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16歳〜
ごめんなさい
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心配そうに見つめるルナとステラに、安心する様に微笑み頷く。
「ルナ、ステラ。私はサイラス様の馬車に同乗する事になったので、2人は乗ってきた馬車で先導して貰えるかしら?」
「「はい。畏まりました」」
そうして、私はサイラス様のエスコートで馬車に乗り込む。
すぐサイラス様が乗ってきて、隣に腰を掛けたと思ったら、腕を引かれ抱き締められる。
「サ、サイラス様っ!?」
首筋に顔を埋めたサイラス様の息が掛かり、体がピクリと反応してしまう。
「あぁ、温かい・・・フェリシア、生きていたんだね」
そういうと、抱き締めた腕に力を込めて、私の存在を確かめている様だった。
心配・・・させてしまったのよね。
なんて言えば良いのか言葉が出てこない。
暫くそうしていると、顔を上げ、私を見つめ・・・その視線が髪へと移る。
サラリと髪に指を滑らせ、直ぐに指から離れていく髪を名残惜しげに見つめる。
あぁ・・・サイラス様も私の髪が短くなったことを残念に思っているのね。
「色々聞きたいことはあるけど・・・今はフェリシアが生きている事を感じたいな」
んん?
既に、抱き締めて体温も感じ、生きてると実感したところでは・・・。
他に何を?と思考を巡らせていると、不意に顔を近付けて来たサイラス様に、驚き下がろうとしたところで、腰をガッチリと掴まれていて、そのまま唇を合わせる。
至近距離で見つめたサイラス様の瞳は、嬉しそうに目を細めながらも仄暗さが見え隠れしていた。
あれ、これ不味いのでは・・・。
胸に手を置き、力を入れてみるも、髪に滑らせていた手は後ろに回され、顔を逸らすことを許してはくれない。
私の力では、どうにも出来ないと思った時に、ふっとサイラス様が力を緩め、少し距離が出来る。
それでも、唇が触れ合うほど近い距離で見つめ合う。
恐らく、サイラス様は怒っていらっしゃる。
とりあえず、今までの事を謝らなければいけないと思う。
「サイラス様・・・あの・・・申し訳ありませんでした」
私が謝罪をすると、サイラス様は軽く触れるだけの口付けをし、にこりと笑う。
あ・・・懐かしい笑顔の圧。
「せめて・・・私には生きてることは教えて欲しかったな。ここで屋敷を構えて生活をしているということは、ラルフ様はご存じということだろう?」
「う”・・・はい。お父様が手配してくださいました。サイラス様にはご迷惑をお掛けする事になるので、婚約をかい「待った」・・・っ」
婚約解消の話をしようとしたところで、唇に指を押し当てられ、黙らされる。
「フェリシア。私達の婚約は解消されていない。フェリシアの17歳の誕生日に式を挙げる予定で、既に準備は整っているよ」
「えっ!?式の準備進めていたのですか?あの・・・その・・・死んだと思われなかったのですか?」
私の頬に指をするりと滑らせ、冷ややかな笑顔を浮かべる。
あれ・・・私・・・殺されないよね?
大丈夫?
「ラルフ様がフェリシア死亡の手続きをしていないしね。それに私がこの目でフェリシアの死を見届けた訳でもない。そんなもの認めるわけにはいかないんだよ。事実がどうであろうとね。だから、式の準備は生きているものとして進めていたよ」
「・・・・・・」
「既に、新居も出来上がっているからね。直ぐにでも一緒に暮らせるよ。式まで後1ヶ月程しか無いから、私が帰国するときにフェリシアも一緒に帰ろうね?新居を案内するよ」
「えっと・・・お父様に話をしなければいけませんし・・・」
「それなら、私からラルフ様に知らせを送ろう。一緒に暮らすのが少し早くなるだけだから問題無いだろう」
「サイラス様は、こちらには何の御用で?お忙しいのでは?」
「あぁ、父上の代わりに所用をね。まさかここでフェリシアを見つけるとは思わなかったから、父上の代わりに来て良かったよ。もう用は済んだから、帰るだけなんだよ。ね?丁度良いだろう?」
「えぇ・・・そうですわね」
そうして、我が家にサイラス様をご案内したけれど、直ぐに帰国の準備をされてしまい、一緒にそのまま帰国する事になった。
「ルナ、ステラ。私はサイラス様の馬車に同乗する事になったので、2人は乗ってきた馬車で先導して貰えるかしら?」
「「はい。畏まりました」」
そうして、私はサイラス様のエスコートで馬車に乗り込む。
すぐサイラス様が乗ってきて、隣に腰を掛けたと思ったら、腕を引かれ抱き締められる。
「サ、サイラス様っ!?」
首筋に顔を埋めたサイラス様の息が掛かり、体がピクリと反応してしまう。
「あぁ、温かい・・・フェリシア、生きていたんだね」
そういうと、抱き締めた腕に力を込めて、私の存在を確かめている様だった。
心配・・・させてしまったのよね。
なんて言えば良いのか言葉が出てこない。
暫くそうしていると、顔を上げ、私を見つめ・・・その視線が髪へと移る。
サラリと髪に指を滑らせ、直ぐに指から離れていく髪を名残惜しげに見つめる。
あぁ・・・サイラス様も私の髪が短くなったことを残念に思っているのね。
「色々聞きたいことはあるけど・・・今はフェリシアが生きている事を感じたいな」
んん?
既に、抱き締めて体温も感じ、生きてると実感したところでは・・・。
他に何を?と思考を巡らせていると、不意に顔を近付けて来たサイラス様に、驚き下がろうとしたところで、腰をガッチリと掴まれていて、そのまま唇を合わせる。
至近距離で見つめたサイラス様の瞳は、嬉しそうに目を細めながらも仄暗さが見え隠れしていた。
あれ、これ不味いのでは・・・。
胸に手を置き、力を入れてみるも、髪に滑らせていた手は後ろに回され、顔を逸らすことを許してはくれない。
私の力では、どうにも出来ないと思った時に、ふっとサイラス様が力を緩め、少し距離が出来る。
それでも、唇が触れ合うほど近い距離で見つめ合う。
恐らく、サイラス様は怒っていらっしゃる。
とりあえず、今までの事を謝らなければいけないと思う。
「サイラス様・・・あの・・・申し訳ありませんでした」
私が謝罪をすると、サイラス様は軽く触れるだけの口付けをし、にこりと笑う。
あ・・・懐かしい笑顔の圧。
「せめて・・・私には生きてることは教えて欲しかったな。ここで屋敷を構えて生活をしているということは、ラルフ様はご存じということだろう?」
「う”・・・はい。お父様が手配してくださいました。サイラス様にはご迷惑をお掛けする事になるので、婚約をかい「待った」・・・っ」
婚約解消の話をしようとしたところで、唇に指を押し当てられ、黙らされる。
「フェリシア。私達の婚約は解消されていない。フェリシアの17歳の誕生日に式を挙げる予定で、既に準備は整っているよ」
「えっ!?式の準備進めていたのですか?あの・・・その・・・死んだと思われなかったのですか?」
私の頬に指をするりと滑らせ、冷ややかな笑顔を浮かべる。
あれ・・・私・・・殺されないよね?
大丈夫?
「ラルフ様がフェリシア死亡の手続きをしていないしね。それに私がこの目でフェリシアの死を見届けた訳でもない。そんなもの認めるわけにはいかないんだよ。事実がどうであろうとね。だから、式の準備は生きているものとして進めていたよ」
「・・・・・・」
「既に、新居も出来上がっているからね。直ぐにでも一緒に暮らせるよ。式まで後1ヶ月程しか無いから、私が帰国するときにフェリシアも一緒に帰ろうね?新居を案内するよ」
「えっと・・・お父様に話をしなければいけませんし・・・」
「それなら、私からラルフ様に知らせを送ろう。一緒に暮らすのが少し早くなるだけだから問題無いだろう」
「サイラス様は、こちらには何の御用で?お忙しいのでは?」
「あぁ、父上の代わりに所用をね。まさかここでフェリシアを見つけるとは思わなかったから、父上の代わりに来て良かったよ。もう用は済んだから、帰るだけなんだよ。ね?丁度良いだろう?」
「えぇ・・・そうですわね」
そうして、我が家にサイラス様をご案内したけれど、直ぐに帰国の準備をされてしまい、一緒にそのまま帰国する事になった。
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