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◇初めての夜

「一緒に」*玲央※

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 食事を終えて、寝室に優月を連れてきた。

 見るからに、ものすごく、緊張してる。
 でも、触れると、嬉しそうに表情が緩む。

 ――――……可愛いな……。

 緊張しなくていいよ、と言ったけれど。
 柄にもなく、珍しく、心臓がドキドキしてるのは、オレも一緒だった。


 どう触ろう。
 ――――…いつもみたいに、慣れてる相手じゃない。

 慣れたように扱ったら、嫌がるかもしれない。
 キスは好きみたいで。イかされるのも嫌ではなそうだけど。


 触れるだけの、優しいキスをしばらくしてから。
 ゆっくり、深くする。

 キスすると、すぐ、惚けた顔をする。


 ……可愛いよな……。

 そう思う気持ちを、どうする事もできない。

 
 
「――――……っ……んン……ぅ……」


 漏れる、声を、愛おしいと、思ってしまう。


「……っれ、お……」

 名を呼んでくる優月が、可愛い。
 バスローブの紐を解いて、前をはだけさせる。

「――――……」

 肌、やっぱり、触り心地が良くて、気持ちいい。
 ――――……する、と脇腹から、背中に触れる。

 ベッドに倒して組み敷くと、性急に触れたくなる。

 けれど、何とか堪えて。深く深くキスをする。


「……ん、ん……っぁ……」

 ――――……上顎、舐められるの好きそう。
 息が上がってく。……可愛い。


「……んんっ……ん、ふ……っは、ぁ……っ……」


 息するだけできつそう。目を開けて、優月を見つめると、眉根が寄っている。
 少し辛そうに歪むそれに、ゾク、と興奮する。

 けれど、なんだか……ひたすら優しくしたくも、なる。


「……優月……」
「……ふっ……は……」


 涙で滲んだ瞳で、必死に見上げられると。 
 胸の奥が、暖かくなる。

 ……なんでこんな可愛いかな…。


「だから……鼻で、吸ってみろって……」

 クス、と笑ってしまう。



「いい? やってみな」

 キスしながら、ちゃんと吸えるかを見てると。
 視線を外せないみたいで、優月が見つめ返してくる。

 すう、と、鼻で息を吸う優月。

「吸えるだろ?……あとはオレに合わせて口でも呼吸して」
「……むずかし……」

 は。 かわいい。 難しい、か。

「数こなせば慣れる」

 思わずクスクス笑って、またその唇に触れて。

「まあ、声が漏れてんのも可愛いからいーけど。 あんまり苦しくない方がいいから」
「……」

 一生懸命見てくる優月の視線。

「……息出来るようにたまに離すから、合わせてみて」

 自然と笑みが零れる。素直に、うん、と頷く優月。
 キスして舌を吸うと、ぎゅ、とつむる瞳。

「……も……や……」

 ……早い……。
 

「……もう嫌?」

 囁いて聞くと。

「……れおの、キス……気持ちよくて、もう無理」

 嫌なんじゃなくて、気持ちよくて。という優月。
 服を脱いで優月に体を寄せると、縋るように、触れられる。

 なんでこんなに――――………。
 可愛いと感じることばかり、するんだろうか。

 縋り付いてくる優月を見下ろすと、なんだかものすごく、ぎゅっと瞳を閉じていて。ふ、と笑ってしまう。

 力、入りすぎ……。
 頬にキスすると、少しだけ、力が緩んだ。


 どこから、何してやろう――――……。
 なんだかものすごく、気持ちが上がる。


 心地の良い肌をするりと撫でて。
 胸の先端を、爪先で引っ掻くと――――。

 びっくりした顔をして、優月が見上げて来る。

 自然と、笑んでしまう。……どうしても、可愛く思えて。
 


 オレが、普段、関係を持ってる奴に求めてるのは。

 束縛しない。
 干渉しない。
 会った時に、楽しければいい。そんな関係。


 オレが、しないようにしてる事。

 可愛いとか、好きだとか、思わないように、セーブする。
 もし思っても、言わない。勘違いの元になるから。
 
 普段は、敢えて、言わないようにしている。



 なのに。


 オレ、優月に何回、
 可愛いって言った……?


 言葉に出したのは思わず出てしまっただけで。
 ――――……言葉に出さず、何回可愛いって思ってるのか。


 優月に触れてると、可愛いしか、出てこない。





 キスされるのも初めて、どこを触られるのも初めてで。
 どこに触れても、戸惑うし、驚くし、新鮮な反応をする。

 そのくせ、すごく敏感で。

 キスにすら、この上なく蕩けた顔をして、一生懸命応えてくる。
 最初は戸惑ってた乳首も、触れてる内に、快感につながるようになっていく。軽く噛むと、体がビクビク震えて――――……エロい。

 イかせてもなお、可愛い乳首を弄り続けていたら、たまらなそうな顔でオレを見下ろしてきて。あまりに可愛いので、もっと気持ちよくしてやりたくなって、びくびく震えてた優月自身を、口にくわえてやった。

 普段、男とする時、口ではしない。口でしなくても全然、事は足りるし。
 むしろしたがる奴のが多いから、させる事は普通にあったけど。

 ……そういえば、初か。これ。

 涙をぽろぽろ零して耐えてる優月をそのままイかせてやりたくて、愛撫を激しくすると――――……足を痙攣させて、口の中で、優月が達した。


 ――――……今更ながらの、初体験。

 容易くそれを飲み込んでしまって、正直自分でも驚いていたら。
 優月が、めちゃくちゃ泣き出してしまって、しまいには、吐いてと言う。

 ……吐いてって――――……できねえし。
 可笑しくなってしまう。

 本当面白い。つか……可愛い。


 これ以上できない位のキスを、優月にし続ける。
 苦しそうに眉を寄せながら――――……でも、気持ちよさそうに、一生懸命応えてくる。


「ン……んん……」


 上顎をなめて、歯列をなぞって――――…
 すると、優月が、とろん、とした顔で、頬を上気させせて。
 下から、見つめてくる。

「お前が恥ずかしそうにしてるの……すげえゾクゾクする……」
「……っ」

 ますます赤くなって。
 瞳に涙が滲んでくる。


「優月…」


 ゆっくりと頬に触れて。唇を重ねる。
 優月の目尻から涙が、零れ落ちた。

 親指で、それを拭って、キスを深くする。


「――――……」



 興奮しすぎて……ヤバい。
 今すぐにでも優月に入れて、もっと乱したい。とか。

 激情に任せないようにするのが、きつい、くらい。


「……ン……ふ……っ」

 少し苦し気な声に気付いて、薄く目を開けると。
 また涙が零れ落ちてくる。


「――――……ゆづき……?」

 少しだけ、唇を離して、名前を囁くと。
 一生懸命といった風に、瞳を開ける。


「……れお……?」

 涙で潤みまくった瞳と、名を呼ばれた涙声に。
 胸の奥がどく、と揺れた。


「――――……」



 ますます上がりまくった激情が耐えられない位、なのに。



 ……今日、これ以上は――――…無理そう、だな……。


 受かんだ考えに、知らず苦笑い。
 思わず、は、と息をついた。




「優月……」


 今更、こんなので、終わらせる事になるとは思わなかった。


 でも今はこれ以上は、する気がしない。

 優月の背を枕に沈めさせる。


「優月」
「うん……?」

「――――……オレのとお前の、一緒に握れる?」
「――――……?」

 ぽけっと見上げてくる優月に少し笑ってしまいながら。

「脚すこし開いて」

 ズボンから引き出した硬いソレを、優月のに触れさせた。
 何をされたか認識して、一瞬でかあっと真っ赤になった優月の手を、そっと掴んで、重ねる。

「……っ……」
「このまま握って、一緒に擦って」
「………っ」

「――――……嫌?」

 固まってる優月にそう聞いたら。

「……っ……はずかし、すぎ……」

 泣きそうな顔で、見上げてくる。

 ――――……嫌、じゃなくて、恥ずかしいのか……。
 ふ、と笑みが浮かぶ。

「恥ずかしくていいから、やってみろよ」
「――――……っ」

 下を優月に任せて、そのまま上に体を上げて、唇を奪う。
 めちゃくちゃキスしてる間に。
 恐る恐るな動きで、少しだけ、手が動く。

「……優月、もっと強くしてみて」
「…………っ……」

 しばらくキスしながら、任せてみたけれど。

 ――――……これじゃ全然イけないな。
 もう、勃ちすぎて痛いし。 ――――……もう、出したい。

「このまま触れてて」
「……っ……あ……」

 優月の手ごと包み込んで、強く擦りあげる。
 焦ったように顔を向けてくる優月の唇にキスして、舌を絡め取る。

「ン……っ……ん、ぁ……あっ……」
「――――……優月……」

 あっという間に、優月の息があがって、体がびくびくと震える。
 
「待っ……れ、お……ぁ……っ」
「……っ悪い、待てない――――……」

 さすがに、もう、待ってやる余裕がない。
 もうすぐ、という時に。首を振る優月の首筋を甘噛みすると、体がびく、と大きく震えた。

「……ひゃ……あ……っ……」
「――――……っ」

 2人、ほぼ同時に達して。
 硬直してた優月が、ふ、と力を抜いたと思ったら。
 ぱたん、と手をベッドに落とした。

「――――……ゆづき?」
「……れお……」

 ……目、開いてねえな……。
 思わず笑んだ唇で、優月の唇にキスを落とす。

 重ねるだけのキスを何度かしていると。
 そのまま、すぅ、と静かな吐息が聞こえてきた。


「――――……」

 その頬に一度キスして、しばらく眺めた後、一旦シャワーを浴びた。お湯で濡らしたタオルで優月の後始末をしてやる。

 優月のバスローブを整えてから隣に入り、座ったままで優月を見下ろした。
 今はもう、ただただ無邪気な寝顔を見つめる。


「――――……」


 ぴくりとも動かない。
 ……拭いても動かなかったし、朝まで起きないかもな。


 ――――……誰かを泊めるのも久しぶり。
 こんな風に、寝顔を見てるのも。

 ――――……つか、最後までしねえで、寝かせてるって。 

 ……なんだそれ。
 ……甲斐に言ったら、馬鹿笑いされそ……。


「――――……」


 ――――……さっきまで、あんなエロい顔して、泣いてたのに。
 寝顔、すげえ幼い……。


 そっと、髪に触れて、乱れてた前髪をあげさせると。
 さらに幼い。

 クス、と笑ってしまった自分に気付いて。なんだかこの感覚がくすぐったい。
 ふ、と息をついて。


 優月を見つめたまま、しばらくそのまま過ごした。
 
 


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