59 / 75
第3章 キャンプ
「好き」*蓮
しおりを挟むほんとに。可愛いな……。
樹、綺麗。
キスしながら、樹の髪に触れる。
サラサラ。
睫毛、長い――――……。
「……れん……?」
「――――……ん?」
「……何で見て、んの?」
「ん――――…… 可愛い、から?」
そう言うと、樹はふ、と苦笑いを浮かべる。
「……オレ、可愛くないよ。普通の男だし」
「可愛いよ。――――……綺麗だし」
「綺麗?」
樹は、また苦笑いしてる。
「初めて話した日さ、イケメンで有名だから樹のこと知ってるって、オレが言ったの覚えてる?」
「うん。言ってたよね。オレ確か、嫌味にしか聞こえないって言った」
オレの言葉に、そういえばと思い出したらしく、クスクス笑ってる。
「それを何で言ったかっていうとさ。……囲碁の大会でいいとこ行った男の顔がすごい綺麗だから見てみろって言われたのが、樹を初めて見た日だったからでさ……。 綺麗で有名だ、なんて、初対面で言えないだろ?」
「何綺麗って」
「皆言ってたよ、樹の顔、綺麗って」
「――――……」
「……まあ別に、綺麗だから好きになったわけじゃ無いけど。今は、オレにとっては可愛くもあるしね」
頬に触れて、その頬をすりすりと、撫でる。
「――――……来て、樹」
樹の手を引いて、ベッドに座る。
「――――……樹、今オレと何したい?」
「え」
「オレはしたいこと決まってるんだけど……」
「え。あ……したいこと?」
うろたえてる樹が、可愛い。
「――――……蓮は、何が、したいの?」
「……樹は?」
「オレは……蓮がしたい事がしたい、かな」
「――――……」
何て言うのかなと思って聞いたら、うろたえてるのが可愛くて、
答えを待っていたんだけれど。
そんな答えが返ってくるとは思ってなかった。
「……そんな事言って、いいの?」
「……?」
「オレが、すごいこと、樹としたいって思ってたら、どーすんの?」
「――――……」
何を考えたのか、少し、赤くなる。
「すごい、こと……?」
「――――……」
「……蓮がしたいなら、良いよ」
「――――……」
…………ダメだ、これ。
…………可愛い。
樹をぎゅー、と抱き締めてしまう。
「蓮……?」
「――――……樹」
「……何、したいの?」
「――――……っ」
なんかもう――――…… ほんと、襲うよ……?
……こんなとこで、しないけど。
「樹……」
樹をぎゅ、と抱き締めたまま、ベッドに2人でころん、と転がった。
そのまま、向かい合う。
「――――……蓮?」
「……このまま話そ?」
「――――…………」
樹が、ふ、と笑った。
「すごいこと……って、これ?」
「……違うよ。すごいことって、きっと言ったら樹が驚くと思うけど……」
笑いながら言うと、樹もふ、とまた笑う。
「――――……今できないし。……今はする気もないよ」
「――――……」
「樹」
更に顔を寄せて、ちゅ、と唇にキスする。
柔らかくキスして、離れようとしたら。
樹の手が、オレの腕に少しだけ掛かって。
樹から、ふわ、と触れるだけのキスが返ってきた。
「――――…………」
マジマジ樹を見つめると、樹が、照れくさそうにふわ、と笑う。
「だって、オレもしたかったから……」
……可愛すぎて、無理。
そのまま引き寄せて、すっぽり抱きこむ。
「……なんか寝て、くっついてると、すっごい、密着してる感じするね……」
「――――……する」
「……蓮のしたいことって、これ……?」
「……ん」
もっと色々したい気もするけど。
なんか本当に収まらなくなりそうなので、頷いた。
「――――……オレね」
「ん?」
「……キス、したい」
「――――……」
「蓮と、キスしたい」
――――……あ、もう無理。
すっぽり抱き込んでた樹を、上に引き寄せて組み敷く。
「――――……んっ……」
深く、唇を重ねたら、樹から声が漏れた。
可愛いな。
ほんと、可愛い、樹。
舌先で、樹の舌に触れると。
樹は、ぴく、と震えて。
「……ん、……」
そっと、触れ返してくる。
完全に調子に乗って、めちゃくちゃ、深く、キスを繰り返した。
「ふ、は……くるし……」
はあ、と息をついて。
樹が、くす、と笑って、唇を少し離した。
「――――……蓮……」
ぎゅ、と首に抱き付かれて。
名を呼ばれる。
「ほんと、樹――――……可愛すぎだから、もう少し、考えてしゃべって?」
「――――……」
「……ここで、オレに色々されたら困るでしょ?」
「…………蓮なら、いいけど」
「だからー、そうやって、全部オレを受け入れちゃうのは……」
「――――……」
そこまで言って、しばらく止まって。
「……すげー、可愛いけど」
オレは、はーー、とため息をつきながら、樹を抱き締めた。
すると、樹は、「何それ……」とクスクス笑う。
「……蓮、好き、だよ」
「――――……うん。オレも……」
なんだか幸せすぎて。
森田達が、鍵がかかってるだの大騒ぎし出すまで、密着したまま、過ごしてしまった。
29
お気に入りに追加
583
あなたにおすすめの小説
侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。
その溺愛は伝わりづらい!気弱なスパダリ御曹司にノンケの僕は落とされました
海野幻創
BL
人好きのする端正な顔立ちを持ち、文武両道でなんでも無難にこなせることのできた生田雅紀(いくたまさき)は、小さい頃から多くの友人に囲まれていた。
しかし他人との付き合いは広く浅くの最小限に留めるタイプで、女性とも身体だけの付き合いしかしてこなかった。
偶然出会った久世透(くぜとおる)は、嫉妬を覚えるほどのスタイルと美貌をもち、引け目を感じるほどの高学歴で、議員の孫であり大企業役員の息子だった。
御曹司であることにふさわしく、スマートに大金を使ってみせるところがありながら、生田の前では捨てられた子犬のようにおどおどして気弱な様子を見せ、そのギャップを生田は面白がっていたのだが……。
これまで他人と深くは関わってこなかったはずなのに、会うたびに違う一面を見せる久世は、いつしか生田にとって離れがたい存在となっていく。
【7/27完結しました。読んでいただいてありがとうございました。】
【続編も8/17完結しました。】
「その溺愛は行き場を彷徨う……気弱なスパダリ御曹司は政略結婚を回避したい」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/962473946/911896785
↑この続編は、R18の過激描写がありますので、苦手な方はご注意ください。
白金の花嫁は将軍の希望の花
葉咲透織
BL
義妹の身代わりでボルカノ王国に嫁ぐことになったレイナール。女好きのボルカノ王は、男である彼を受け入れず、そのまま若き将軍・ジョシュアに下げ渡す。彼の屋敷で過ごすうちに、ジョシュアに惹かれていくレイナールには、ある秘密があった。
※個人ブログにも投稿済みです。
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
【完結】キミの記憶が戻るまで
ゆあ
BL
付き合って2年、新店オープンの準備が終われば一緒に住もうって約束していた彼が、階段から転落したと連絡を受けた
慌てて戻って来て、病院に駆け付けたものの、彼から言われたのは「あの、どなた様ですか?」という他人行儀な言葉で…
しかも、彼の恋人は自分ではない知らない可愛い人だと言われてしまい…
※side-朝陽とside-琥太郎はどちらから読んで頂いても大丈夫です。
朝陽-1→琥太郎-1→朝陽-2
朝陽-1→2→3
など、お好きに読んでください。
おすすめは相互に読む方です
「誕生日前日に世界が始まる」
悠里
BL
真也×凌 大学生(中学からの親友です)
凌の誕生日前日23時過ぎからのお話です(^^
ほっこり読んでいただけたら♡
幸せな誕生日を想像して頂けたらいいなと思います♡
→書きたくなって番外編に少し続けました。
麗しの眠り姫は義兄の腕で惰眠を貪る
黒木 鳴
BL
妖精のように愛らしく、深窓の姫君のように美しいセレナードのあだ名は「眠り姫」。学園祭で主役を演じたことが由来だが……皮肉にもそのあだ名はぴったりだった。公爵家の出と学年一位の学力、そしてなによりその美貌に周囲はいいように勘違いしているが、セレナードの中身はアホの子……もとい睡眠欲求高めの不思議ちゃん系(自由人なお子さま)。惰眠とおかしを貪りたいセレナードと、そんなセレナードが可愛くて仕方がない義兄のギルバート、なんやかんやで振り回される従兄のエリオットたちのお話し。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる