【完結】冒険者になる!え?クマさんも一緒だよ?〜魔力が少ない少年の思考錯誤冒険記録〜

Ria★発売中『簡単に聖女に魅了〜』

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本編

作戦会議

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 僕とクマさんは、部屋に戻り作戦会議をする事にした。

 僕とクマさんは、ベッド中央で座り込み腕を組んで考える。

 「クマさん・・・あの人何かしてくると思う?」

 『うーん、正直なところ良く分からない。ただ、彼強そう。気配も殺して近付いてきてたし、レベル高い冒険者だよ』

 「あー、やっぱりそうだよね。視線だけで黙らせる感じあるし、怖かったな・・・」

 『でも、悪い感じはしなかった。ただ単純に未知のものを見て興味が沸いたっていう感じだと思う』

 「そっかぁ。興味・・・困ったなぁ」

 『まぁ、上級冒険者と冒険者なりたての初級冒険者の坊ちゃんとじゃ、狩場も同じになることは無いし、そんなに会うことはないんじゃないかな?朝依頼を受ける時だけ気をつければ、大丈夫だと思うよ。狩りをする冒険者達は大体夕方に依頼完了報告にするからね。昼に依頼完了報告にくる坊ちゃんとは会うこともないでしょ』

 「おー、それもそうだね。朝会わないように、こっそり入れば良いか」

 クマさんと今後の方針が決まったところで、カードゲームをして遊ぶ事にした。
 カードを全部裏返して並べて、カードを2枚ずつ捲って当てていくゲーム。

 ・・・クマさんが記憶力良過ぎて、僕がボロ負けしたのは悲しい思い出になった。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 朝、冒険者ギルドの扉をそっと開けて中を見る。

 中を見渡すが、彼はいない!
 よし!さっさと受付を済ませて、森へ行くぞ!

 と、意気込み受付を済ませて森へ来てみると・・・

 既に彼が来ていた。
 切り株に腰を掛けて、ナイフで果物の皮を剥いて食べている。
 
 「・・・・・・」

 「・・・・・・よう、昨日ぶりだな」

 「はい、おはようございます」

 とりあえず、挨拶をする。
 彼は何しに来たのだろうか。クマさんが目当てか。

 「まぁ、そんなに硬くなるなよ。別に取って食おうって訳でもない。ただ、それがどうにも気になってな」

 それ・・・はい、クマさんですね。
 どうしたものかと、クマさんを抱きしめる腕に力が入る。

 「もう動いてるの見てるんだから、そいつ下ろして好きにさせてやれよ」

 確かに、今更彼に隠す事はない・・・。
 仕方なく、無言でクマさんを下ろすが、クマさんは僕の足にしがみついて離れようとしない。

 (あぁーーーー!!クマさんが可愛いーーーー!!!こんな時だけど、クマさんが可愛すぎるーーーー!!!!)

 彼もクマさんの行動が可愛いと思ったのか、「ぷっ」と吹き出し笑う声が聞こえた。

 「お前らね、そんなに警戒するなよ。って言っても難しいか。俺はガイル。S級冒険者だ。お前は?」

 (S級冒険者ー!!だから、周りがあんなに注目していたのかー!!納得)

 「僕は、イズール。こっちはクマさんです」

 「・・・クマさんって名前なのか?他の名前ないのか?」

 「クマさんは、クマさんです。小さい頃からずっとそう呼んでいるので、別の呼び方はないです」

 「そうか。まぁ、なんでも良いか。それで、お前は薬草採取してるってことは、初級冒険者か?」

 「はい、僕最近冒険者登録したばかりで、まだ薬草採取しかした事がないんです。狩りをするには、剣術も魔術も全然使えないので、狩りに向けて色々と考えているところです」

 「剣も魔法も使えないのに、冒険者になったのか?」

 「・・・・・・そうですけど。でも、僕魔法陣が描けるので、魔法陣を使った戦闘をしようかと模索しているところです」

 「へぇ、それは珍しい。魔法陣を使った戦闘ね。ちょっと面白そうだな。そのクマといい、お前ら面白いな」

 「面白い・・・うーん、クマさんは面白いかもしれないですが」

 「その魔法陣を使った戦闘興味あるから、お前の狩りの練習付き合ってやるよ。俺が付いていれば、何かあっても助けてやれる。どうだ?S級冒険者に初級冒険者が面倒見て貰える事なんてないんだぜ?」

 (それは・・・興味本位だとしても、ありがたい申し出だ)

 「ですが、僕そんなに稼いでないので大したお礼は出来ないのですが、ガイルさんは依頼受けたりしないのですか?」

 「俺のことは、ガイルで良い。敬語も不要だ。お礼なんて要らない。俺が面白そうだから付いてやるだけだ」

 「えーっと、それでは、宜しくお願いしま・・・宜しくね、ガイル」

 「おう!」

 良く分からないが、僕はS級冒険者という最強カードを手に入れた。
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