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◇初めての夜

「脱いでも」*優月

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「スマホ貸して?」

 言われてポケットに入れてたスマホを玲央に渡す。
 テーブルにスマホをそっと置いた玲央に、手首を引かれた。


「浴びよ、シャワー」

 内心ものすごく狼狽えるけれど、抵抗なんて出来ないまま、バスルームに連れていかれる。

 ……でっかい……。脱衣所、広すぎ。


「……玲央、ここに1人で住んでるの?」
「住んでない」

「――――……?」

「住んでるマンションは別にあるよ。ここは、仲間と集まったり、誰かと来たりするとこ」
「――――……」

 え。じゃあ、普段あんまり使わないってこと?
 ……だから全然暮らしてる感じ、しないんだ……。

 ………超お金持ちって言ってたっけ。
 感覚、全然違うんだろうな……。

 1人、妙に納得していると。
 目の前で、無造作にシャツを脱ぎ捨てられて。
 玲央の綺麗に筋肉のついた裸に、焦る。

 ……すごい着やせするんだな。
 そういえば、オレの事、軽く支えてくれてたっけ。

 つーか……。
 脱いでも、カッコいいんだなあ。

「……優月?」

「……体、すごい、鍛えてますか?」
「ますかって……」

 なんでか敬語になったオレに、おかしそうに笑って。

「ん、ジム行ってる。ライブん時、脱いだりするし」
「――――……あ、ライブ……」

「……オレがバンドやってんの、知ってる?」
「してるのは知ってる……見た事、 無いけど……」
「ふーん……」

 良い体すぎて直視できないでいるオレに、玲央がふっと笑う気配。

「――――……触ってみる?」
「……っ」

 手を掴まれて、引き寄せられる。

「う……無理」
「……無理じゃなくて」

 クスクス笑った玲央に、手を取られ、胸にぴたっと触らされる。

 なんか、自分の体に触るのとは、全然違う。
 硬いし。弾力あるし。

 筋肉、綺麗。
 こんな綺麗なのはテレビで見た事ある位で。目の前で見るのは初めて。


「――――……なんか玲央の前で裸になるの、嫌かも」
「……なんで?」

「……だって、全然、違う、から」
「――――……見せてみ?」

 着ていた服を、脱がされそうになって焦るけれど。
 ……オレの抵抗なんか無いみたいに手際よく、すぽ、と脱がされて。上半身、裸にされる。

「――――……」

 玲央が、何も言わない。
 言わずに、その手を、胸にぴと、と触れさせた。

「……綺麗」
「……っ」

 綺麗って、何……。
 玲央のとは、違いすぎて。
 ……見られるの、恥ずかしすぎる。


「……お前の肌、気持ちいい」
「……っ?」
「……こないだも思ったけど――――……触り心地、良すぎ」

 玲央がそう言って、すり、と胸をなぞっていく。
 くすぐったくて、びく、と震えると。

「……ほんと、どう触っても、反応良いな」
「……っ」


 背中に触れられて、引き寄せられて。
 首筋に、キスされる。


「――――……っ」


 本当に、どうしていいのか、分からないままなんだけど。
 ――――……玲央に触られるのは、好きみたいで。

 玲央に触られるとこ全部、ゾクゾクする。


 


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