緒に行く」
「うん」

 嬉しそうに頷いてる。


 なんとなく自然と、優月に手が伸びて。
 頭を撫でてしまう。


「オレ、お前撫でるの――――……」
「……?」

「結構好き」
「――――……なにそれ」


 クスクス、柔らかく、笑ってる。
 
 腰を浮かして少し近づいて。ちゅ、とこめかみにキスすると、すぐ赤くなる優月に、ふと笑ってしまう。


「食べ終わったらドライヤーかけてやる」

 言うと、嬉しそうに笑う優月。
 よしよし、と撫でて、もう一度腰かけて。コーヒーを口にした。



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