【ひみつの巣作り】完結

悠里

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第107話 昼・Ω会議 2

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 皆が来てくれたので一緒にご飯を買って、改めて座りなおした。

「それでそれで? わざわざ一緒にご飯ーて、どうしたの?」

 紗良がウキウキした口調で、先を促す。

「したんでしょう? 巣作り! どうだった?」
「した。んだけど」
「うんうん」
「……したって言っても、試しにね、パジャマとか毛布と、あと好きな服をベッドに積んで」
「うん」
「そしたら、なんか寝ちゃったんだよ」
「あー分かるー、安心する気がするよね、好きな人の匂いって」
 紗良の言葉に頷きながら。

「……そしたらね。颯が、帰ってきちゃって」
「えっ。合宿は?」

 奈美がきょとん、としてオレを見つめてくる。

「雨がひどくて、通行止めになっちゃったんだって。それで延期になったらしくて、それでオレ焦って、颯に、シャワー浴びて部屋着に着替えてゆっくりしようとかすすめて、その間に、ベッド片付けようと思ったんだけど」
「うんうん」
「……片付ける前に颯が、来ちゃって。寝室に」

 そこまで聞いた三人が、「えーーー!」と叫ぶ。

「バレちゃったのー??」
 あはは、と紗良が楽しそうに笑う。

「そんなことってあるー?」
 奈美も笑ってる。

「で、そっから、もう、めくるめく時間って感じ?」

 啓太がニヤニヤしながら言うのを聞いて、かあっと赤くなるオレ……。

「何で……」
 そう言うと、はは、と啓太が笑う。

「だって、もう、自分の服で巣作りしてたΩなんて、αにとったら可愛いに決まってんじゃん」
「そうだよねぇ」
「しかも、颯くんが合宿行ってる間に初の、とか」

 啓太に続いて、奈美と紗良も頷く。

「可愛いよねー」
 三人の声が重なる。返事できないでいるオレに、啓太はクスクス笑った。

「可愛いって言ってただろ? 颯」
「……う、ん」

 ぱぁぁ、となんだかめちゃくちゃ楽しそうな顔で笑う三人に、オレはため息をついた。

「でもさ、結局巣作りってこれでいいの?て思ってるとこで、寝ちゃってたから、全然ちゃんとできてないとこ見られちゃったから……」

 むー、と口をとがらせていると、皆があれ? と不思議そう。

「完成できてなかったの?」
「……んー、正直完成ってどれのこと言うのか分かんなかったからさ」
「人それぞれだから、自分がもうこれでいいと思ったら完成なんじゃないかなあ?」

 奈美の言葉に、そうなの? と首を傾げつつ。
 ぱく、とご飯を口に入れる。

「……んー。でもさ、どうせ見られるなら、もっと、綺麗に作ったとこが良かったなぁって」
 そう言うと、三人はクスクス笑って、また次回だね、と頷いてくれてる。

「そだね。……また次回、だね」

 いつかなあ。延期になったゼミ合宿、いつになるんだろ?
 ……その時かなと、また少しワクワクしながらも。もっと気になってたことを思い出す。昼休み、あんまり時間ないから、聞いちゃわないと、と思って、少し皆に近づいた。

「あのさ、ちょっと……恥ずかしいこと聞いていい??」
「今更だと思う」

 オレの言葉に、啓太が笑う。まあ確かに、と思って、もう少し皆に顔を寄せる。

「……あの、ね? ……ヒートん時ってさ、ゴムやだなって、思うもの?」

 とっても小声で、そう言ったら皆、ぽかーん。として。
 それから、ぷ、と吹き出して、クスクス笑う。

「……それ、颯くんに言ったの?」
 奈美の質問に、ん? と考えてから。

「うん……あ、ちょっと言った、かな……」

 そう言うと、皆は、んー、とニマニマした感じでオレを見つめる。

「もうあれだね、慧くんはさ」

 紗良は、そう言って、少しだけ考えた後。あは、と笑いながら。

「颯くんをメロメロにする術、をかけてるみたいなものだよね」
「えっ」

 メロメロにって。なにそれ恥ずかしいなっ。そんなことしてないし。
 かぁぁぁぁ。また顔が熱い。

「だってそれって、もう、中で出してってことでしょー颯くんの赤ちゃんが欲しいってことじゃない?」

 こそこそと近寄りながらも、でもすごくはっきり言いきった紗良に、めちゃくちゃ真っ赤になってしまう。

「そんなはっきり、言ってない……薬たまになら飲んでもいいよって意味で……」

 と、ちょっと反論したけど、「でも薬は百%避妊できるわけじゃないし、慧くんが言ったのそう言うことにならない?」とクスクス笑われる。……颯とちょっと似たようなこと言われてるような気がして、言葉が出てこないでいると。

「颯くん、もう、たいへーん」
「ねーほんとー!」

 奈美と紗良がめちゃくちゃ楽しそうにキャッキャッと笑ってる。
 その横で、あれ? と啓太がオレを見る。
 
「今、ヒートの時って言った?」
「……ん? あ、言った」
「え、ヒート来たの??」

 びっくりした顔で、見られて、あ、言ってなかった、と思い出す。




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