【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

悠里

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◇2人の関係

「腕の中に」*玲央

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 ふと目が覚めた。
 朝日が入ってきていて、腕の中で寝てる優月の顔が、よく見える。

 抱きしめたまま、寝ていた事に気付いて、思わず苦笑い。
 人を抱き締めたまま、寝るなんて、滅多にない。

 夜見つめていたら、すり寄ってきたので、何となく抱き寄せてそのまま寝たみたいで。優月はよっぽど疲れたのか、抱き寄せられた時のまま、ほとんど動いていないみたいだった。

 よく、寝てるな……。

 そ、と頬に触れた。瞬間、ぴく、と優月が動いて。
 ふっと瞳を薄く開いた。

 ……目覚め、いいな。……つか、結構寝たか。

 優月は、目の前にあるオレの裸の胸に、びく、と顔を退いて。
 肩を抱いてたオレの手に気付くと、慌てて見上げてきて。

 ふ、と笑ってたオレと視線が合った瞬間。


「あ……れお……おはよ」

 ほっとしたように、笑った。
 
「…なんで、ホッとすんの」

 起きてすぐ男の胸が目の前にあって、驚くのは分かるけど。

「……一瞬何だか分かんなくてびっくりして……玲央だったから、良かった、と思って」
「――――……」

 オレだと、ホッとするのか……。

 ……オレのこと、ほとんど知らないのに。無防備だなー……。


 一瞬、変な奴に騙されそうで心配になる。

 がしかし。今ここに居る時点で、相当、優月みたいな奴にとっては異常事態なんじゃないかなとも思って少し複雑な気持ちになりながら、時計を確認した。

「6時だけど……起きるか?」
「……ん」

 オレが体を起こすと、優月も一緒にゆっくりと起き上がった。
 起き上がりながら、自分がバスローブを着てるのを確認してる優月を見て、また少し笑ってしまう。

「……優月、昨日の事、覚えてる?」
「え」
「寝る前の事も全部、覚えてる?」
「……うん」

 かあっと赤くなった優月が、頷いた。
 そしてそれから。

「あの……玲央?」
「ん?」
「――――……あれって……途中、だよね?」
「まあ……最後まではしてねえけど」

 やっぱりそうだよね……という顔で、優月が困り果てた顔をしてる。

「どした?」
「オレ、寝ちゃった、てことだよね?」

 ああ、そう言う事か。

 ――――……めちゃくちゃ、焦った顔してる。


 は――――……可愛い。
 ちょっとからかいたく、なってしまう。


「……そーだなぁ……。これからって時になぁ……?」

 オレがわざとゆっくりした口調で、そう言うと。
 さらに焦った顔をして、優月が、視線を彷徨わせている。

「ご、ごめんなさい。……あの、今からでも――――……」
「――――……今から?」

 聞き返すと真っ赤になって、うん、と頷いたまま、俯いてしまった。
 可愛く思えて、ぷ、と笑ってしまう。

「嘘だよ」

 優月の髪に手を置いて、くしゃくしゃに撫でまわすと、首を傾げながら優月が見上げてくる。

「玲央……?」

「もう昨日はあそこまでにしようと思っただけ。最後、オレも一緒にイっただろ?優月が寝ちゃったってよりは、オレが寝かせてやったんだし」
「……ほんとに?」
「ほんと。だから、今からとか言わなくて良いって」

 言うと、少しほっとしながらも。
 でもまた少し眉が寄る。

「……でも最後までしなかったの、オレのせいでしょ?」
「――――……」

 優月の、せい?  せい、ていうか。
 ……別にやろうと思えば、寝かせないで、そのまま慣らして、できただろうし。

「――――……せい、とかじゃねーよ」
「……」

「……もっとゆっくり慣らしたかっただけ」
「――――……」

 困った顔してた優月が、また、ぼぼっと赤くなった。



「……っゆっくりって、何……?」

「昨日、キスとか乳首が気持ちいいのは、分かったろ? オレにイかされるのも、少しは慣れたろ?」
「……っ……」

 全然慣れてなさそうに、真っ赤になった優月にちょっと笑ってしまうけれど。

「オレ、もっと、お前の気持ち良いとこ、ゆっくり探したいし」

 言いながら、優月の頭を引き寄せて、右耳に、ふ、と息を吹きかけた。

「っっ!」

 優月は、びくっと大きく震えたと同時に、耳を押さえて後ずさる。

「――――……耳も、すげー弱いよな……」

 押さえようと思っても、笑いがこみあげてきてしまう。
 優月、一体どこまで赤くなるんだか――――……。

 朝から憤死しそうなので、からかうのもそこまでにして、オレは立ち上がった。上半身裸だったせいなのか、優月が、ふい、と視線を逸らした。

 ……ほんと。反応、新鮮。
 最近は慣れた奴としかしてなかったからだろうか。

 いちいち反応が興味深い。


「……優月、いつも朝食は食べる?」
「え?」
「いつも抜いてるか食べてるか、どっち?」
「食べてる……」

「分かった。下のカフェからとっとくから、シャワーあびといで」
「……うん」

「あ、服貸すからおいで」

 言って、クローゼットを開いて、優月を引き寄せる。

「下着これ新しいやつ。服は好きなの良いけど――――……サイズは?」
「んー…… 小さめで、玲央があんまり着ないのは?」
「……これかな」
「ありがと」

 渡された下着と服を持って、優月はオレを見上げてくる。

「ごめんね、オレ、寝ちゃった上に、泊めてもらって……」
「……だから違うって。寝かせてやったし、泊まらせたんだよ」
「――――……」

「する気ならできたし、寝かせないで帰らせる事だって、出来たっての」
「――――……」

 言うと。
 優月は、しばらくオレを見つめていたけれど。

 急に、ふ、と笑った。


「やっぱり、玲央、優しいね。……ありがと」

 嬉しそうにふわふわした顔で笑って、そんな風に言う。



 ――――……これはやっぱり、どうしたって。


「――――……玲央?」

 返事をせずに黙ってたオレを見上げてくる、優月の頭を撫でて、そのまま背中を軽く押す。


「……シャワー浴びてきな」
「うん」

「バスタオル、脱衣所の鏡の上に入ってるし、お前のズボンは乾燥機で乾いてるから」
「ん。ありがと」


 フワフワした顔で笑ったまま、優月はバスルームへと歩いていった。


 ……可愛い。
 ……男なのに、なんであんな可愛いかな。

 なんか朝から触り倒したくなってしまいそうで。
 バスルームに追いやったけど。



 ――――……ほんと、調子狂うな……。


 ため息をつきつつ、服を着替え終えて。
 朝食を頼むために、リビングに向かった。



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