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第26話 奇跡みたいな
しおりを挟む「二人が望んでそうなって、しかも運命の番なら、親の私たちにも、何も言うことはない」
オレ達をまっすぐに見て、颯のお父さんが言った。
「――――……え」
颯のお父さんの言葉に、オレと颯は、ぽけ、と顔を見合わせた。
「ですよね?」
颯のお父さんが、オレの父さんに、そう言って、苦笑を浮かべる。
すると、オレの父さんまで、そうですね、と笑った。
その様子を見ていた颯は、オレをじっと見つめてから、また、父さん達の方を向いた。
「あの」
颯がそう言って、皆を見る。
「オレ、後悔させないって言いましたけどそれは気持ちの面で……実際にはオレ達はまだ学生で、学費とか住むとことか全部出してもらってる状態なので……これから今までよりもっと、色々頑張るので――――……オレ達が二人で生きられるようになるまで、迷惑をかけると」
そこまで颯が言った時。颯の言葉をさえぎって、「それは迷惑じゃない」と、颯のお父さんが言った。
「ですね。子供の面倒を見るのは親の役目だから」
と、オレの父さん。
「これからのことは、ゆっくり話して決めよう。慧くんのご家族も一緒に」
「そうですね。……一つ言えるのは『運命の番』はαの一族では最優先だってこと。めったに出会えるものじゃないと皆が知っている。しかもそれが、昔から知ってる、もともと好きな相手ときて……変性してまでとなったら、めったにない奇跡みたいなものだと思う」
父さんの言葉に、そうか、奇跡なのかと思いながらも、途中のセリフに超ひっかかる。
「……っ」
……もともと好きなんて言ったっけ。
言ったか、意識してたって。いやでも、それは張り合ってたからで、そういう好きとかの意識じゃ……って、父さんの口から、もともと好きとか出ると、超恥ずかしい……。わぁ、なんか色々はずい。無理無理。
かぁぁぁ、と赤くなってると、ふとオレに視線を向けて、それに気づいた颯が、ふ、と微笑んだ。
わー。やめろよ、今そんな優しい顔で、見んなよ。
ますます顔が熱くなる。
多分颯が微笑んだりするから、皆がオレを見て、そこに真っ赤なオレを見つけると、なんだかやたら、ほわっとした雰囲気になった。
いや待って、超はずいから、待って。
なんかいい雰囲気になるのも、マジで恥ずかしすぎる!
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