【完結】続:クマさんも一緒 〜S級冒険者と少年の恋物語〜

Ria★発売中『簡単に聖女に魅了〜』

文字の大きさ
上 下
14 / 34
本編

---ガイル視点---

しおりを挟む
 イズが大事にしていた、クマのぬいぐるみが帰ってきた。
 小さくなって・・・。

 いや、本当に、前々からどうなってるんだと思っていたが、ここに来てまたしても・・・。
 深く考えたところで、分からないから、考えるのは止めよう。

 とりあえず、イズが元気になってくれるのなら、なんでも良い。
 
 だが・・・添い寝が無くなったのは、地味に痛いな。
 添い寝を続けるとは、流石に言えなかったな。

 クマも戻ってきた事だし、これから、イズも徐々に元に戻っていくだろう。
 心身共に、元気になった頃に、愛を告げるか。
 それまでは、何も言わずに、甘やかして、意識させていくか。

 今は、全く意識されてないからなー・・・。
 毎晩、添い寝しているのに、緊張して寝れないどころか、安心してぐっすり寝てしまう始末。
 
 きっと、自分が襲われるなんて、考えたこともないんだろうな。
 まぁ、流石に、合意の上でないと、手は出さないけど。

 イズが、買い出しに行っている間、クマと2人きり。
 まじまじと見つめてしまう。

 『冒険者・・・何度も言う様だけど、見過ぎだ』

 「あー・・・悪いな。いや、本当にどうなってるのか不思議で、見ちまうんだよな」

 『・・・・・・冒険者には、坊ちゃんがお世話になっていたみたいだから、見ることを許してあげよう』

 「そうか。まぁ、世話っていうか、俺が好きでやってただけだな」

 『添い寝をしているとは思わなかったよ』

 「ほら。お前ら、寝る前に、話しながら寝てたんだろ?イズが、1人じゃ寝れないみたいで・・・」

 『坊ちゃんには、寂しい思いをさせちゃったね。坊ちゃんの相手をしてくれて、ありがとう』

 「いいって。それより、今日からは、俺は添い寝してやれないから、あいつに何か変化があれば、教えろな?」

 『・・・冒険者は、過保護過ぎないか?どうして、坊ちゃんをそこまで気に掛ける?』

 「あー・・・どうすっかな」

 もう、クマには、言うか?
 協力とまでは言えなくても、何かしら、こいつから情報貰えるかもしれないしな。

 「まぁ、なんだ・・・イズが好きだからだな」

 『・・・・・・』

 何だよ・・・。
 黙るなよ・・・。

 「言いたい事があるなら、言えよ」

 『冒険者は、女性には困らないと思ったが、違うのか?』

 お前・・・。
 気にするところは、そこなのか。
 確かに、寄ってくる女は多いが・・・。

 「女性に困らなかったら、どうなんだよ。関係あるか?」

 『坊ちゃんに、手を出された後に、他の女性に目移りされても困る』

 ・・・なるほど。
 こいつは、イズの保護者だもんな。

 だが、無用な心配だ。
 俺は、イズと出会ってから、イズ以外には、欲情しない。

 元々、性別に拘りは無かったからな。
 好みドンピシャなイズを見つけたら、もう他は、どうでも良くなった。

 今は、誰の相手もしていない。

 「お前が、心配するのも無理ないが、その心配は必要ないが・・・そう言ったところで、信じろって方が無理か」

 『そうだね。クマさんは、坊ちゃんが傷付く事は、望まないからね。簡単に手を出さないで欲しいんだ』

 「分かってるよ。今は、まだイズも俺に対して、先輩冒険者としてしか見てないからな。徐々にイズの気持ちを俺にむけて見せるさ」

 『坊ちゃんの気持ち次第だね』

 「あぁ、そうだな」

 少し、クマと話して、ソファーで横になっていると、美味しそうな匂いをさせたバスケットを持ったイズが帰ってきた。

 「クマさん!ガイル!ただいま。今からパーティーをしよう!」

 久しぶりに、心から嬉しそうな笑顔を見ることが出来て、やっと日常が戻ってきたんだなと思った。
 いつまでも、笑顔でいられるように、護って見せる。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

ダンシング・オメガバース

のは
BL
異世界転移したけれど、僕の知ってるオメガバースとなんか違う! なんだってこの島のイケメンたちは、僕にダンスを見せつけるんだ。 僕は先生に相談した。 先生は、右も左もわからぬ僕を拾って保護してくれた人で、僕の担当医のようなものである。 彼が言うには、この島のバース性は独自の進化を遂げていて、ダンスで互いを誘惑するらしい。 しかも検査を重ねるうちに僕のバースは徐々にオメガを示し始めた。 自分のバース性を受け入れられずにいる僕にも、とうとう発情期がやってくる。 こんなとき触れてほしいのは先生だ。だけど、先生は僕のフェロモンの影響を受けない。 このままつらい片思いがずっと続くんだと思っていた。 先生が、僕の前から突然姿を消すまでは。 ※他サイトにも掲載しております。 輝くような素敵な表紙はまめさんが書いてくださいました!

フローブルー

とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。 高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。

魔術師の卵は憧れの騎士に告白したい

朏猫(ミカヅキネコ)
BL
魔術学院に通うクーノは小さい頃助けてくれた騎士ザイハムに恋をしている。毎年バレンタインの日にチョコを渡しているものの、ザイハムは「いまだにお礼なんて律儀な子だな」としか思っていない。ザイハムの弟で重度のブラコンでもあるファルスの邪魔を躱しながら、今年は別の想いも胸にチョコを渡そうと考えるクーノだが……。 [名家の騎士×魔術師の卵 / BL]

某国の皇子、冒険者となる

くー
BL
俺が転生したのは、とある帝国という国の皇子だった。 転生してから10年、19歳になった俺は、兄の反対を無視して従者とともに城を抜け出すことにした。 俺の本当の望み、冒険者になる夢を叶えるために…… 異世界転生主人公がみんなから愛され、冒険を繰り広げ、成長していく物語です。 主人公は魔法使いとして、仲間と力をあわせて魔物や敵と戦います。 ※ BL要素は控えめです。 2020年1月30日(木)完結しました。

出来損ないΩの猫獣人、スパダリαの愛に溺れる

斯波良久@出来損ないΩの猫獣人発売中
BL
旧題:オメガの猫獣人 「後1年、か……」 レオンの口から漏れたのは大きなため息だった。手の中には家族から送られてきた一通の手紙。家族とはもう8年近く顔を合わせていない。決して仲が悪いとかではない。むしろレオンは両親や兄弟を大事にしており、部屋にはいくつもの家族写真を置いているほど。けれど村の風習によって強制的に村を出された村人は『とあること』を成し遂げるか期限を過ぎるまでは村の敷地に足を踏み入れてはならないのである。

[BL]王の独占、騎士の憂鬱

ざびえる
BL
ちょっとHな身分差ラブストーリー💕 騎士団長のオレオはイケメン君主が好きすぎて、日々悶々と身体をもてあましていた。そんなオレオは、自分の欲望が叶えられる場所があると聞いて… 王様サイド収録の完全版をKindleで販売してます。プロフィールのWebサイトから見れますので、興味がある方は是非ご覧になって下さい

死に戻り騎士は、今こそ駆け落ち王子を護ります!

時雨
BL
「駆け落ちの供をしてほしい」 すべては真面目な王子エリアスの、この一言から始まった。 王子に”国を捨てても一緒になりたい人がいる”と打ち明けられた、護衛騎士ランベルト。 発表されたばかりの公爵家令嬢との婚約はなんだったのか!?混乱する騎士の気持ちなど関係ない。 国境へ向かう二人を追う影……騎士ランベルトは追手の剣に倒れた。 後悔と共に途切れた騎士の意識は、死亡した時から三年も前の騎士団の寮で目覚める。 ――二人に追手を放った犯人は、一体誰だったのか? 容疑者が浮かんでは消える。そもそも犯人が三年先まで何もしてこない保証はない。 怪しいのは、王位を争う第一王子?裏切られた公爵令嬢?…正体不明の駆け落ち相手? 今度こそ王子エリアスを護るため、過去の記憶よりも積極的に王子に関わるランベルト。 急に距離を縮める騎士を、はじめは警戒するエリアス。ランベルトの昔と変わらぬ態度に、徐々にその警戒も解けていって…? 過去にない行動で変わっていく事象。動き出す影。 ランベルトは今度こそエリアスを護りきれるのか!? 負けず嫌いで頑固で堅実、第二王子(年下) × 面倒見の良い、気の長い一途騎士(年上)のお話です。 ------------------------------------------------------------------- 主人公は頑な、王子も頑固なので、ゆるい気持ちで見守っていただけると幸いです。

【旧作】美貌の冒険者は、憧れの騎士の側にいたい

市川パナ
BL
優美な憧れの騎士のようになりたい。けれどいつも魔法が暴走してしまう。 魔法を制御する銀のペンダントを着けてもらったけれど、それでもコントロールできない。 そんな日々の中、勇者と名乗る少年が現れて――。 不器用な美貌の冒険者と、麗しい騎士から始まるお話。 旧タイトル「銀色ペンダントを離さない」です。 第3話から急展開していきます。

処理中です...