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本編

引越し

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 買った家具は、その日の内に、すぐに搬入して貰えるとの事で、本当に今日から新居で生活が可能になってしまった。

 まだ、今住んでいる部屋の解約の手続きなども一切していないのに。
 とりあえず、契約自体は、今月末までにして貰って、部屋は、今日引き払ってしまおう。

 新居は、木の温もりを感じ、大きな窓があるので、家の中も明るい。
 街の外れにあるから、木々も程よくあり、静かで気持ちが良い場所だ。

 小さな庭もあるので、そこでランチを取ったりするのもいいかもしれないな。

 新居で、家具が運び込まれるのを、眺めていると、作業場の机を買うのを忘れていた事に気付いた。
 そうだった・・・。
 テーブルや椅子といった、ガイルと一緒に使う物ばかりに、目が行って、作業机の事をすっかり忘れていた・・・。

 明日にでも、また家具屋さんに行って、買わないと。
 そんな事を思っていたら、作業場の扉を開けて、お店の人が入っていった。
 あれ?何をしてるんだろう?

 作業場を覗きにいってみると・・・。
 大きな作業机や本棚。収納ケースなどが置かれていた。

 え・・・?
 買った覚えのない物が、作業部屋に設置されていき、呆然と見つけてしまう。

 「どうだ?気に入ったか?」

 「え?ガイルが、買ってくれたの?」

 「あぁ、お前が、テーブルやらを選んでくれてる間にな。俺からのプレゼントだよ」

 「えっ!?そんな、プレゼントされるような事無かったでしょ!?」

 「あれだな。イズのクマさんが戻ってきたお祝いって事にしようぜ」

 「そんな・・・」

 「だから、何度も言ってるだろ?細かいこと気にするなよ。甘えとけ。これ位どうって事ないんだよ。イズが、気に入ってくれたなら、それで俺は良いんだよ。どうだ?気に入ったか?」

 「うん・・・。机も大きくて凄く作業がしやすそう。それに、本も沢山収納出来そうだし、インクとかも保管して置けて、凄い作業場だよ!」

 「そうか。イズが、そうやって喜んでる姿を見るだけでも、俺には十分だ」

 「ガイル・・・」

 「さっ、飯にしようぜ。朝から、動き回って疲れただろ?」

 そう言うと、運び込まれたばかりのテーブルの上に、食事やお茶などを並べ始めた。
 ガイル・・・気が利き過ぎて、言葉が出てこないよ。
 僕、こんなに何でもして貰って、ダメ人間になりそうだよ。

 ガイルに、依存し過ぎ無いように気をつけないと。
 既に、添い寝してくれないと寝れないなんて、言っているんだから。

 これ以上は、ガイルに迷惑かけられないもんね。
 ガイルに、恋人が出来るような事があれば、いつでも出て行く心の準備はしておこう。
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