【完結】続：クマさんも一緒 〜S級冒険者と少年の恋物語〜

本編

---ガイル視点③---

　日に日に、イズが可愛さを増していく。

　可愛さだけでなく、色気が出てきて、口付けの後に、くたりと力が抜けたイズは、頬が色付き、伏し目がちな瞳は潤み、まるで情事後の様で、今にも組み敷きそうなところをグッと堪える。

　そろそろ俺の限界も近いな。

　イズも、嫌がっている様子は見られないし、徐々に強請るような仕草も見られる。
　今、想いを伝えたとしても、断られる事は無いか･･･？

　いつになく弱気な自分に呆れる。

　イズの事になると、途端にいつもの自信が失われていく。
　もし、断られて、家を出ていくなんて事になったら･･･。
　イズ無しの生活なんて、もう俺には考えられない。
　毎朝、イズの笑顔に見送られ、ギルドに顔を出し、家に帰れば、またイズが笑顔で迎えてくれる。
　そんな小さな幸せが、今の俺には何よりも大切だ。失いたくない。
　
　毎朝、寝惚けてる振りをして、イズの反応を確かめる様に、口付けをする。
　こんな卑怯な俺でごめんな。

　そろそろ、俺も覚悟決めるか。

　それはそうと･･･イズって多分経験無いよな･･･。
　今まで、経験豊富な奴らばかりが相手だったから、初めての奴は抱いた事がない。
　イズには、初めての経験で、痛い思いはさせたくない。
　出来るだけ優しく大事に抱いてやりたい。

　あの店なら、そういうのにも対応している商品が売っているだろうから、行ってみるか。

　◇ ◇ ◇

　「ようこそ、燐火堂へ」

　「･･･見ない顔だな」
　
　何度か、顔を出している店だが、この店員は初めて見るな。

　「1ヶ月程、こちらのお店を任されることになりました、リンと申します。本日は、何をお求めですか？」

　「あー･･･。相手は男なんだが、初めてだから、痛く無い様にしてやりたくて。そういうのあるか？」

　「それでしたら、こちらの商品がおすすめですね。少し媚薬効果が含まれておりますので、初めてでも、痛みなく、快感を得られます。ただ、初めてですと、情事後、痛みが出る場合もあるので、痛み止め成分が入っている、こちらの商品も合わせて使われるのをおすすめしております」

　「そうか･･･。じゃ、両方貰おうか。後、それとこっちのも貰っていく。香りは･･･柑橘系で」

　いつもなら、ハーブの香りを選んでいたが、イズなら柑橘系の香りの方が好きだろうし、イズにはこちらの香りの方が似合ってると思う。

　会計を済ませ、マジックバッグに商品を詰め込み、店を後にする。

　今日は、ギルドに寄っても、イズの事が頭から離れずに、結局依頼を何も受けずに、燐火堂へ来てしまった。
　今から帰れば、イズと昼飯を一緒に取れるな。
　よし、美味しそうなもんでも買って帰って、一緒に食べた後に、落ち着いて気持ちを伝えよう。

　断られるなんて考えたくないが･･･。
　断られたとしても、離してやる自信はないが。