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第35話 どうすれば
しおりを挟むどうしたらいいのか分からないまま、聞かれることに答えたりしている内に食事が終わって、一緒に片付けた。
お酒を飲みながらゆっくり食べたけど、まだ二十時過ぎ。
颯って、いつも何時に寝るんだろ。
オレ達って、あのベッドで一緒に寝るんだよな? ……ベッド買わなくていいってなったし、当たり前といったらそうなんだろうけど。
この間をどう過ごしたらいいんだろ。
「お茶いれる? コーヒーとかどこ?」
「酒飲んでたし今はいい……つか、風呂入ろう」
「……」
風呂入ってくる、なら分かる。
風呂入ろう。って、一緒にですか?
汗がだらだら流れ落ちていくような気分。
確かに、あの日、玄関からシャワーへ直行した。したけど、あれは、もう、なんか体がヤバいのが先だったから、それでよかった。
……今オレ、ちょっとほろ酔い位。完全にまともな精神状態なんですが。
「一人で入りた」
「だめ。行くぞ」
ふ、と目を細めて見つめられて、目が合うと、クスッと笑われる。
心臓がドキドキ震えてる間に手を引かれて、否応なく連れていかれる。
颯、こういう時、こんな感じで、強引なのか……。
バスルームの脱衣所で手を離され、ドアが閉まると、緊張感が倍増。
二週間前、颯と初めてのキスをした。
……ていうか。颯と初めてというか、そもそもファーストキスだったわけだけど。激しすぎてついてくのに精いっぱいで、大変だったなぁ……。ていうか、キスと一緒に色んなことされちゃったのだけど。
その後、一度もそんな雰囲気になることもなくここまで来た。
正直あの日のことは、初めてのΩとしての感覚に、ほんと必死でいまいち記憶もぼんやりな……。
オレは今からどうしたらいいのかな。
相手が可愛い女の子とかなら、さすがに知識はある程度持ってる。
が。オレはそもそも、バスルームに突然連れてきたりはしないと思うんだよね。
オレなら、手を繋ぐとこから始まって、肩を抱いたり、抱き締めたり。優しいキスから始めると思う。しかもそれ、きっと数分でとかじゃなくて、デートを重ねながら、だと思うんだよね……。
いきなりバスルームで二人きりで、しかも相手は颯で、オレは、抱かれる方、とか。結構、パニックだぞ。
えっと……オレ、ぽーんと脱いじゃえばいいのかな?
どうせ、こないだ散々体は見られてる。今更って気もしなくはない。
「慧」
颯の手が、オレの頬に触れて、少し上げさせられる。
見つめられたまま、キス、される。
「……っっ」
いやいや。
前回どんだけ見られたの分かってたって、
颯の前で、ぽーんと脱ぐとか、ありえない。
今更だからとか言って、羞恥が消える訳もない。
いやむしろ、なんか、ちょっと二週間前の時より、色々好きになっちゃってたりするから、羞恥は増すばかりだ。
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