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第104話 無理 ※
しおりを挟む寝室について、ドアを後ろ手に閉める。
目の前の、ベッドの惨状――――もはやそうとしか見えない。その状況に、焦りつつ。
とりあえず、颯の下着と服を用意する。
で、それからパジャマを洗濯機に入れて、回す。
そしたら、ここの颯の服を、綺麗にして片付ける……しわになってそうだったらあとで隙を見て、アイロンしよう。
へんなことに使ったわけじゃないから、洗濯は大丈夫だよね。メインで抱き締めてたの、パジャマと毛布だし。
よし、その順番で、片付けよう。
颯の下着と服を選んで抱えてから、ベッドの上のパジャマを回収しようとして、ベッドに膝で乗った時、だった。
「慧、洗濯機の――――」
言いながら、颯が、寝室のドアを開けた。オレは、びっくりしすぎて、その場で硬直。ちーんちーんちーんちー……。変な効果音が頭でまわる。
「――――」
颯が、ベッドの上で膝立ちしてるオレを見てから、ふと、ベッドに視線を移した。
「ご。ごめん……散ら、かして……」
なんて言っていいかもわからず、自分でも良く分からないごめんを言ったら。
颯は、オレに視線を戻した。
「……散らかしてっていうか……これって」
なんだか、颯の様子が変。
声も。なんか。……そういう時、の声、みたい。
目があった瞬間。ぞく、と背筋がしびれる。
手に持ったままの颯のパジャマをぎゅと握りしめる。
颯が寝室に、入ってきて、オレの頬に触れた。
「っ……あ」
急に、ゾクッとした、熱が沸き起こる。
「洗濯してないみたいだから回そうと思ったら一番上に入れたパジャマが無くて、聞きに来たんだけど」
颯は、自分の着ていたシャツのボタンを上から外していく。なんだか、すごく、色っぽい仕草で。ごく、とオレの喉が鳴る。
「……何、すげえ可愛いことしてくれてんの?」
ベッドの上に乗ってきて、オレの腕を引き寄せる。
抱き締められてキスされる。
ベッドに仰向けにされて、颯がオレをまたいで、上に乗る。
「……だからあんなに嬉しそうだったんだ。オレが出てく時。これがしたかったの?」
クスクス笑って、オレを見下ろしながら、自分のシャツを脱ぐ。
――――オレ、嬉しそうな顔なんてしてた??
まあ確かにワクワクはしてたけど。 バレてるしー!
もう恥ずかしくて、オレは、真っ赤、だと思う。
「もう無理。かわい……」
αのフェロモン。耐えらんない位、オレに向けられる。わざと。飛ばされてる?
一瞬で、体も、気持ちも、その気にさせられる。
「……っあ……」
服を脱がされる時に触れられるだけで、ビクビク、してしまう。
上半身、裸にされて、胸に手の平が触れる。そっと、撫でられて、乳首を掠められてびくん、と勝手に体が震えた。
「……はや、て……」
思わず名を呼んで、見上げると、深く唇が重なってくる。
「……ん、ン……」
体の熱が、急上昇。
あたまの中も、真っ白で。
「――――慧……」
「……ん、ん?」
「巣作り、出来た?」
「……んん、なんか……よく、わかんなくて……」
「ん」
ちゅ、ちゅ、とキスされながら。
「颯のパジャマ……抱いてたら、寝ちゃっ、て……」
「――――あの香水は?」
ベッドサイドの香水まで見つかって、かぁぁと、赤くなりながら。
「……はや、ての……匂い、と思って、持ってきたんだけど……ん、ん」
舌が絡んで、ちゃんと話せない。
めちゃくちゃ、優しく、キスされて。
胸が、キュンキュンしすぎて、死にそう。
「でも……パジャマの方が……颯の匂いで…………香水は、つけてない……」
「――――」
唇の間で、なんとか最後まで言ったら。
颯は、少し、止まって。それから。
「慧、ほんと、ヤバい……」
「……?」
もうすっかり涙目で滲む世界の、颯を見つめたら。手を取られて、下に持っていかれた。
「?…………わ。」
何かと思ったら、颯のに、服の上から触れさせられて。ズボンの上からでも分かる。もうすごく固くなってて。
「…………っ」
もうさっきまでよりもっと、真っ赤になったと思うオレを見て、颯は、オレの頬に触れた。
「どこまで煽んの……可愛すぎるんだけど」
熱い視線が絡んだ瞬間。
ぶわ、と自分からフェロモンが。止めようもなく溢れた。
「……っふぁ、……っ……あ……」
いつもとは明らかに違う。
めちゃくちゃ激しい衝動。
なにこれ。ヒート……?
「――――……っ……はや、て……」
ぽろ、と涙が零れた。
「……颯……」
ぎゅう、と抱きつくと、颯の体が熱くなった気がした。
気のせいかな、オレが、完全に熱持っちゃっただけかな。
やばいやばい、何これ……。
「…………っ……颯……」
颯に抱かれたい。
もう無理。
そう思って、見上げると、激しくキスされた。
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