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◇初めての夜

「心の準備」*優月

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 キスされてた首筋に――――……。


「……ッ……?」

 口? ……なに? 
 舐められた? 吸われた?? 痛た……?? 何……?


「……っなに、して――――……?」

「首に、キスマークつくか試しただけ。白いから、すぐつくかと思って……」

 一瞬の刺激に驚いた、そこを、今度は舌で舐められる感触。


「……んっ……」

 びく、と体が揺れる。
 ……ダメだ、オレ、何されても、異常に、反応してしまう。


「玲央、あの……」
「うん?」

「――――あの……」
「ん」

「……あんまり……いろんな事しないでほしいかも…」
「――――……は?」

 首を傾げた玲央に、少し焦る。

 オレ、変な事、言ってるんだろうな。ここまで来て。

 わかるんだけど……だけど……。


「なんか、いちいちすごい反応してて……恥ずかしすぎるから……」

「……色んなことしないのは、無理だな……」

 くす、と笑われて。


「それは聞けない」

 さっき、キスマークを付けたという箇所に、玲央が指先で触れた。


「……色んなこと、お前にしたいし」

 ちゅ、と頬にキスされて。
 囁かれる。

 止める事も出来ず、ぴく、と、体が揺れてしまう。


「反応してくれた方が嬉しいし。恥ずかしがらなくていいから」
「――――……でも」

 オレ男なのに、あんまりに反応しすぎて、恥ずかしすぎて。
 止める事もできないし、もう、どうしていいか分からないし。

「大丈夫。オレは、反応させようとして触ってんだからさ」
 
 クスクス笑った玲央は。
 オレから手を離すと、自分のベルトを外して、全部脱いでしまった。


「――――……っ」

 全然、恥ずかしがるとかなく全裸になって、アクセサリーを外してる。

 なんか…ほんと、綺麗。
 男らしい、適度な筋肉。

 いいな、こんな体だったら。と思ってしまう。

 ほんと、すごいカッコイイ。
 ぽけ、と見惚れてると、顔を上げた玲央にまたクスッと笑われた。


「……心の準備出来たら、自分で脱いで、入っておいで」


 そう言って玲央は、オレの頭を撫でると、バスルームに消えてしまった。



 もう、ドキドキがすごすぎて、辛い。


 ――――……どうしよう、オレ、ほんとに、あの人と、どこまでするんだろう。出来るのかな……。

 ……玲央の触り方って。
 どうして、あんなに、気持ち良いんだろう。

 ……自分で脱いでって。

 心の準備が出来たらって。


 こういう時って、最後まで、脱がせたりはしないんだ。
 自分で、心の準備してから……覚悟してから来いって事だよね。


 ――――……ドキドキする。


 もう、玲央と2人きりで、今から一緒にシャワー、浴びる、とか。

 ……ふう、と息をつく。


 ドキドキはものすごいしてるけど、嫌な訳じゃない。

 感覚が鋭すぎて、怖いけど、
 玲央が、怖い訳じゃない。


 男と、そうなろうとしてるなんて、ほんとに、嘘みたいだけど。 
 ……嫌じゃない。


 ゆっくり、ベルトを外して全部脱ぐと、軽く畳んでさっき脱がされた上着に重ねて置いた。

 ふ、ともう一度息をついて。かちゃ、とドアを開けると。
 シャワーを浴びてた玲央が、ふ、と振り返った。

 うわ。……色っぽいな。濡れてる、玲央。


「……準備、できた?」


 クス、と笑う。


 ……この人はきっと、何してても、カッコいいんだろうな。
 なんて。思いながら。



「一応……した」

 そう言ったら。またおかしそうに、ふ、と笑って。


「一応でも十分。 ……優月、来いよ」


 手を出されて、その手に触れると。
 引き寄せられて。


 玲央の浴びてるシャワーの下に、引き込まれた。







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