【完結】続:クマさんも一緒 〜S級冒険者と少年の恋物語〜

Ria★発売中『簡単に聖女に魅了〜』

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本編

遠乗り

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 ガイルと共に、馬を借りて、森の中にある湖の畔まで、馬で駆ける。

 森の中の道を、冷んやりとした風を浴びながら、馬で駆けるのは、とても気持ちが良い。
 まるで、風と共に全てが洗い流される様な、そんな気持ちにすらなる。

 湖に着くと、馬達に、水をあげて、近くに放ってあげると、思い思いに草を食べていた。
 しっかりと躾がされているのか、勝手に遠くに行かず、湖の周辺で待機しているのは、素晴らしい。

 そんな、馬達を眺めていると、ガイルから声が掛かる。

 「イズ。疲れただろ?少し休もう」

 振り返り、ガイルの方を見ると・・・。

 地面に、大判の布を敷いて、マジックバッグから、お茶を取り出しているところだった。
 いつの間に・・・。

 「ガイル、凄いね。急なお出かけだったのに、準備が良すぎるよ」

 「俺は、良く狩りで遠出するからな。マジックバッグには、色んなものを入れてあるんだよ。今日も役に立って良かっただろ?」

 「うん、とても良いね。久しぶりに馬に乗ったから、少しお尻にきてたんだよね・・・」

 「ははっ。まぁ、普段乗らないと、そうなるな」

 「う″・・・これからは、こうやって馬に乗ろうかな。家にばかり篭っているのも良くないしね」

 「いつでも、付き合ってやるから、言えよ?」

 「うん、ありがとう」

 ガイルから、カップを受け取り、喉を潤す。
 静かに、目を閉じると、小鳥の囀りと葉が風に揺れる音が聞こえる。
 このまま、眠ってしまいそう・・・。

 「家に篭ってばかりで、体力も落ちてるだろ。少し、寝てもいいぞ。適当に起こしてやるから」

 「でも、それだと、ガイルが暇でしょ?折角、連れて来て貰ってるのに・・・」

 「気にするな。俺ものんびり過ごすさ。何なら、一緒に転寝するかもしれないしな。ほらっ、こっちこい。俺に寄りかかって寝れば、少しは楽だろ」

 「え?」

 隣にいたガイルに、軽々と抱き上げられて、脚の間に座らされる。
 後ろから、抱き込まれる様な体勢に、いつも、夜に添い寝して貰ってる時のことを思い出す。
 ガイルって、人との距離が、近いよね。
 誰にでも、こんなことしてるのかな・・・。

 「ほら、身体を俺に預けて、リラックスしろ」

 言われるがままに、ガイルに寄り掛かり、目を閉じる。
 いつも添い寝して貰っている様に、ガイルから感じる体温に、自然と眠気が訪れる。
 ガイルは、安眠効果があるんだなー・・・。

 気付けば、ぐっすり眠っていたようで、目を覚ました時には、大分、陽が傾いていた。

 「お、起きたか?」

 「ガイル!僕、結構寝ちゃってたみたいだね。起こしてくれれば良かったのに」

 「起こそうかと思ったんだが・・・あまりにも、気持ち良さそうに寝てたからな。起こすのも可哀想に思えてな」

 「う″・・・確かに、ぐっすり眠っちゃってたね」

 「それで、良いんだよ。今は、身体と心を休める時だって、何度も言ってるだろ?」

 「うん、ありがとう」

 「よしっ。じゃ、そろそろ帰るか」

 「そうだね。早くしないと、陽が落ちちゃうね」

 折角、遠乗りに連れて来て貰ったのに、僕は寝てるだけで、ガイルに悪いなと思いながらも、そんな僕を責めるわけでもなく、それで良いと言ってくれるガイルの優しさに、今は、ただ甘える事にした。
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