「恋みたい」

悠里

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1.過ぎる位に

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 中学から高校一年の終わりまでの四年間、オレ、上原 大和うえはら やまとは、親父の仕事の都合で、東京に住んでいた。
 その間、同級生だった葵とはずっと仲が良くて。

「親友」と言える間柄だったと思う。
 
 オレも葵も割とモテたから、女の子とは何度か付き合うことになった。
 その時は少し距離が出来るのだけれど。結局オレは葵と居たくて。多分葵もそうなのか、お互いなかなか女子とは長続きがしなくて。

 結局、四年間、たくさんの時間を、葵と過ごした。

 父が転勤で大阪に戻る時に、当然オレも戻る事になったけれど、離れてからも葵とはずっと電話やメッセージでやり取りをしていて、長い休みには会う事もあった。高一の終わりから、今、高二が終わった春休み。一年以上、毎日のようにやりとりを続けていた。

 オレは、過ぎる位に葵の事が好きで。

 女子と付き合っても結局、葵と居るよりも楽しいと思えずに別れてしまうとか。さすがに少しおかしいかなと思っていた。
 だから大阪に戻る事になった時、内心少しだけホッとしたりもした。
 もちろん寂しさの方が断然勝ってはいたけど。
 これで離れれば、強い気持ちも薄れるだろうと。

 が。そんな甘い話ではなく。
 ――――……真逆だった。

 会いたさが募って、めちゃくちゃ切なくて。
 近くに居たいと、強く思ってしまう。

 電話やメッセージのやりとりは、オレからだけじゃなくて葵からもくるので、葵もオレと接するのが楽しいと思っていてくれてるとは思うのだけれど。

 会いたすぎて、冬休みも、葵の家族に了承を貰って葵の家で一緒に数日を過ごした。
 初詣に行った時に、葵が。


 大和とこんな風に居れるなら、別に願うコトもないんだけど。

 とか言ってくれたから、それが嬉しすぎて。


 でも。
 ……なんだか、オレの気持ちは、やっぱりちょっと、強すぎる気がして。


 少し、距離を置いてみたほうが良いかも、と思った。


 それが、三カ月前だった。








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