【完結】冒険者になる!え?クマさんも一緒だよ?〜魔力が少ない少年の思考錯誤冒険記録〜

Ria★発売中『簡単に聖女に魅了〜』

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本編

冒険者ギルドへ

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 朝早くから冒険者ギルドへ向かう。
 依頼は早い者勝ちなので、冒険者達の朝は早い。

 初心者向けの薬草採取は、初心者達のポイント稼ぎに良いので、すぐ無くなってしまうので、僕も早く来て依頼を受けるようにしている。

 僕には、まだ戦闘出来るだけのスキルもないから・・・。

 いつもの様に依頼書を持って、受付カウンターに向かう。
 受付窓口は3つあるんだけど、僕はいつもこのお姉さんの所に並ぶ。

 何故ならば・・・他の2つの窓口のお姉さんは僕に冷たいから・・・。
 何かした覚えもないんだけどな・・・。

 「イズール君、おはようございます。今日も薬草採取ですね」

 「おはようございます。はい、今の僕にはまだこれしか出来ないので」

 「ふふっ、まだ冒険者になって数日だもの仕方ないわ。これから頑張っていこうね」

 「はいっ!」

 受付のお姉さんは、リリーさんと言って、長い茶色の髪を後ろで一つに編んでいる美人さんだ。
 彼女は、良く冒険者達に声を掛けられているのを見かける。
 美人さんなので、良くナンパされているのだ。

 うんうん、ナンパする冒険者達の気持ちが分かるよー。
 お姉さん美人さんなのに、鼻にかける事なく、皆に優しいからね!

 初めて冒険者ギルドに来た時、普通にクマさんを両手で抱っこしてきたら、周りの冒険者達に迷子だと勘違いされたんだよね。
 そこで、冒険者達に囲まれて固まっていた僕に、リリーさんは話しかけてくれた。

 そして、迷子じゃなくて、冒険者登録しにきたと気付いて、受付カウンターまで案内してくれたんだ。
 周りの冒険者達は、僕をみて「あれが、冒険者になるのか?」「戦えないだろ」と話していたが、リリーさんは「気にしなくて良いのよ。冒険者なんて、誰に言われてやる物でも、誰に言われて辞める物でもないからね。好きにすればいいのよ」と言ってくれた。

 僕は、家を出て初めて優しくしてくれたリリーさんにポロリと涙が出てしまった。
 クマさんをぎゅっと抱きしめて、袖で涙を拭うと。
 
 「擦ったら、赤くなっちゃうわ。ほら、君のクマさんも心配しているわ」

 と言ってくれた。
 クマさんを笑う事なく、クマさんを僕のお友達としてみてくれていた。

 嬉しくて、僕は目に涙を溜めて微笑んだ。

 そしたら、お姉さんが「うーん・・・違う意味で君は危ないわね」と良く分からないことを言っていた。

 違う意味ってなんだろう?何と違うんだろう?
 確かに僕は他の冒険者とは違うと思うけど・・・。
 こんなにひょろっとした冒険者居ないよね。
 でも、頑張っても僕筋肉薄らとしか付かなかったんだよ!
 お兄様達と一緒に鍛錬したのに!まぁ、剣術の腕も無かったのだけれど・・・。
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