【ひみつの巣作り】

悠里

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第191話 呼び出し

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「――――……先輩ってさ」
「うん」

 匠はオレを見て、なんだか眉を寄せる。

「オレが過去に出会った人の中で、いっっちばん、鈍い」
「えっ! なにそれ。ひどくない?」
「ひどくないです」

 はー、と深いため息をつきながら、フランクフルトを保温の箱に移していく匠。

「つか、オレ、かなり上位ランクのαですからね。家柄的にもね。つーかモテないはずないし。はーもう、その質問されたの、はじめてかも。はーもうマジで、先輩、無理」
「……ええ……なんかごめん……」

 そんなはーはー言わなくても……。
 
「いや、モテるんだろうなぁって、普通に思ってるよ? ごめん、変なこと、聞いて」
「はー、もういいです。もうマジで」
「なんかごめんって……」

 とそこへ、昴が「慧、次焼いて。このストックもらってく」とやってきた。

「うん。分かったー」
 頷いて、次の焼きそばを焼く準備を始めたオレの横で、昴が匠を見て、さすが気付くみたいで、ん? と首を傾げた。

「お前は何でそんな仏頂面で、フランクフルト焼いてんだ?」
「……もう、先輩の親友がむかつくんですよ」
「――慧、なんか言ったのか?」

「えー……匠って、モテるの? って聞いただけなんだけど」

 それだけだよねぇ、オレが言ったの。
 モテるよって言ってくれればいいだけじゃんね。

 すると、昴はちらっと匠を見て、匠の背中をポンポンたたいた。

「お前がモテるのは、コイツ以外は、全員知ってるから」
「ですよね……」

 なんかその会話も、変だと思うんですけど。
 と思うけど、なんか言う雰囲気ではない。

 ていうか。なんか面白い。

「なんでそんな仲良いの??」
 くすくすと笑ってしまうと、二人はちらっと顔を見合わせて苦笑する。


「仲良いか、オレら」
「……まあ。仲悪くはないんじゃないですか?」

 そんな二人のやりとりを見て、「仲良すぎるかんじだけど」とオレが言うと、昴がさらに苦笑い。

「とりあえず、次焼いて」
「はーい」

 昴と匠が離れていく。仲良しだよなぁ。ちょっと似てるとこもある気がするような。顔が綻ぶ。

 油をしいて、肉を焼いてた時、スマホが鳴った。
 知らない番号。――なんだろ。

「はい。もしもし?」
「神宮寺慧さんのお電話ですか?」
「はい。そうですけど……」

 肉をジュウジュウ焼きながら、なんだろ、と首を傾げると。

「イケメンコンテストの実行委員会です」
「あ。はい。何ですか??」
「すみません、あとでそちらのお店に行ってもいいですか? お話したいことがあって」
「いいですけど……あ、でも忙しかったら話聞けないかもなので……オレの方から行きますか? 空いたら行きます」
「あ、分かりました、お手数ですけど、よろしくです」
「あ、それって、颯は一緒じゃなくていいんですか?」
「――あ、言い忘れてました、すみません、むしろご本人には内緒で来て下さった方がいいです」

 電話の向こうの声が、なんだか楽しそうな笑いを含んだ。
 
「あ、はーい」

 電話を切って、ジュウジュウしつつ。
 ……はて。何だろう???

 既に颯の優勝が決まりましたー、とか?
 ……ないか、最終的に、ネットの投票を集計してからって言ってたもんな。
 なんだろ。まあいっか、あとでいっとこ。



 にしても。
 匠ってば。
 ……どこ行った?

 見回すと、昴の隣で、売り子をしてる。
 フランクフルトも焼いとくか……。

 横の空いてるところに、フランクフルトを並べて、焼きそばと一緒に焼きながら、なんとなくさっきのことを思い起こす。

 はーもうはーもうって。
 そういう感じで、なんか面白いから、ちょっと、モテるのかなーってききたくなっちゃったんじゃん。

 あいつ、黙って立ってたら、相当イケメンなんだけど、なんか絡んでると、ちょっと面白いんだよな。ふふ。昴と仲良いのも、なんか面白い。


「昴―」
「ん?」
「ここ、少し落ち着いたら、オレちょっとだけ離れるね」
「ん。どした?」
「颯に内緒で、運営来て、だって。イケメンコンテストで」
「ふうん。いいよ、今行ってくれば?」
「じゃあこの焼きそば焼き終えたら行ってくる」

 すると、持ってたヘラを奪われた。

「気になるなら先行ってこいよ」
「――ん、分かったー行ってくる。よろしくー」

 昴にバイバイしつつ、オレは、早足で歩き始めた。すごい人なので、避けながら、十号館を目指す。

 


(2024/10/25)


お知らせ。11月のコンテストについてです。
読みたい方だけおすすみください(´∀`*)。

また詳しくまとめてお話しますが、
あるふぁポリスのBL大賞というコンテストに、颯×慧をエントリーしました。11月がコンテスト期間なので、そこまでにこのお話の本編。完結させられるように。…………とりあえず、目指して!頑張ります。
アルファポリス・悠里で検索してもらえたら、私のページが出てくると思うので(´∀`*)ウフフ 応援に来ていただけたら嬉しいです。

私このお話、去年完結させるつもりだったんですけどね笑
皆さまが、伸びていいよーってどこまでも伸びていいよーって言って下さる方が多かったため、こんなところまで好き放題に書いてきました。(これ!人のせいにしない!)笑

このお話は、書いててすごく幸せなので。
幸せなハッピーエンドにしたいです(*´艸`*)
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