「恋みたい」

悠里

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エピローグ

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 二人で、敷いた布団の方に一緒に入って。
 寝転がって、少し離れたまま、見つめ合う。

「――――……葵、いつ、帰る? 何日か一緒に居れる?」
「んー……明後日には帰らないと」

 葵の言葉に、頷いて。

「ん、ほな、明日大阪回ろ? 明後日駅まで送ってく」
「うん」

「初デート、やな?」
「……うん」

 恥ずかしそうに、でも嬉しそうに笑う葵。
 そんな笑顔は、あんまり、見たことが無くて。

 ――――……ああ、なんだか。これから、こんな風な葵が見れるんだと、思うと。


「―――……あーもー……どないしよう」
「……?」

「……めっちゃ可愛え」
「可愛い言うな……」

 手を伸ばして、よしよしとめちゃくちゃ撫でながら。

「せやかて可愛え……」
「……っハズイからやめろってば」

 そのやりとりをしていて、ふ、と気付く。


「なあなあ、葵」

 葵を少し離させて、顔を見つめる。

「うん……?……って、なんか変なこと聞く気だろ」

「あ。バレた」
「……絶対ろくなこと聞かないよな」
「何で分かるん」
「分かるっつの…………何?」

 嫌そうな葵に苦笑いしつつ。
 葵の手にそっと触れて、指を、絡める。

「……これも、ハズい…」

 ふ、と笑い合って。

「なぁ……オレらって、男同士やろ?」
「う、ん」

「大事なことなんやけど……」
「――――……」


「……したい? されたい? ……どっち?」

 聞いた瞬間。葵が真っ赤になって、む、と口を閉じて。
 少しして。

「……大和は?」

 そう聞いてきた。オレが考えながら。


「――――……オレは……したい、かな」

 そう言うと、うん、と葵は頷いて。


「……オレは……されたい、かも」

 二人で、そう、伝え合って。
 そのまま、無言で、じっと、見つめ合う。


「――――……」
「――――……」


 二人一緒に、照れすぎて。
 お互い一度顔を逸らしあってから。

  同じタイミングで、クスクス笑い合って。


「――――……」


 それから。
 ゆっくり、唇を触れ合わせた。



「葵、好きや」
「……オレも。……大和が好き」


 額、くっつけ合って、笑い合う。



 それから。
 逢わないでいた間の話を延々話し続け――――……。


 明け方、どちらからともなく、眠りに付いた。








 目が覚めて。
 目の前の、葵の寝顔を見つめる。


 ――――……寝顔。可愛ぇ。


 恋人、か。
 ――――……めっちゃ。わくわくする。


 ずっと。
 一緒に過ごせるように。大事にしてこ。



 そんな風に思って。

 葵の手をそっと、握った。






-Fin-


 







(あとがき)♡ 2022/6/5
桜🌸が綺麗で、そこから思い描いたお話でした(*´ω`)♡
ここまで、読んで下さってありがとうございました♡ By悠里

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感想 3

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みんなの感想(3件)

ののん(竹取乃)

ふふふ、告白までのドキドキっていいですよね~😆💕
あったかい気持ちで読み終えました(*^^*)

悠里さんの書かれる短編、切ないやときめきがぎゅぎゅぎゅ~うっと凝縮されてて大好きです😊

悠里
2022.06.09 悠里

ののんさま♡

読んでくれて&コメントまで♡ ありがとうです(∩´∀`)∩♡♡
暖かい気持ちで読み終えて頂けたなら、万々歳(∩´∀`)∩ワーイ
切ないとときめき、感じて頂けたら、とっても嬉しいですよう~(^^)♡♡

解除
むいむい
2022.06.06 むいむい

完結お疲れさまでした♪
これからの葵くんと大和くんを思うと口許がふにゃぁとなります( *´艸`)
一歩踏み出した2人の幸せを願わずにはいられません。
素敵な作品をありがとうございました。

悠里
2022.06.09 悠里

むいむいさま♡♡

完結迄読んで下さって、ありがとうございます(∩´∀`)∩
なにげなーい一晩のお話でしたが♡
桜の樹のしたで告白しあった大和と葵が、これからきっとずーと、一緒にふわふわ幸せにいるんだろうな~と、そんな感じで描きたかったので♡
ふにゃぁ♡となってくださって、嬉しいです(*'ω'*)♡
こちらこそよんでくださって、感想まで♡ ありがとうございました(*'ω'*)♡

解除
むいむい
2022.06.05 むいむい

はぁぁ…
ドキドキが止まらなーい( *´艸`)
想いが通じ合うのかな?
もどかしいまま…かな?
更新、楽しみにしています

悠里
2022.06.05 悠里

むいむいさま♡

わぁぁ…♡♡ ありがとうございます(*'ω'*)
もう少しで書きあがります♡ うふふ(≧▽≦)♡ あとすこしおまちください♡ 

解除

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