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第一章
11.「第二の性」*真奈
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朝、目覚めると、もう俊輔は居なかった。
……まあ、いつものこと。
結構遅くに帰ってくるのに、それからオレを抱いて、寝るのもすごく遅いのに朝早くに出ていく。
ほんと、元気だよなぁ……と、ため息。
アルファって、皆ああなのかな。
……今までアルファが周りに居なかったから、よく分からない。
アルファ、ベータ、オメガ、と呼ばれる、第二の性が存在することが分かってからもうずいぶん経つ。思春期になると、その三つの性の内、自分がどれかを検査するように義務付けられている。
アルファは、生まれながらにしてハイスペックなエリート階級に多い。
リーダー性やカリスマ性にも優れている、そうな……。俊輔や、オレの父がこれ。
ベータは、能力とかすべてに置いて、平均的。これが、オレ。
人口のほとんどがベータで、希少なアルファ、それより更に少ないのが、オメガ。
オメガには発情期っていうのがあって、それを抑える薬が効かないと、望まなくてもアルファを性的に誘ってしまったり、男でも妊娠出来たり、大変なそうだけど。
……まあ、ベータのオレにはあんまり関係ない話。
オメガは男でもアルファの子を妊娠できるから、色々議論もあった末、男女の性別問わず、結婚ができるようになったのも、ずいぶん昔。
……と言っても、男女間の結婚に比べたら、ものすごく少ない。
少ないからと言って「男同士」っていうのに偏見がある訳じゃないけど、でも、オメガでもない自分が、そういう対象になるっていうとまた話が別で。オレの恋愛対象は、ずっと、女の子だったし。
俊輔も、男は初めてだって言ってたから、男に興味なかったってことだよね。……じゃあ何でだろうという疑問がずっとある。
「――――……うーん……」
枕に沈み込んで、延々考えていたけれど。
考えても分からなくて仕方ないので、とりあえず起きることにした。
ここに居るだけだから、別にしなきゃいけないこともないけど、ずっと寝てるのも嫌だし。
起きあがって、不必要に大きなクローゼットから、服を取り出す。
どういうつもりなのか、俊輔のだけじゃなくて、オレの服もやたらにいっぱい入ってる。はっきり言って、着切れない位。
……まさか俊輔がオレのを買ってきてる訳ではないだろうけど。
みんな、ブランド物っぽい高そうな服ばかり。
その中からジーンズを選んで、それから、着心地の良さそうなシャツに袖を通す。
ふぅ、と息をついた瞬間。こんこん、とノックの音がした。
「はい」と返事をすると、「おはようございます」と言いながら入ってきたのは、いつも通り、スーツ姿の男の人。
俊輔の、秘書さん?世話係? なんと表現すべきなのだろう。役割的には爺やさんとでも言えばぴったり来るのだろうけど、そう呼ぶには年があまりに若い。
二十代後半か三十代前半。名前は、西条 和義さん。俊輔は、「和義」と呼び捨てる。オレは「西条さん」と呼んでる。
まっすぐに伸びた背筋と、凛とした強い眼差し。
きりっとしてて、頭が良さそうで。相当良い男だと、思う。
……聞いたことはないけど、多分、この人も、アルファなんだろうなぁ。
……まあ、いつものこと。
結構遅くに帰ってくるのに、それからオレを抱いて、寝るのもすごく遅いのに朝早くに出ていく。
ほんと、元気だよなぁ……と、ため息。
アルファって、皆ああなのかな。
……今までアルファが周りに居なかったから、よく分からない。
アルファ、ベータ、オメガ、と呼ばれる、第二の性が存在することが分かってからもうずいぶん経つ。思春期になると、その三つの性の内、自分がどれかを検査するように義務付けられている。
アルファは、生まれながらにしてハイスペックなエリート階級に多い。
リーダー性やカリスマ性にも優れている、そうな……。俊輔や、オレの父がこれ。
ベータは、能力とかすべてに置いて、平均的。これが、オレ。
人口のほとんどがベータで、希少なアルファ、それより更に少ないのが、オメガ。
オメガには発情期っていうのがあって、それを抑える薬が効かないと、望まなくてもアルファを性的に誘ってしまったり、男でも妊娠出来たり、大変なそうだけど。
……まあ、ベータのオレにはあんまり関係ない話。
オメガは男でもアルファの子を妊娠できるから、色々議論もあった末、男女の性別問わず、結婚ができるようになったのも、ずいぶん昔。
……と言っても、男女間の結婚に比べたら、ものすごく少ない。
少ないからと言って「男同士」っていうのに偏見がある訳じゃないけど、でも、オメガでもない自分が、そういう対象になるっていうとまた話が別で。オレの恋愛対象は、ずっと、女の子だったし。
俊輔も、男は初めてだって言ってたから、男に興味なかったってことだよね。……じゃあ何でだろうという疑問がずっとある。
「――――……うーん……」
枕に沈み込んで、延々考えていたけれど。
考えても分からなくて仕方ないので、とりあえず起きることにした。
ここに居るだけだから、別にしなきゃいけないこともないけど、ずっと寝てるのも嫌だし。
起きあがって、不必要に大きなクローゼットから、服を取り出す。
どういうつもりなのか、俊輔のだけじゃなくて、オレの服もやたらにいっぱい入ってる。はっきり言って、着切れない位。
……まさか俊輔がオレのを買ってきてる訳ではないだろうけど。
みんな、ブランド物っぽい高そうな服ばかり。
その中からジーンズを選んで、それから、着心地の良さそうなシャツに袖を通す。
ふぅ、と息をついた瞬間。こんこん、とノックの音がした。
「はい」と返事をすると、「おはようございます」と言いながら入ってきたのは、いつも通り、スーツ姿の男の人。
俊輔の、秘書さん?世話係? なんと表現すべきなのだろう。役割的には爺やさんとでも言えばぴったり来るのだろうけど、そう呼ぶには年があまりに若い。
二十代後半か三十代前半。名前は、西条 和義さん。俊輔は、「和義」と呼び捨てる。オレは「西条さん」と呼んでる。
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