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第44話 変性がオレで良かった?
しおりを挟む「でも、あれだよね。αからの変性って言ってもさ……」
誠が少し首を傾げながら、んー、と唸る。
「うん?」
「今まで慧って、見た目からだってαとしてしか見られてなかっただろ? で、もともとΩの男は、華奢な奴が多いじゃん?」
「うん」
「変性したからって、体格とか、そこまで変わる訳じゃないし……αっぽいΩってことになるのか?」
「うーん……医者は、少しずつ体も変化してくかもって言ってたけど……あっ、なんか肌とかきれいになったりするかもって言ってた!」
「ていうか慧、肌きれいじゃん。それ以上どうなんの」
「あれ、そう? ……うーん、よくわかんないけど」
昴の半分呆れたみたいなツッコミに、あは、と笑う。
「背が縮んだりする訳じゃないだろうし。どうなんだろね。なんかレアすぎて、あんまり例もないみたいでさ」
あはは、と笑うと、三人は苦笑い。
「こんな言い方はどうかと思うけど……」
「ん?」
「変性なんてレアな出来事にあたったのが慧だったのは、良かったのかもな。お前だからそんなで居られるのかも」
「なー? 慧ってすごいよな。オレだったら笑ってられない」
「……つか、お前ほんと、平気なの?」
健人と誠は苦笑い。昴は真顔で、聞いてくる。
「あ、オレ、Ωになったこと、まだ一回も嫌だとは思ってないんだよね。Ωの体って、大変そうだなーって思ってるくらいで……」
三人は、ふ、と同時に笑い出して、誠なんか、ケタケタ笑ってる。
「慧のそういうとこ、大好き」
誠によしよしされてしまう。
「もー、撫でんなよ」
「あ。何。今までだって撫でてたのに。まさか撫でんのは、颯専用ってこと? ……てか、あいつ、そういうことする?」
ん? ……颯は……うん。撫でる……。
めちゃくちゃ撫でてくる。特にベッドの中とか――――……。
ぼぼぼぼ。
ひえー。顔、あつ。
「もー、そういうの聞くなよっ!」
「うわ、おっもしろ、ちょっと詳しく聞いていい?」
「ぜってーやだ!!」
わーわー言ってると、周りの友達たちも、どーしたどーしたと、話に入ってこようとする。
「今来ンなー!」
さらに喚いてると、やっと教授が入ってきて、やっと解放された。
少しして落ち着いてから。
……まあなんか、そうかも。Ωになったのがオレで良かったのかも。
皆がなってたら、きっと、後継ぎの奴らも居るし、どう考えてもαでしかいられないような奴らもいるし、大変だったろうな。
……で、オレは。
やっぱり、颯が居てくれて、良かった。
なんて改めて思って、ホクホクしていた。
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