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本編
遠乗り
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ガイルと共に、馬を借りて、森の中にある湖の畔まで、馬で駆ける。
森の中の道を、冷んやりとした風を浴びながら、馬で駆けるのは、とても気持ちが良い。
まるで、風と共に全てが洗い流される様な、そんな気持ちにすらなる。
湖に着くと、馬達に、水をあげて、近くに放ってあげると、思い思いに草を食べていた。
しっかりと躾がされているのか、勝手に遠くに行かず、湖の周辺で待機しているのは、素晴らしい。
そんな、馬達を眺めていると、ガイルから声が掛かる。
「イズ。疲れただろ?少し休もう」
振り返り、ガイルの方を見ると・・・。
地面に、大判の布を敷いて、マジックバッグから、お茶を取り出しているところだった。
いつの間に・・・。
「ガイル、凄いね。急なお出かけだったのに、準備が良すぎるよ」
「俺は、良く狩りで遠出するからな。マジックバッグには、色んなものを入れてあるんだよ。今日も役に立って良かっただろ?」
「うん、とても良いね。久しぶりに馬に乗ったから、少しお尻にきてたんだよね・・・」
「ははっ。まぁ、普段乗らないと、そうなるな」
「う″・・・これからは、こうやって馬に乗ろうかな。家にばかり篭っているのも良くないしね」
「いつでも、付き合ってやるから、言えよ?」
「うん、ありがとう」
ガイルから、カップを受け取り、喉を潤す。
静かに、目を閉じると、小鳥の囀りと葉が風に揺れる音が聞こえる。
このまま、眠ってしまいそう・・・。
「家に篭ってばかりで、体力も落ちてるだろ。少し、寝てもいいぞ。適当に起こしてやるから」
「でも、それだと、ガイルが暇でしょ?折角、連れて来て貰ってるのに・・・」
「気にするな。俺ものんびり過ごすさ。何なら、一緒に転寝するかもしれないしな。ほらっ、こっちこい。俺に寄りかかって寝れば、少しは楽だろ」
「え?」
隣にいたガイルに、軽々と抱き上げられて、脚の間に座らされる。
後ろから、抱き込まれる様な体勢に、いつも、夜に添い寝して貰ってる時のことを思い出す。
ガイルって、人との距離が、近いよね。
誰にでも、こんなことしてるのかな・・・。
「ほら、身体を俺に預けて、リラックスしろ」
言われるがままに、ガイルに寄り掛かり、目を閉じる。
いつも添い寝して貰っている様に、ガイルから感じる体温に、自然と眠気が訪れる。
ガイルは、安眠効果があるんだなー・・・。
気付けば、ぐっすり眠っていたようで、目を覚ました時には、大分、陽が傾いていた。
「お、起きたか?」
「ガイル!僕、結構寝ちゃってたみたいだね。起こしてくれれば良かったのに」
「起こそうかと思ったんだが・・・あまりにも、気持ち良さそうに寝てたからな。起こすのも可哀想に思えてな」
「う″・・・確かに、ぐっすり眠っちゃってたね」
「それで、良いんだよ。今は、身体と心を休める時だって、何度も言ってるだろ?」
「うん、ありがとう」
「よしっ。じゃ、そろそろ帰るか」
「そうだね。早くしないと、陽が落ちちゃうね」
折角、遠乗りに連れて来て貰ったのに、僕は寝てるだけで、ガイルに悪いなと思いながらも、そんな僕を責めるわけでもなく、それで良いと言ってくれるガイルの優しさに、今は、ただ甘える事にした。
森の中の道を、冷んやりとした風を浴びながら、馬で駆けるのは、とても気持ちが良い。
まるで、風と共に全てが洗い流される様な、そんな気持ちにすらなる。
湖に着くと、馬達に、水をあげて、近くに放ってあげると、思い思いに草を食べていた。
しっかりと躾がされているのか、勝手に遠くに行かず、湖の周辺で待機しているのは、素晴らしい。
そんな、馬達を眺めていると、ガイルから声が掛かる。
「イズ。疲れただろ?少し休もう」
振り返り、ガイルの方を見ると・・・。
地面に、大判の布を敷いて、マジックバッグから、お茶を取り出しているところだった。
いつの間に・・・。
「ガイル、凄いね。急なお出かけだったのに、準備が良すぎるよ」
「俺は、良く狩りで遠出するからな。マジックバッグには、色んなものを入れてあるんだよ。今日も役に立って良かっただろ?」
「うん、とても良いね。久しぶりに馬に乗ったから、少しお尻にきてたんだよね・・・」
「ははっ。まぁ、普段乗らないと、そうなるな」
「う″・・・これからは、こうやって馬に乗ろうかな。家にばかり篭っているのも良くないしね」
「いつでも、付き合ってやるから、言えよ?」
「うん、ありがとう」
ガイルから、カップを受け取り、喉を潤す。
静かに、目を閉じると、小鳥の囀りと葉が風に揺れる音が聞こえる。
このまま、眠ってしまいそう・・・。
「家に篭ってばかりで、体力も落ちてるだろ。少し、寝てもいいぞ。適当に起こしてやるから」
「でも、それだと、ガイルが暇でしょ?折角、連れて来て貰ってるのに・・・」
「気にするな。俺ものんびり過ごすさ。何なら、一緒に転寝するかもしれないしな。ほらっ、こっちこい。俺に寄りかかって寝れば、少しは楽だろ」
「え?」
隣にいたガイルに、軽々と抱き上げられて、脚の間に座らされる。
後ろから、抱き込まれる様な体勢に、いつも、夜に添い寝して貰ってる時のことを思い出す。
ガイルって、人との距離が、近いよね。
誰にでも、こんなことしてるのかな・・・。
「ほら、身体を俺に預けて、リラックスしろ」
言われるがままに、ガイルに寄り掛かり、目を閉じる。
いつも添い寝して貰っている様に、ガイルから感じる体温に、自然と眠気が訪れる。
ガイルは、安眠効果があるんだなー・・・。
気付けば、ぐっすり眠っていたようで、目を覚ました時には、大分、陽が傾いていた。
「お、起きたか?」
「ガイル!僕、結構寝ちゃってたみたいだね。起こしてくれれば良かったのに」
「起こそうかと思ったんだが・・・あまりにも、気持ち良さそうに寝てたからな。起こすのも可哀想に思えてな」
「う″・・・確かに、ぐっすり眠っちゃってたね」
「それで、良いんだよ。今は、身体と心を休める時だって、何度も言ってるだろ?」
「うん、ありがとう」
「よしっ。じゃ、そろそろ帰るか」
「そうだね。早くしないと、陽が落ちちゃうね」
折角、遠乗りに連れて来て貰ったのに、僕は寝てるだけで、ガイルに悪いなと思いながらも、そんな僕を責めるわけでもなく、それで良いと言ってくれるガイルの優しさに、今は、ただ甘える事にした。
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