上 下
7 / 34
本編

食事は・・・

しおりを挟む
 つい、隣の席を見てしまう。
 外食する時は、いつも隣の席にクマさんを座らせていたので、隣を見ても空席のまま。

 黒焦げになってしまったクマさんを、持ち歩くわけにもいかないので、家に置いてきている。
 おしゃれ好きなクマさんも、きっと今の状態は誰にも見られたく無いはず。

 早く、クマさんを元に戻す方法を探さなくちゃ・・・。

 折角、ガイルが食事に誘ってくれたのに、中々食事が進まない。

 「まぁ・・・あれだ。肉は良いから、スープだけでも全て食べろよ。食べないと元気出ないだろ」

 「うん、ありがとう。お肉は、お持ち帰りにさせて貰って、夜にでも食べる事にするよ」

 「いや、無理するな。どうせ、夜も大して食べられないんだろ?俺が食べてやるから、よこせ。夜は、また野菜たっぷりのスープでも食べて、徐々に食べる量を増やしていけばいい」

 「ありがとう・・・」

 僕がへこんでばかりいたら、ガイルも食事が不味くなっちゃうな。
 
 「それで・・・あいつを元に戻せそうな魔法陣は、見つかりそうか?」

 「それが、中々見つからなくてね。父や兄達にも探して貰って、いくつか本を送って貰って、試してみたりしてるんだけど、全然効果がなくてね」

 「そうか・・・」

 「それで、いくつかの魔法陣を組み合わせて、新しい魔法陣を作って見ようかなと思ってるんだ。もしかしたら、試していくうちに、効果があるものが出来上がるかもしれないし・・・出来ることは、何でも試してみたいんだ」

 「いいんじゃないか?やってみろよ。それで、上手くいけば儲けもんだろ」

 「うん!頑張るね!」

 「だが、夜更かしは禁止だ。イズが倒れたら、あいつが元に戻っても喜ばねーからな」

 「うん・・・分かった」

 「まっ、俺が毎日添い寝してやるんだから、夜更かしさせないけどな」

 「う″・・・」

 「はぁ、やっぱり、言うこと聞かないつもりだっただろ。今は、とりあえず、しっかり食べて、寝ろ。あいつを元に戻すのも大事だが、まずは、イズが元気になることが、最優先だ。あいつが元に戻って、久しぶりに見たイズが窶れてたら、悲しむだろ?」

 「うん・・・そうだよね。僕がちゃんとしてないとね」

 「よしっ!じゃ、さっさと食べないと冷えちまうぞ」

 「そうだね。頂きます」

 いつまでも、くよくよしてばかりもいられない。
 クマさんが、いなくても、しっかり生活していたと見せなければならない。

 痩せ細ってしまった身体を元に戻して、肌艶や髪質なども手入れしてどうにかしないと。
 クマさんが、今の僕を見たら、がっかりしちゃうよ。

 お揃いのリボンを付けて、お出かけするんだから、僕も見た目に気を使わないと。
 よし!クマさん、いつ戻ってきても大丈夫な様に、僕も頑張るからね!
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

帝国皇子のお婿さんになりました

クリム
BL
 帝国の皇太子エリファス・ロータスとの婚姻を神殿で誓った瞬間、ハルシオン・アスターは自分の前世を思い出す。普通の日本人主婦だったことを。  そして『白い結婚』だったはずの婚姻後、皇太子の寝室に呼ばれることになり、ハルシオンはひた隠しにして来た事実に直面する。王族の姫が19歳まで独身を貫いたこと、その真実が暴かれると、出自の小王国は滅ぼされかねない。 「それなら皇太子殿下に一服盛りますかね、主様」 「そうだね、クーちゃん。ついでに血袋で寝台を汚してなんちゃって既成事実を」 「では、盛って服を乱して、血を……主様、これ……いや、まさかやる気ですか?」 「うん、クーちゃん」 「クーちゃんではありません、クー・チャンです。あ、主様、やめてください!」  これは隣国の帝国皇太子に嫁いだ小王国の『姫君』のお話。

【完結・BL】DT騎士団員は、騎士団長様に告白したい!【騎士団員×騎士団長】

彩華
BL
とある平和な国。「ある日」を境に、この国を守る騎士団へ入団することを夢見ていたトーマは、無事にその夢を叶えた。それもこれも、あの日の初恋。騎士団長・アランに一目惚れしたため。年若いトーマの恋心は、日々募っていくばかり。自身の気持ちを、アランに伝えるべきか? そんな悶々とする騎士団員の話。 「好きだって言えるなら、言いたい。いや、でもやっぱ、言わなくても良いな……。ああ゛―!でも、アラン様が好きだって言いてぇよー!!」

俺がイケメン皇子に溺愛されるまでの物語 ~ただし勘違い中~

空兎
BL
大国の第一皇子と結婚する予定だった姉ちゃんが失踪したせいで俺が身代わりに嫁ぐ羽目になった。ええええっ、俺自国でハーレム作るつもりだったのに何でこんな目に!?しかもなんかよくわからんが皇子にめっちゃ嫌われているんですけど!?このままだと自国の存続が危なそうなので仕方なしにチートスキル使いながらラザール帝国で自分の有用性アピールして人間関係を築いているんだけどその度に皇子が不機嫌になります。なにこれめんどい。

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

仮面の兵士と出来損ない王子

天使の輪っか
BL
姫として隣国へ嫁ぐことになった出来損ないの王子。 王子には、仮面をつけた兵士が護衛を務めていた。兵士は自ら志願して王子の護衛をしていたが、それにはある理由があった。 王子は姫として男だとばれぬように振舞うことにしようと決心した。 美しい見た目を最大限に使い結婚式に挑むが、相手の姿を見て驚愕する。

モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中

risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。 任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。 快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。 アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——? 24000字程度の短編です。 ※BL(ボーイズラブ)作品です。 この作品は小説家になろうさんでも公開します。

職業寵妃の薬膳茶

なか
BL
大国のむちゃぶりは小国には断れない。 俺は帝国に求められ、人質として輿入れすることになる。

婚約破棄された悪役令息は従者に溺愛される

田中
BL
BLゲームの悪役令息であるリアン・ヒスコックに転生してしまった俺は、婚約者である第二王子から断罪されるのを待っていた! なぜなら断罪が領地で療養という軽い処置だから。 婚約破棄をされたリアンは従者のテオと共に領地の屋敷で暮らすことになるが何気ないリアンの一言で、テオがリアンにぐいぐい迫ってきてーー?! 従者×悪役令息

処理中です...