【完結】冒険者になる!え?クマさんも一緒だよ?〜魔力が少ない少年の思考錯誤冒険記録〜

Ria★発売中『簡単に聖女に魅了〜』

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本編

試し撃ちがしたい

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 僕は弓を手に入れて浮かれていた。
 今すぐにでも試したい。

 昼も過ぎて大分時間も経っている為、今から森に行くと薄暗くなってしまう。
 どうしようかな・・・と考えていると、ガイルが僕の頭に手を置いた。

 なんだろう?とガイルを見上げる。

 「お前・・・まさか今から森に行くつもりじゃないだろうな?」

 「・・・・・・」

 どうして分かっちゃうの!?
 S級冒険者の感とか言うやつなの!?

 「はぁ、冒険者成り立ての上に、慣れない弓を持ってこれから暗くなる森に向かうなんて、自殺行為だからやめとけよ」

 「・・・だよね。ちょっと思ったんだけどね。なんか新しい弓を手に入れたら試したくなっちゃって・・・」

 「そうだな・・・森まで行かなくても開けた場所があるから、そこで試し撃ちしてみたらどうだ?俺も付き合ってやるよ」

 おぉー、相変わらず面倒見が良い!

 「良いの?ありがとう!」

 ◇ ◇ ◇

 ガイルに案内されてきた場所は、周りには何もない、ただ広いだけの場所。

 えーっと・・・つまりは的になるものもない。

 どうやって試し撃ちするの!?

 と、思っているとガイルがマジックバッグ から何やら焚き火用の木を取り出している。

 ん・・・?ここで焚き火?なんで?

 不思議に思い、ガイルが作業しているのを見守る。

 薪にナイフで穴を開けて、紐を通していた。

 何作ってるんだろう?

 周りに誰も居ないからか、クマさんが僕の腕から抜け出し、地面に降りる。
 
 『冒険者は、坊ちゃんの為に的を作ってるんだな』

 「ん?あれ的作ってたの?」

 『紐で通せば、薪が風で揺れるから動くものを狙う練習にもなるから、今の坊ちゃんには最適だね』

 「おー!凄いね!やっぱり経験の違いか!」

 ただ、的がないと思うだけの僕とは大違い!
 僕もこういう風に考えられる様になりたいな。
 
 ガイルと一緒にいると色んな事を知ることが出来る。

 僕に出来ることなんて、お礼としてスクロールを渡す事位だ。

 でも、悲観することもないか。
 ガイルは商業ギルドで僕が描いた【転移】のスクロールを良く買ってる見たいだし、お礼としては最適だと思う。

 そんなことを考えていると、ガイルが「ちょっとこっち来い」と声を掛けてきた。

 「そっち側を持って、地面に刺せ。俺はこっちをやるから」

 そう言うと、ガイルは持っていた木の棒を地面に突き刺した。
 それを真似るように、僕もガイルから離れたところに、棒を刺した。

 紐が通された薪が5本風に揺られていた。
 これが、弓の練習をするための即席の的。

 「ガイル!的を作ってくれてありがとー!」

 「まぁ、ここに誘ったのは俺だからな。これくらいしてやるよ」

 S級冒険者凄すぎる!
 
 
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