【ひみつの巣作り】

悠里

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第162話 まっしろに

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「オレになにか言いたいこと、ある?」

 ベッドに入って、明日も早いしさあ寝よう、みたいな雰囲気で、オレが横になろうとした時。
 横にならず、座ったままの颯にそう聞かれたので、オレも颯の横に座りなおした。

 ――――えーと。今日は朝から学祭の準備で大忙しで、屋台作ったり諸々頑張った。お昼に、昴とじゃれあってたみたいなとこを颯に見られたらしいけど、その後も全然颯は態度変わんないし、普通に話しかけてきてくれるし、優しいし、カッコいいし、皆をまとめててすごいし。
 で、夕方色々終わった後、皆でファミレスに行って、ちゃちゃっと食べて、今日は食べ終わったら解散。で、帰ってきて、お風呂入って、早めにベッドに。

 というところで、このセリフ。
 しかも、なんか、少し笑ってる。

「なんかずっと言いたげで――でも言おうとしないから、とりあえず待ってたんだけど」
「――――」
「聞いた方がいいなら聞くけど?」

 クスクス笑いながら、颯がオレを見つめる。
 ――――あーなんか。

 …………ごめん、全然関係ないけど。
 すっげー好き。颯。

 っていうことしか、浮かばない。

 オレが言いたげだけど言いにくいのも、分かってくれて、その上で、待っててくれて、でも言わなそうだから聞いてくれて、しかも、聞いた方がいいならって、そんな感じの聞き方。

 さっさと言えよ、とかじゃない。優しい。
 ……って。もう、超好き。そういうの。

 オレだったら、すぐ、「何?」て聞いちゃうと思うけど。まあそれで困ったことはないような気もするけど、でも、颯のこういうのは、優しいからだと思うから……。

 オレは、なんかもう、たまんなく好き、て思って。
 そしたら、なんか、ふわ、とまたフェロモン。

 颯は、ちょっとびっくりした顔をして。
 それから、ふ、と笑いながら、オレを抱き寄せた。

「――――……何で話を聞いたら、そーなんの」
「……ごめん」

「謝んなくていいけど」
 笑いを含んだ声が、少し、熱っぽく感じる。

 最近、最後までしてなかったような。
 ……連絡とることが多かったり、決めること決めてたり、朝早いし、とか。なんか忙しくて。

「……うー……」
「うう?」
 オレの真似をして、颯が笑う。聞いて、みようかな。

「あの……」
「ん?」
「颯、疲れてる……?」
「……疲れてないよ」
「……明日早い、の分かってるんだけど」

 颯は、少しオレを離して、じっと見つめてくる。

「……あの……」
「――――ん?」

 なんか、颯の瞳が妖しくキラキラする。
 ……オレのフェロモンはたぶんどんどん溢れてきてて、颯も分かってる。ていうか。颯からも、感じる。
 もう背中にゾクゾクしたものが走って、ふ、と息が上がる。

「颯……」

 もう絶対分かってる。颯が分かんない訳、無い。
 キスして、押し倒してくれないのかな、と思うけど、なんかじっと、見つめられているので……これは。
 きっと、何かオレから言ってほしいってことかな……。

「あの」
「ん」

 楽しそうに聞き返してくる。
 ……絶対そうだ。

「……えっと……」
「うん?」

 ふ、と笑って、首を傾げてくる。
 ううううー。
 何て言うんだ、こういう時、何て誘うのがいいんだ? 
 こう、なんか、スマートに誘いたい。

 でもすでに、えっと、あの、とか繰り返してる時点で、全然スマートじゃないんじゃ? とか、脳内に要らない考えが浮かんでは消えていく。
 それに明日も早いから、そうだ、明日本番だし。だから早く寝ようって言ったのに、ていうかもうフェロモン駄々洩れで、したいのバレてるし、颯もちょっとその気なのに、しようって言ってくれないのは、やっぱり、寝た方がいいって思ってるってことかな??? って、そしたら、オレばっかり、そんなの考えてるのって、超恥ずかしいし! って、最初聞かれたのは、こんなことじゃなくて、オレが何か言いたいことあるんじゃないのかってことで、でもなんかこんなフェロモン飛ばして話すような話じゃ全然ないし……!!!
 わーん、もう、全然意味わかんない!

 怒涛の如く、超高速で色々考えた頭は、なんかショートして。
 なんだか、わー、って真っ白になった。


「………… 一回、しよ……?」

 出た言葉は、それだった。
 言った瞬間、颯がびっくりした顔をしたので。
 あ、間違ったのでは。と思ったけど。

 そしたら、ふは、と笑った颯が、オレを抱き込んで、そのまま、ベッドに組み敷いた。
 真上に、超カッコいい、颯の顔。
 見下ろされると、死ぬほどドキドキする。

「――――……何だそれ。どう考えて、そうなったの」

 クスクス笑う颯の手が、オレのパジャマのボタンにかかる。
 焦らすみたいに、すごくゆっくり、外しながら、ちゅ、と首筋にキスされた。もうそれだけで、ゾクゾクして、震えたオレに、颯は。


「一回で良いの?」

 笑いを含んだ、優しいけど、なんだかすごく色っぽい声で、聞いてくる。



「……颯」
「ん?」

「…………すごい、好き」
「――――……」


「……オレ、はやてが、すき」
 


 言えた。
 ちゃんと。勢いとかじゃなくて。
 聞かれて言わされるとかじゃなくて。


 そしたら颯、めちゃくちゃ嬉しそうに笑ってくれて。


「オレも……慧が好きだよ」


 言って、キス、してくれた。








(2024/5/11)


んー。たまには聞いてみよう。
朝チュン🐦がいいですか 詳細がいいですか?
私はどっちでもいいです。早くお話を進めたい気もするし。
なので詳細にしても一ページにとどめます(笑)

届いた分から多数決にします。(*´ω`*)
届くかな💦 届いて…💕
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