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第二章
7.「意味」*俊輔
しおりを挟む「……真奈?」
「……シャワー、浴びてくる……」
「待てよ」
腕を掴んで、引き戻して、その顔を覗き込む。
「なんだよ、その反応?」
明らかに逃げようとしているその態度に、苛つきながら問うと。
「……ッ……だって……」
「んだよ?」
また、赤くなった気がした。
……何だ? さっきもだよな。
「……一昨日、俊輔、何も使わなくて」
「使わない? ……ああ、薬のことか?」
思い当たる事を問いかけると、真奈は頷いて、少し俯いた。
「……全部はっきりしてて……なんか……全部思いっきり覚えてて……」
「……」
「……いつも忘れてる訳じゃないんだけど……全然違うからすごいなんか……」
「――――……」
「……なんか、ほんとにキツくて……っ……ん……」
俯いて、そんな言葉を続ける真奈の顎を上げさせて、キスを仕掛けた。
可愛いと、どうしても思ってしまう自分が居て、意味が分からない。
「……っン……ふ、は……」
ぎゅっと瞳を閉じてる。しばらくキスしてから唇を離すと、真奈が息をつきながら困ったように見上げてきた。
「っ……きょう、も、薬……使わない、の……?」
「……使わねえ」
「……っ……~~……」
抵抗してもムダだと分かってはいるのか目立った抵抗はしないけれど、確実に逃げ腰の真奈に余計煽られる。
「……そのままでも、感じるんだろ。ならその方が感覚はっきりしてて良い」
「……っ……」
オレが言った瞬間、呆けた顔でオレを見つめた真奈は。
見る間に顔を真っ赤に染めた。
「や、だよ……そんなの……」
後ずさろうとする真奈の腕を掴んで、自分に引き寄せる。
「……っ」
諦めたように力を抜く真奈の腕を掴んだままベッドまで連れていく。
「シャワー、浴びてない……」
「別にいい。終わったら浴びろよ」
「……ッ……」
嫌そうに眉を顰めるけど、気にせず、ベッドに組み敷いた真奈に触れていく。
慣れた行為だ。真奈とだけじゃなくて、散々色んな奴としてきた。
ここ二ヶ月はほとんど毎日、真奈を抱いてきてる。
最初の頃は、本当に、無理矢理。
真奈が諦めてきてからは、勢いと流れに任せてずっと。
キスをして服を脱がせて、薬を取り込ませて、そして乱れさせる。
媚薬がなかったら、感じないのかと、思ってた。
気持ちが拒否るから、気持ちよくはならないのかと。
「……ん、 っあ……!」
もう、感覚で覚えている真奈の性感帯。
指で舌で、刺激すると震えるけれど、いつもよりも反応は小さい。我慢してるんだろうなと思うと、早く乱れさせたいと思ってしまう。
別に男が好きな訳ではないのに、真奈を抱くことが完全に日常化している自分を、さすがに少しおかしいとは、思うけれど。
「……ん、……っ……あ……ぅ ん……っ」
繋がった中を突き上げると、真奈は甘い声をあげる。耐えようとするのにも、余計煽られる。
見上げてくる涙目も。喘ぎ方も、耐えられないように漏れる息にすら。
むしろ、今まで抱いたどの女よりも、真奈の反応にやられてる気すら、する。
「……真奈」
呼びかけると、うっすらと、瞳を開く。
「……しゅんす け……」
上気した顔でこちらを見上げて、そして、掠れた声で、名を呼んでくる。
『何でお前、あの子、好きなの?』
凌馬に聞かれた言葉が、不意にまた、脳裏を掠めた。
涙目の瞼にキスをして瞳を伏せさせて……それから、唇を重ねた。
舌を絡ませると、くぐもった声を漏らしながら、キスに応えてくる。
……何で……?
わかんねえな、そんなの。
そもそも、好きなのかすら、本当に分からない。
ただ言えるのは。
オレが真奈に、執着しすぎてるという事実があると言うこと。
それの意味なんか。
……分かりたくもねえ。
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