【ひみつの巣作り】完結

悠里

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第213話 きっとずっと【完結】

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 ちょっと、寒い……。あれ、オレ、ベッドに居る……。いつのまに?
 ――ベッド、颯、居ない……。

 少し体を起こすと、下着だけになってて、毛布にくるまれていた。颯の匂いのする、毛布。

「――いい、におい……」

 そう思ったけど、颯が、居ない。
 毛布にくるまれたまま、のそのそ、と起き上がって――ウォークインクローゼットに入ったのは、覚えてる。でも、なんか、その後の記憶は、飛んだ、みたい。
 


 
 次に目が覚めたのは、「――何これ……ヤバいな……」と。そんな声が、聞こえた、ような。んん。体、だるい。なんか頭、ぽわぽわ、してて。目が開かない。
 かしゃ、と音がした。ん。何の音……。

「……なんでこんなに、死ぬほど可愛いのかな……」 

 ……んん。何……? すぐに「慧」と、颯の優しい声がした。

「慧、ベッド、行こ」
「――うん……」

 お姫さまにするみたいに、やさしく抱き上げられて、オレは、颯の首に手を回した。颯が、くす、と笑う気配がした。
 優しい笑い方。大好き。

 すぐに、ゆっくりと、ベッドに降ろされた。
 そのまま、颯の重みが、体にかかる。

「慧――抱いても、平気?」

 そっと、頬に触れる手。抱いても――。抱いても、平気って……聞かれてるの? 
 オレは、やっとのことで、瞳を開けて、上に居る颯を見た。

 熱を持て余してるみたいに、自分のボタンを外していく。むき出しになってく、颯の、体。

「……いつでも――平気」

 じっと見つめて、そう言ったら。颯の、その瞳から伝わる熱が――オレの心の中に、火を灯していくみたい。
 ゾク、と、体の奥が、疼いて――自分から、ふわりと舞うフェロモン。

「めちゃくちゃ――可愛がって、いい?」

 そんなセリフだけで、ゾクゾクする。

 唇が重なって、激しく、キスされる。
 胸に触れられて、乳首を捏ねて、摘まむ。どんどん、体の熱が上がる。舌が深く差し込まれて、息、苦しい。でも、熱くて――頭のなか、すごく、気持ちいい。擦りあわされるみたいに絡む舌から、颯の唾液がオレのに混ざって、口の端から、溢れる。

「ん、ふ……、ン……」

 少し離れようとしたら、後頭部を押さえられて、もっと深く重なった。

「ん、ん……」
 気持ちよくて、頭が真っ白になっていく。
 颯の瞳に見つめられるだけで、イきそう。それでも、視線は逸らせない。

 首筋に舌が這って、びく、と震える。指は胸。
 肝心なとこ、触ってくれない。

「……んン……」
 自分で触っちゃおうと、手を下に、もぞ、と動かしたら。

「ダメ」
「……っふ…… なんで……?」
「――死ぬほど、可愛がるって、言ったろ。まだ、待ってて」
「……っ」

 体中、舐められて、甘く噛まれる。熱くて熱くて。自分の体から発せられる熱。颯がいい匂いすぎてもう、ゾクゾクしびれる。

 濡れ切ってる中に指が入ってきて、気持ちいいところを、暴いてく。きゅうきゅうに、颯の指を締め付けると、よけい、気持ちいい。

「……はゃ……て……」

 お腹の奥が疼いて、きゅんきゅんして、颯の肩に縋る。


「――慧……可愛い」

 脚を大きく割られて、奥を指で抉られる。颯の綺麗な指が、オレの中にあるって、思うだけで、なんだかもう、たまらなくなる。
 「あ」と声が上がって、びくん、と大きく震える。触られてもないのにイっちゃって、かぁっと赤くなると、ちゅ、と頬にキスされて、そのまま、また舌を奪われる。

 気持ちいいしか、無い。キスに意識を持っていかれてる間に、準備されてた、颯のがオレの中に突き立てられた。

「……っあ、あ……んん」

 ――またイッちゃった。……やば。これ。

「……待って……っ……ちょっと……止まっ……」

 涙が滲んで霞んだ視界の先で、オレを見た颯が、ふ、と笑った。

「ひぁ……っ!……っ……ぁ、……」

 深く深く、入った颯が、そこで止まる。きゅ、と締め付けると、「っ」と颯が、声にならない声を、出した。

 ぎゅう、と抱き寄せられて、ふ、と息を整えてる、颯が、壮絶に色っぽくて。
 もう、体も心も、きゅんの嵐で。

 もう、無理。好きすぎて、無理。大好きすぎて、辛い……。
 ぽろ、と涙が溢れた。

「……はやて……」
「――ん?」

 オレを見た颯が、涙を舐めとる。
 颯の体、すごく熱い。汗ばんでて、いい匂いで。

「……颯の……」
 ちょっと下に目を向けると。興味が湧いて、そろそろと、お腹に触れる。

「……中に、颯が、いるの――――大好き……」

 颯、返事をしてくれないけど。

「ずっと……してたい……くらい、好き……」

 思うことを、そのまま伝えて、颯の顔を見上げようとした瞬間。
 いきなり、さらに奥まで、突き上げられた。

「ひゃ……っ……あ……!!」

 ――わ、や、ば。
 まともに、何も考えられなくなる。

 イきっぱなしみたいな感覚に襲われて、真っ白になって。
 なのに、快感だけ。颯の熱と匂いだけは、はっきりしてて。

「……っあ……っン……っ」

「腰、動いてる――気持ちいい? 慧」
「……っん、ん」

 うんうん頷く。

「……っ……はやて……すき…… も、と、シて……」

 そう言って抱き付いたら、颯の体から、めちゃくちゃいい匂い。
 延々攻められて――。

 最後の方は、オレ、限界になってきて。

「も、むり……」
「――もう少し」
「……っんん、む、りだってば……ぁっ」

 ――なんか颯のスイッチがヤバい感じで入ったみたいで。
 コンテストで優勝とかしちゃったからかな……気持ちが高ぶってるとか……?

 ――頭、へんになりそうなくらい気持ちいい中、そんな分析をして。
 あとどれくらいするんだろう、なんて思いながら。

 でも。大好きで。


「ん、……ふ」

 また唇が触れてくる。


 颯、キス、好きだな……オレも、好き。颯としかしたことないけど。颯とするのが絶対一番好きだと思う。

 大好き。颯。


 ――多分、終わったのは、オレが、オチたから、かな。と思う。 






◇ ◇ ◇ ◇


 んんん……。
 だるすぎる…………。

 目を開けるのも、ちょっと大変……。
 
 でも頑張って目を開けると、颯は、居なかった。
 ……あれれ? トイレ……?

 そう思ったら、ドアが開いて、颯が両手に何かを持って、入ってきた。


「起きた? ちょうどよかった」
 クスクス笑いながら、片方をオレにくれる。

「わぁ……」

 あの日。
 ――颯と最初に、こうなった時に、作ってくれたご飯と同じメニュー。

「覚えてる? これ」
「当たり前。あのね、オレ、昨日、このご飯、美味しかったなあって、思い出してたんだよね」
「そうなのか? なんで?」
 颯は、ベッドに座りながら、クスクス笑う。

「颯が作るご飯おいしいねって話になって。その時、思い出した」
「――そっか。オレもなんとなく、これ、作ろうかなって」

 ふ、と楽しそうに笑う颯。
 ちょっと、恥ずかしいけど、言ってみることに。


「なんか……颯、昨日、すごく……すごかったね?」

 言ったら、思っていた以上に恥ずかしくなって、ぽぽ、と赤くなってしまうと。
 颯が苦笑した。

「……ああ、ごめん。ちょっと制御効かなくて」
「――優勝したからとか??」
「ん??」
「ほら、なんかそういうので、気分が乗って、とか??」
「――それ全然関係ないかも」
「え。そうなの?」

 そうなんだ、と思いながら頷く。
 おいしいね、と話しながら、ご飯を食べ終えて、ごちそうさま、と手を合わせると、颯がクッと笑い出して、オレの頭を撫でた。

「ん??」
「――慧、さ」
「うん」
「昨日オレがベッドに運ぶ前、どこに居たか知ってる?」
「――……さあ?」

 気づいたら、颯が抱っこしてくれてて、ベッド……?


「待ってて」

 言いながら颯が、食事の済んだトレイを持って、部屋を出て行って――戻ってきた時には、スマホを持ってた。すごいほくほく笑ってて。

「何?」
「ん。覚えてる?」

 はい、と見せられた写真は。
 オレが、毛布と、颯の洋服たちを抱えながら、めちゃくちゃ安眠してるっぽい姿。

「……ん? これ、いつの?」
「昨日、昴たちが荷物持って来てくれてたからさ。慧をベッドに寝かせた後、少しリビングで話してたんだよ。皆が帰って、ここに戻ってきたら、こうなってた」
「――――これ……」
「巣づくり、だろ?」
「――っ」
「目ぇ覚めたら、オレが居なくて、寂しかったんだろ? 酔ってたから、そっち行って、オレの服抱えて、幸せそうに寝てるしさ。もう、なんか、可愛すぎるし――抱いてる間も、やたら煽ってくるし」

 ぼぼぼぼ。
 顔、あっつ!!!

「っっこ、これ、巣作りとかじゃないからっ……!」
「んー? 何で?」
 クスクス笑う颯。

「オレ、もっとちゃんと作るって決めてるんだから……っっ」

 そう言ったら、颯はそのスマホをオレから受け取ると。

「いいよ、これで。すげえ可愛くてもう、どうしてくれようかと思ったし」
「……っっこれじゃ、ダメなの……!」

「んー……まあ、じゃあ、そっちはまた今度、楽しんで? オレ、まだ合宿のやり直しがあるから」
「…………っ」

「とりあえず、この写真は、未来永劫、保存しとく」
「…………っ……」

 真っ赤になってるオレの頬に触れて、颯がクスッと笑う。

「でも、オレが帰ってくる日に、やって」
「……」

「慧の巣作り――絶対見たいから」


 ちゅ、とキスされながら。
 

「すげえ好き」
「…………うん」

「可愛い。慧」
「…………ん」

 なんか恥ずかしいけど、やっぱり嬉しくて。
 ちゅうちゅうキスされてると、あれよあれよと、ベッドに倒される。


「んん……??」
「がっつり食べたら、また抱くって――言ったろ?」

 颯が、なんだか悪戯っぽく、笑う。「ん?」と考えて、すぐに思い出した。

 あ。――最初の時のことか……。
 

 なんかあれから。すごく色んなことがあって、人生、ぜんぶころっと、今まで考えてたものとは違ったけど。多分これからも、たくさんいろいろ、あると思うけど――。

 ふふ、と笑ってしまうと、「ん?」と微笑む颯。


「……颯」


 颯と一緒なら。いろいろあっても。
 多分、きっと、ずっと楽しい。


「大好き」



 ぎゅ、と抱き着いた。







             -Fin-


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感想 411

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みんなの感想(411件)

みどり
2024.12.05 みどり

前にコメントしようとしてて途中で変になったので、初になるのかどうか、、、
ただ、皆さんが完結おめ、されてて、まだまだずっと読みたいと思っていたお話で、完結って、、
すっごくショックだったので、、、何を楽しみにしよう、、ってくらいショックでした。
今、凛太くんのお話が始まったから、なんとかやれてる(笑)感じです。
悠里さんのお話っていうか、登場人物もだけど、思考回路っていうのか、おしゃべりっていうか、
なんだかすっごく好きです。
恋なんかじゃない、初恋よりも甘い恋なんて、も大好きです。
でも、慧と颯に触れたいので、また最初から読み直しています。
無理なく、でも、また新しいお話も、待っています。

悠里
2024.12.22 悠里

みどりさま♡

変に…? なんだろ、返信が言ってなかったら届かなかったのかもです( ノД`) コメントありがとうございます🥰🩷 とりあえず連載ものを本編は完結にしていこうと思っていて(いっぱいありすぎるので💦)
そんなに楽しみにしてくださってて、嬉しいです。ありがとうございます🥰 また二人を書けたら、ぜひ読んでやってくださいませ🩷
凛太のお話も読んでくださってるとのことで🥰 ありがとうございます✨
すっごく好きって、嬉しいですヾ(*´∀`*)ノ 思考回路好きって(´∀`*)ウフフ🩷🩵
色んなお話よんでくださり、とっても嬉しいです~✨ 

いろいろ書いていきますので、これからもお付き合いいただけますように…💖

解除
はち
2024.12.03 はち

はじめまして。Xで知って読ませていただきました。
今まで読んできたなかで、慧は一番カワイイオメガちゃんでした。
不憫受けや身分の差に葛藤する話を好んで読んできたので新鮮でした。
終始甘々で、慧は悩んでも、考えても仕方ないなとか、あとで考えればいっかとか。卑屈にならないし。
ライバルの子に感情移入して泣いちゃうとか。
でも譲れないんだよっていう姿勢とか。
無自覚に可愛さを振り撒いてるところとか。
抑えておこうと思っているのに無意識に声に出ちゃうとか。
でも、どの言葉も素直で優しくて。
天真爛漫。
言動も行動も可愛すぎて、そりゃ、みんな頭撫でちゃうし。素直すぎて心配になっちゃうし。
庇護欲をかきたてちゃう。
颯が、終始優しく、ふと微笑んじゃう気持ちが凄くわかります。
自分も読んでいて、ずっと「可愛いな」って微笑んじゃう。
こんな可愛い番の颯は本当に大変ですね。
可愛くて仕方なくて独占欲もあるし、嫉妬もするけど、慧には絶対に怒らないし束縛もせずに寛大。
慧の友だち付き合いも制限したりしない。
でも、ちょっかい出す相手には牽制する。
溺愛が間違った方向に行かずに健全で好感しかありません。
昴たち仲間も匠も元カノも周りの人たち、みんな良いひとしかいなくて、本当に安心して読めました。
後半は寝ずに読んでしまい、今早朝5時に完結まで読み終わりました。
幸せな読了感です。
続きも書いて欲しいです。番外編など楽しみに待っています。
素敵な作品をありがとうございます。

悠里
2024.12.22 悠里

はちさま♡

Xからおこしくださりありがとうございます🥰
慧は一番カワイイオメガちゃん🩷 わー嬉しいです✨ 慧の可愛いポイントとしてあげてくださってること、そういうこの子が可愛いのって思いながら書いてたことを、すごく上手にたくさん書いて下さった感じで……! わーすごい嬉しいなと思っていたら(*´艸`*)💕 
颯の方も💖 「慧の友だち付き合いも制限したりしない」をあげてくださったのも嬉しい~(´∀`*) さらっと書いた一文なんですが…そこは、颯のいいとこ、と思って書いたので……♡
溺愛が健全で好感しか…(´;ω;`)泣いちゃいます。ありがとうございます🥰

続きが書けたらぜひぜひ。お読みいただけますように🩷

解除
ねむちゃん
2024.12.02 ねむちゃん

最後まで素敵な物語ありがとうございました。終わってしまうのがとてもさみしいです。

悠里
2024.12.21 悠里

ねむちゃんさま♡

最後まで素敵と言っていただけて、めちゃくゃち嬉しいです。
寂しがっていただけるのも……💖
また番外編、書きたいと思ってるので、その時にはぜひぜひ…🩷✨

解除

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