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第58話 初めてとか ※
しおりを挟む「ふ、は……」
颯がしてくれるキス。
あっという間に、頭の中が、颯だけになるというか。それ以外、真っ白。
「……ン、……っふ」
キスされる角度を変えられて声が漏れて、それでも一生懸命応えていると。ゆっくりとキスが離れた。ふと気付いて、瞳を開けると、至近距離から見つめられてて。
わー、目、つむってんのガン見されるの、はずい。
かぁっと熱くなると、頬に颯の手が触れた。
「慧が誰とも付き合ってないなんて、思わなかったしさ」
「……ん?」
「別に初めてを望んでた訳じゃなかったんだけど」
「うん……」
「オレとしか、してないのって」
「……??」
「死ぬほど可愛いと思うみたい」
「――――……」
今、なんと?
……死ぬほど可愛いって言いました??
死ぬほど? 可愛い???
「……っっっ」
ぼぼぼぼぼ。
体ん中に、火山でもある気がする。
あっつい。ナニコレ。燃える……。
「なんか、キスしてても、息の吸い方とか、感じ方とか」
「……っっ」
ちょ、あの、恥ずかしすぎるんだけど。
ひえー、と颯を見つめていると。
「全部オレとで覚えてくのとか、可愛い」
っっ。はずい。
「……っでも」
「ん?」
「颯は、初めて、じゃないじゃん」
究極に恥ずかしいのの、照れ隠しと言うか。
可愛くないなと自分で思いながら、つい言ってしまって、むむむ、と口を閉じると。颯は、苦笑い。
「そこはごめんとしか言えないけど。……でもそこは仕方ないの、分かってるだろ?」
穏やかに返してくれて、ほっ。
よかった。余計なこと言って、怒らせたらやだし。
うん、そこ、どうしようもないって分かってる。
でもちょっと気になってて、出てしまったのかもしれない。
……オレは初めてだけど。
颯は、何人かは、こんなふうにキスして、抱いたんだよなーて思うと。
……これも、ヤキモチってやつか。そっか……。
「――――分かってる……」
なんだか少し、しょんぼりした気分になってしまったオレ。
こんなしょうがないことに、ヤキモチとか、ガキんちょみたいだな、オレ。
「慧、怒ってる?」
颯にじっと見つめられて、すぐ、首を横に振った。
「怒ってない。……オレがしてないのは、ただオレがそんなに望んでなかったってだけで」
「――――……」
「……颯は、普通なんだと思う。好きな子とそうなってたってだけだし」
そう言ったら、ゆっくり唇にキスされた。優しい、キス。触れるだけの。
「慧」
「……ん?」
「オレとは、したいって思う?」
「――――……っ」
かあ、と赤くなる。
多分、この反応で、したいって思ってること、バレてる気がするけど。
「ん? したい?」
続けて聞いてきて、くす、と笑う颯。バレてる気はするけど、ちゃんと答えた方がいいってことだよな。
「う、ん」
頷くと。颯は、瞳を緩めて、ふ、と笑った。
なんだか颯が嬉しそうに見えて、ドキ、とする。
◇ ◇ ◇ ◇
◇お知らせ◇
こちらの作品、アルファポリスのBL大賞にエントリーします。
巣作りの話まで入れて、11月までに完結できたらいいなと。それを目指します。
あと、もう短編の文字数じゃないので、後で長編に直します💦
短編なら読んでやろうと思って読み始めてしまった方いらしたらすみません~
でも11月末か、+ちょっとくらいで、終えますからお許しを~( ̄▽ ̄;)💦
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