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第109話 昼・Ω会議 4
しおりを挟む可愛くするっていうのはまた考えとくね、と言って、でもちょっと考える。
確かに、オレ、αの時のまんますぎるかも。
α同士の友達ぽい、とかじゃなくて、番としてお似合い、とは、見られたいんだよなぁ……。
ちょっとは考えてみよう。今度髪切りに行く時は、αっぽく見えないようにとか……いや、でも、変な頼み方かな。別にαに見られたくないとかでもないし、逆に、Ωに見られたいとかでもないし。
……でも、極論は、颯が可愛いって言ってくれてるのが一番嬉しいから、まあ、人の視線は関係ないと思うオレも居るんだけど。
なんて色々考えていたら、啓太が、でもさ、と話し始める。
「こないだ二人で帰っていった時は、オレ、お似合いだって思ったよ」
「え。ほんと?」
「嘘ついてどーすんの」
びっくりしたオレの顔を見て、啓太は笑う。
「颯はすっげー慧のこと優しく見てるし、慧は、颯を見上げながら歩いてて」
「――――」
「颯が背、高いから、ちょうどよくない?」
啓太が言ってくれるのが、なんだかちょっと……というか、とっても、嬉しい。そういえば、キスするのにちょうどいい、とか、颯、言ってたなぁ。
「……ん。ちょうどいい、かもね」
嬉しくなって、ふ、と微笑んでしまったら。
三人も、なんだか微笑んで、オレを見る。
奈美が「やっぱ、慧くん、可愛いなあ」としみじみ言うと、紗良も、ほんと、と肩を竦める。
「見た目とかじゃなくて、可愛いんだよねー。ほんと。颯くんは、大変だね」
「……大変て?」
何で颯が大変なんだろと思って、聞くと。
「αってさ、独占欲強いでしょ。自分のΩが可愛すぎると、外に出したくないって思う人、多いみたいだからさ」
「でも慧くんは学校もあるし、学部とかも違うしね。大変」
大変、とか言いながらも、紗良も奈美も、なんだか楽しそうに笑ってる。
独占欲かぁ。
……自分がαの時、あんまりなかった感情だから、きっとひとそれぞれだと思うけど。颯はどうなんだろ。独占欲ねぇ……なんか言ってたような。
ていうか、むしろ、オレ誰とも付き合ってないから、それが嬉しいみたいなこと言ってたような……?? って言ったら、むしろオレの方が、颯の彼女たち、気になるんじゃ……。
「あ、そうだ、あの……颯の最後の彼女ね」
「うん?」
「ほら、気を付けてた方がいいよって皆言ってたけど」
「あぁ、うん」
「そんな変なことしそうな子じゃないって言ってた。ただ、颯のこと、ほんとにすごく大好きだったみたいなのは、聞いたけど……まあ颯のこと大好きなのはもうしょうがないから……うーん……時間が経っても、オレと颯が仲良く居られたら、諦めてくれるかなって……今はまだ、オレ達の結婚、信じてない人達もいるし……」
オレの言ってるのを、ちょっと真面目な顔をして聞いてた三人は、そっか、と頷いた。
「何にも無さそうならいいけど」
「うん」
神妙に頷いたところで。突然、ぷは、と啓太が吹き出した。
「ん? 何?」
「ってか、颯のこと 大好きなのはしょうがないからって」
「あ、思った」
「私も」
啓太の言葉に、紗良と奈美もクスクス笑う。
……ん? オレ言った? そんなこと。
――――……あ、言った気がする。もう自然と。
……うぅ。
指摘されると、結構恥ずかしい。
可愛いって言われるのもΩになってからだけど、赤面するのも、Ωになって颯が絡む時だけかもしれない……。
うう。マジではずい……。
なんだか最後は結局、三人にとってもからかわれながら、お昼時間は終わった。
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