【ひみつの巣作り】

悠里

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第64話 やさしー

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 お風呂で色々しちゃって、もう、眠さとだるさが限界を超えた。
 終わると同時に、ウトウトし出したオレに、颯はクスクス笑って、シャワーを浴びさせてくれて。
 バスルームから出て、体を拭いてパジャマを着る。
 ……颯、寝る時はパジャマみたい。オレも色違いのパジャマ。

「歯、磨いてていいよ」

 言われるまま、髪、乾かしてくれてる間に、歯を磨いた。
 それから、キッチンに連れていかれて、お水を飲んだ。

「先寝室行ってて良いよ」

 そう言われて、ふらふらーと寝室へ向かった。
 ぽふ、とうつ伏せで横になる。

「――――……」

 ……なんか。
 颯との生活って、こんなに、甘々で行っちゃうのかな。
 なんかオレ、ついてくの大変だよう~……心臓が~……フェロモン出しすぎて、早めに枯れちゃうとかないのかな?

 ちょっとオレ今は、Ωの友達たちと語り合いたい。
 聞きたいこともいっぱいある……。

「……慧、寝てる?」

 静かな声がした。
 寝てたら聞こえない位の。

「んん、起きてる……」

 寝てたら寝かせてくれてたんだろうなあ、と思って。
 きゅんって、する。

 ……キュン病にかかってる、オレ……。

 優しいな、颯。

「颯ー」
「ん?」

「近いうち、友達と飲みに行って良い?」
「ん、いいけど」
「Ωの友達たちと行きたくて」
「Ωだけ?」
「うん」

 αもΩも希少で、βが多いこの世の中だけど。
 あの高校、いいとこのαもΩも、結構集まっていた。αの偉い人達がかなり寄付とかして作った学校で、αとΩの対応とかについても、ちゃんとしてて。だから余計に、集まってて……。だから、Ωの友達も、結構いる。中にはαん時に、デートした子もいるけど……。

 オレ、割とデートして、付き合わなくても、その後、友達になった子が結構居る。……そう思うと、あれなのかな。やっぱりオレって、昔からαぽくなくて、Ωっぽかったのかなぁ……。

「そういや、健人も飲みに行こうって言ってたよな……」
「あー、うん……そだね、いこっか……」

 うつ伏せで倒れたまま、なんとなく目まで閉じてると、もうなんか、眠い。

「……ものすごく、眠そう」

 クスクス笑いながらベッドに腰かけた颯に、頭をヨシヨシと撫でられる。

「……はやて」
「ん?」

「……なんか。……やさしーね」

 なんかすごく眠くて。
 颯の手が、すごく心地よくて。

 ふふ、と笑ってしまいながら、目を伏せる。
 
「――――……」

 颯からは返事がなかったけど。
 大きな手が、そのまま、頭を撫でてくれて。

 なんかめちゃくちゃ、安心して、そのまま。
 なんだかとてもとても、幸せな気分で、眠りについた。








(2023/11/2)
α大賞1日目の順位。6 位 /2,774 位でした( ノД`)アリガトウ…。
ひきつづき応援よろしくお願いします。
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