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第四章
40.オレとの関係。*真奈
しおりを挟む少しだけ黙った後、俊輔がオレを見つめて言ったのは。
「とりあえず、真奈、昼、何が食べたい?」
だった。
ちょっと目が点に。
ええ。それー??
……この人達の中で……誰と、ご飯食べるんだろう、オレ。
瀬戸さんは今まで待ってたんだから、俊輔と一緒に食べるんだろうし。
オレ、この人達とお昼食べるの? うう……。
困って、どうこたえようかと固まっていると、西条さんが察してくれた。
「若、まず瑛貴さんとお話されてきたらいかがですか? 客間に飲み物を用意しますよ」
その言葉に、俊輔は少しオレを見ると、はー、とため息をつきながら歩き出して、ドアに向かう。
「瑛貴、とりあえずあっち」
「はいはい」
クスクス笑いながら瑛貴さんはオレを見て、「またあとでね」と笑って見せる。曖昧に頷いてるオレを俊輔が見てるのを感じるけど、そのまま話しかけてはこずに、二人は出て行った。
あ、コーヒー、飲み終わってないな……。
瀬戸さんのマグカップを見ながら、ふ、と息をついたところで、西条さんが近づいてきた。
「瑛貴さんは、若の従兄弟です。いとこもはとこも、たくさん居ますが、中でも割と、若と話される方ですね」
「――――いとこ……」
いとこか。そっか。居ないところに、入って待っててって、そうだよね、あんまり他人にはしないもんね。しかもこんなでかいお家。門のところで、入れてもらったとしても、知らなかったら中まで入れる訳ないか。
「……若とのことは、何も話されてないんですか?」
「オレは、言ってないです。なんかでも、心読まれてそうでしたけど……」
そう言うと西条さんは、ふ、と苦笑した。
「敏い方ですからね。まあでも、良かったです。何も言っていないなら、真実は知りようが無いですし。あとは若が煽られて言わなければいいだけですが」
「―――」
「それで言ったとしても、それは若の責任ですしね」
クスクス笑って、西条さんが、コーヒーメーカーを手早く片付け始めた。
「あ、すみません」
「いえいえ。――どうしますか、真奈さん。食事は、ここで食べますか?」
「俊輔がどうするか決めてくれたら……オレ、家で全然いいですし」
ふ、と苦笑いの西条さんは、オレを見て、頷いた。
「瑛貴さんは、若に敵対してるわけではないので、そんなに気を使わなくても大丈夫ですよ。だた、あんな感じで、若をからかう、少し珍しい方なので。従兄弟の中には、あまり余計なこと言わない方がいい方も居ますので、真奈さんの対応は、今日みたいな感じでして頂ければ、ありがたいです」
「……分かりました」
うんうん、と頷いて。少し冷めたコーヒーを口にした。
「とりあえず、お茶をいれつつ、様子を見てきますね。もし、真奈さんは家で食べるとしたら何がいいですか?」
「何でもいいです」
分かりました、と頷いて、西条さんは部屋を出て行こうとして……くるっと振り返った。
「真奈さんご自身は、どちらがよろしいですか?」
「え。オレ……は。家が、いいですけど」
そう言うと、西条さんは苦笑して、「そうですよね……」と言いながら、消えていった。
いとこはとこがたくさんいるのかぁ。
良く分かんないけど。お金持ちって。親戚も大変そう……。
あの人も、αかな? とそう考えてすぐに、α以外無いよな、と苦笑が漏れる。あれでαじゃなかったら、詐欺だっておもっちゃうくらい、αっぽかった。
――――オレがΩだったら、
オレがここに居る理由も、すぐ納得したのかもしれないけど。
俊輔ってば、オレのこと、何て説明するんだろう。
……煽られて……? ていうか。説明も何も。
オレが何って、オレ自身だって、言えないもんね。俊輔はなんていうのかなあ……ちょっと聞きたいかも。
思いながらも、とりあえず、レポートしよ、と机に向かった。
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