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第21話 しあわせ感
しおりを挟むなんか気持ちいい。
ふわふわ、浮いてるみたいな気持ち。
頭、なでなでされてる……かな。ふわふわって……。
つい、ふ、と笑ったような。
すると、頭を撫でていた何かが、ぴた、と止まった。
「慧……?」
「……?」
優しい、声が聞こえる。颯の声だ。……こんな声、出すんだ。颯。
頬に触れてる颯の手。少し冷たい。さっきまで、めちゃくちゃ熱かったのに……。
そんな風に思いながら、ゆっくり瞳を開くと、オレを覗き込んでいる颯と目があった。
「気分は?」
心配そうに、そう聞かれた。
気分……? ……あ。そっか。
ゆっくりと起き上がる。
「大丈夫そうか?」
「……うん。多分」
そう言うと、少しほっとしたみたいな顔の颯に、引き寄せられて抱き締められた。
噛まれて……そうだ、なんか、気持ちよすぎて、おかしくなったみたいに、抱かれて、そのまま寝落ちたんだ。
「慧」
「ん……?」
緩く抱き締められたまま、颯の手が、うなじにそっと触れた。
「……痛かったか?」
「んー……痛いより、熱かった、かな……」
「今、どんな気分?」
「……んー……なんか……」
……すっごく嬉しい感じ。
オレ、学校で颯に会うまではαだったのに。
なんか嘘みたいに、今はΩを受け入れてるし。……颯が居てくれたからだと、思うけど。一人だったら、どうしてただろう。……一人だったら、今はまだ、こうはなってなかったかな。気分悪くて、明日そのまま病院に行ったのかなぁ。
……でも、颯に会って、良かった。と、思う自分がいる。
なんか今の気分を言葉で言うなら、幸せというか。ほくほくした気分というか。
さっきまで暴れるみたいにきつかった体の高ぶりも、なんだか落ち着いてる。自分の匂いは落ち着いてると思うけど、颯の匂いは相変わらずイイ匂い。
「……すごく、良い感じ」
全部言うのは恥ずかしすぎるので、それだけ伝えて、ふふ、と思わず笑ってしまったら。
颯も、ふ、と笑んで、オレの額にキスした。
「明日、病院いこうな」
「うん」
「オレらの親も病院に呼ぶか。……その方が、話も早いだろ」
「あー……うん。そだね」
考えてみると、そこでの説明が一番納得してもらえそう。事態は、医者に説明してもらえるし。
……死ぬほどびっくりされるに違いない。
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