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第3章 キャンプ
◇
しおりを挟む「佐藤はそのキス、見たんだろ? どんなだった?」
「どんなて…… だって、樹、すごい拒否ってたからね。 加瀬もさ、他の奴にしてもいいかとか言ってたし。でもなー、橋本も譲らなかったし……まあオレ達も悪乗りしてたしな」
「他の奴にしようとしてたのか? 加瀬が?」
「うん、相手変えてもいいかって、橋本に聞いてたよね?」
「うん。……言ってた」
「けど、オレと橋本も罰ゲームやったから、橋本も譲らなくてさー。結局加瀬と樹がやる事になったんだよ」
少し渋滞して、車が止まっているから、佐藤がオレを見て、ね、と笑う。
「――――……まあ、相当、まわり、悲鳴だったんだろうな」
「悲鳴もだけど、歓声も起こってたよ」
佐藤が苦笑しながら答えると、森田はおもしろそうに笑った。
「森田は、彼女いるの?」
「いるよ。佐藤は?」
「居る」
「2人とも、大学に居るの?」
オレが聞くと、2人は同時に首を横に振った。
「高校の時の子」
「オレも~」
「へえ、いいね、続いてるんだね。 オレは高2で別れちゃってるから、こないだ、元気かなーって思い出してたんだー」
「樹の彼女てどんな子だった?」
「んー……派手で、明るくて…… すごく活発な子だった」
思い出しながら言うと、佐藤も森田も、え、と顔を向けてくる。
「優しくておとなしい子、とかじゃないんだね」
「意外。 てか、絶対、ひっぱられてただろ」
「……よく分かるね」
ちょっと腑に落ちないけれどそう言うと、2人がぷっと笑った。……森田なんかは、もはやめちゃくちゃ楽しそうに笑ってる。
「樹、おもしれーな」
「……森田笑いすぎ」
「あ、怒った?はは。おもしろ」
むー。
一瞬黙ってると。
「ごめんごめん」
まだしつこく笑いながら、言ってくる。
「もーいいよ……」
苦笑いしてると、目の前の蓮の車が高速の入り口に向けて、車線変更していく。
「あ。佐藤、高速だね。……しゃべってても平気?」
「……んー。オレは答えられないかも」
「了解」
「頼むぜ、佐藤ー」
「とりあえず加瀬についてく……」
緊張し始めた佐藤を横目にしつつ。
「てか、森田が免許取ってないの意外」
「あ、オレ今取りに行ってるとこ。間に合わなかった」
「あ、そうなんだ」
「今度どっか行く時は、オレが乗せてやるから」
「うん」
やっぱりなんとなく、森田って、蓮とちょっと似てる気がする。
まあ森田の方が悪ふざけ度は高いけど。
意外と車の中、楽しくて、話が途切れない。
よかった、なんて思いながら。
蓮はどうしてるのかなあ、と。
前の車を眺めた。
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