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第6話 ファーストキス
しおりを挟む車に乗せられて、大学の近くの颯のマンションに着いた。もうオレは立てなくて、またお姫様抱っこ。高級マンションの広すぎるエントランスを抱きかかえられたまま通り過ぎて、エレベーター。多分相当高層階なんだろう、全然着かない。早く、と願ってしまう。
……早く、なんて。
早く着いたら、どうなるか、分かってるのに。
いっつも涼しい顔してた、超イケメン。こんな下から見上げるとか。
これから。オレ達がするのは――――……。
想像すると、体の奥の方が、きゅん、とするし、フェロモンが、また放出するような感覚。
Ωって……ほんと。分かりやすいな……。
「お前……それ、少し抑えられる?」
「……ごめん。無理……どうやんのかわかんない」
「…………」
は、と息をつく、颯の呼吸が少し震えてる気がする。
これを感じるαも大変なんだろうな。ごめんなー、まき散らしてて。
エレベーターを降りて颯が歩き始める。
おお、さすが、めちゃくちゃ高そうなマンションだな。オレのマンションも豪華だけど、ここもすごい……。ていうか、颯って力あるな。オレを軽々と抱っこして、すたすた進んでいくんだから、すごい……。スリムに見えるのに。着やせするタイプかな……。
なんかオレはもう、正直、どうでもいいこと考えてないと、フェロモンまき散らして死にそうになる気がするので、延々とくだらないことを考え続ける。しゃべれないのは、息をひそめてないと、どんどん呼吸が、荒れそうだから。
颯がある部屋のドアを開いて、オレを降ろした。
「靴、脱いで」
「ん」
脚に力が入らなくて、玄関に腰を下ろして、靴を脱いだ。
「慧」
腕を引き上げられて、背中を壁に押し付けられた。
「もう限界。いいか?」
「うん。オレ、も……っ……ん……!」
頷いて言いかけてる途中で、颯の唇が、重なってきた。余裕のない、激しいキス。
これが、颯との初めてのキスかぁ、と思うと、激しすぎておかしいなと頭の隅で思う。
……でもなんかオレ達らしいかも。
「ん……ン、ンッ……っ」
息もつかせてもらえない位。
苦しいけど、でも。
颯の匂いが、甘すぎて、おかしくなりそう。
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