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第3章 キャンプ
◇
しおりを挟む「明日さ、結局8人なんだって。オレと樹含めて男子5人と、女子3人」
「うん、今日聞いたよ」
「レンタカー2台借りて、車で行くって聞いた?」
「あ、そうなんだ」
「オレと佐藤が免許持ってるから、必然的に運転。だから、とりあえず大学終わったら、樹とオレは家に荷物とりに来て、そのままレンタカー借りに行って、集合場所で、誰か2人乗せて出発」
「うん。分かった」
「……お前、オレの隣ね?」
「あ……う、ん」
出来たら、そうする……けど。
隣に座りたいって……言いそうな気がする……。
「……何、歯切れ悪い。 樹? やなの?」
「嫌じゃないよ、でも……」
「でも?」
「……この旅行中、ずーっと隣……て訳にはいかないんじゃないかなーて」
「――――……」
「……皆と一緒な訳じゃん……?」
「短距離の移動の時は諦めるけど ……でも、基本、隣な?」
ふ、と笑まれて。
――――……なんとなく、頷いた。
そりゃオレだって、隣に居れた方が楽しいし、楽なんだけど。
「泊りに女子呼ぶとは思わなかったから、ちょっとびっくりした」
そんな蓮の言葉に。
「うん。そうだね……」
「よく来るよな。男子5人とさ。 その内誰か付き合ってる奴ら居んのかな」
「うーん……どうなんだろ。全然知らない」
「知らないっていうか、興味、ないだろ」
クスクス笑われて、思わず頷く。
その通り。
別に、興味が、ない。
「オレも最近そういうのどうでも良くて、全然聞かないから、樹の事いえないけど――――……とりあえず、そこらへんは明日男子に確認しとくよ。気ぃ使った方がいいとこあるかもだし」
「そだね」
「10人まで泊まれるログハウスがあるから、そこに8人で予約したってさ」
「そうなんだ……」
てことは。
蓮のこと好きな坂井優菜ちゃん……も、同じ建物で一緒に泊まる、のか。
……きっと今頃、超楽しみに、してるんだろうなあ。
――――……山田に今日、初めて名前を聞いた。
クラスの中でも、可愛らしい女の子らしいイメージの子で。
派手な子が何となく見た目で蓮を気に入ってるとかじゃなくて。
本気で好きなのかなあ、と思って。
それからずーと、モヤモヤしている、どうしようもない、この気持ち。
はー。
………ほんと。 憂鬱。
変に思われないように、蓮と普通に会話しながらも。
時たま小さく息が漏れるのを、どうしようもなかった。
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