【胸が痛いくらい、綺麗な空に】 -ゆっくり恋する毎日-

悠里

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「好きの意味」*湊

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『意味わからなくても、キスされて……嫌ではなかった?』
「うん。……嫌じゃなかった」

『よかったじゃん、湊。つきあう事になったの?』
「……オレが分かんないって言ったから…… オレが、恋人になりたいってなったら、そうなろうって、言われた」

『そっか。じゃあ好きって言ったのは湊だけど、恋人とかで好きなのは向こうで、保留になったって事か』

「……恋人とかが…… ちょっと分かんなくて、今日は、帰ってきちゃった……」

『でも向こうは、それで良いって言ってんだろ?』
「……うん。そう言ってはくれてた」

『んー、じゃあいいよね、晃?』
『いいんじゃないのか。そう言ってたなら、そう思ってんだろ、きっと』

「――――……なんかさ」

『ん?」


「……キス……初めてしたんだけど」

『うんうん』

 さとるのわくわく感に一瞬退きながら。

「……やじゃなくて。…… て事は――――…… オレも、そういう意味で、好きなのかなって……今思ってて」

『……ていうか、だって、湊はドキドキするって言ってたじゃん。好きなんでしょ』
『経験ないから分からないって言ってるだけな気もするけど――――……まあ、そんなに急いで返事しろとか言われて無さそうだし。良いんじゃないか、ゆっくり考えれば』

「……うん。 ……あのさ」
『ん?』

「――――……2人はさ、オレが、男とさ」

『全然いいよ』
 
 質問の途中で、さとるは、言い切った。

『湊が幸せなら、全然いいよ』
 追加で、そう言ってくる。

『オレも同じ』
 晃にもそう言われて。

「――――……うん。 分かった。ありがと」

 少しほっとして、そう言うと。

『なあ、湊、今日どんなデートしてきたの?』

 さとるが楽しそうに聞いてくるので、それに答えながら。
 今日の司を思い出して。
 
 ついつい笑顔になってしまう自分。


 さとると晃に、散々突っ込まれながらの電話を終えると同時に、ベッドにあおむけに転がって、目を覆った。


 なんか――――…… 少し、浮かれてる。
 オレ。


 キスした時の感覚が、消えない。

 あんなに近くで司の顔を見た、ドキドキする感覚も。
 強く、包むみたいに、抱き締められた、感覚も。


 唇。触れた、感覚も。

 思い出すと、ドキドキして、顔が熱くなってくる。


 やっぱりオレ――――……。
 オレも、司の事、そういう意味で好きなのかも。

 司に、そう言った方がいいのかな。
 もっとはっきりしてからの方がいいのかな。


 でももう、キスは良い位の好き、とかは……頷いてしまったし。


「――――……」


 スマホで司とのトーク画面を開いた。


「送ってくれてありがとう。 家ついた?」

 そう入れて 送ろうと思ったけれど。
 送信ボタンを押す前に。


 ……今日の事についてなにか、入れた方が、いいかなとか。
 なにか他に、入れるべきかなとか。すごく、迷う。


 迷い出すとキリがない。



 こういう時、なんて、送るのが、良いんだろう。





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