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11歳〜16歳
シアの行方は ※他視点
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【ヴィア視点】
シアとレストルームに行って、シアだけが行方が分からなくなってしまった。
各個室は防音になっているため、個室の外の物音は一切聞こえてこない。
すぐ近くにいたのに・・・シアが危険な目にあっていたのに、気付くことも出来なかった。
それからは、すぐに公爵様にも話が行き、騎士団総出で捜索が行われた。
お茶会は、騒然とし、すぐに解散となったが・・・すぐに会場を去ることが出来なかった。
私がここに残っていても出来ることは何も無い。
それは分かっているけれど・・・。
どうして、シアだけが・・・私もすぐ近くに居たのに!!
どうして私は気付けなかったの!!
溢れる涙は留まることを知らない。
マリアとリリアも顔を青ざめて、唇を震わせていた。
そんな彼女達も、その場に居合わせてしまった私を気遣い慰めてくれる・・・。
あぁ、シア。
あなたは今どこにいるの?
痛い思いはしていない?
シア、どうか無事でいて・・・。
◇ ◇ ◇
フェリシアの騎士達が誘拐の報告に行くために扉から離れ、すぐに使用人が2人レストルームへ入って行き、一つの木箱を運び出した。
高価で上品な布に覆われているため、木箱には見えず、まだフェリシアの誘拐が広まっていない為、疑うものは居ない。
誰にも気付かれず、何事も無かったかのように廊下を歩いていく。
門が厳重に締められる前に、外に運び出さなければならない。
王宮へ出入りをしている業者の馬車に紛れ込ませ、フェリシアを入れた木箱は王宮から去っていく。
木箱には、宛先となる邸の名前が書いてあり、その業者が次へ向かう邸でもある。
業者は、配達先の邸について、リストから荷物を運び出し、サインを貰っていると、1人の令嬢が出てきた。
令嬢が使用人と業者のやり取りに立ち会う事はまず無い。
不思議に思っていると、「この木箱はあちらに運んで」と声を掛けていた。
あの中身は令嬢のものなのだろうか。
わざわざここまで出てくるほど大事なものなのだろうなと、思いながら馬車に戻った。
◇ ◇ ◇
「後は、もう下がっていいわ」
彼女はそういうと、使用人達を下がらせて、待ち人が来るのを木箱を眺めながら待つ。
「この中に彼女がいるのね・・・ふふっ」
木箱を眺めながら、微笑む彼女を不気味に思いながら1人の男性が近寄ってくる。
「待たせたな。で、これが依頼のものか?」
「えぇ、そうなの。中を確認したいのだけど、私では開けることが出来ないから、貴方開けてくれるかしら?」
「ちょっと待ってな」
彼は、そういうと一度外に出て、バールを手に持って戻ってきた。
箱の中を傷付けない様に、慎重に開けると・・・長い黒髪が視界に入る。
「・・・彼女だわ。それでは、依頼通りお願い出来るわね?」
「金さえ貰えれば、依頼通りするだけだ。じゃ、こいつ貰っていくな」
そう言うと、フェリシアを木箱から出して、肩に担いで去っていった。
「はぁ、これで目障りな女はいなくなったわね。サイラス様ってば、なんで魔力も無いような女を婚約者になんてしたんだろう?市井で偶然出会い、その後王宮のお茶会で出会った時は、運命を感じたのに。私だけだったなんて言わないよね?きっと、フェリシア様のお父様とサイラス様のお父様が友人だったからサイラス様もきっと無下にできなくて、婚約者にしてあげたんだわ」
ーーこれで、サイラス様は自由。いつでも迎えにきてね。
シアとレストルームに行って、シアだけが行方が分からなくなってしまった。
各個室は防音になっているため、個室の外の物音は一切聞こえてこない。
すぐ近くにいたのに・・・シアが危険な目にあっていたのに、気付くことも出来なかった。
それからは、すぐに公爵様にも話が行き、騎士団総出で捜索が行われた。
お茶会は、騒然とし、すぐに解散となったが・・・すぐに会場を去ることが出来なかった。
私がここに残っていても出来ることは何も無い。
それは分かっているけれど・・・。
どうして、シアだけが・・・私もすぐ近くに居たのに!!
どうして私は気付けなかったの!!
溢れる涙は留まることを知らない。
マリアとリリアも顔を青ざめて、唇を震わせていた。
そんな彼女達も、その場に居合わせてしまった私を気遣い慰めてくれる・・・。
あぁ、シア。
あなたは今どこにいるの?
痛い思いはしていない?
シア、どうか無事でいて・・・。
◇ ◇ ◇
フェリシアの騎士達が誘拐の報告に行くために扉から離れ、すぐに使用人が2人レストルームへ入って行き、一つの木箱を運び出した。
高価で上品な布に覆われているため、木箱には見えず、まだフェリシアの誘拐が広まっていない為、疑うものは居ない。
誰にも気付かれず、何事も無かったかのように廊下を歩いていく。
門が厳重に締められる前に、外に運び出さなければならない。
王宮へ出入りをしている業者の馬車に紛れ込ませ、フェリシアを入れた木箱は王宮から去っていく。
木箱には、宛先となる邸の名前が書いてあり、その業者が次へ向かう邸でもある。
業者は、配達先の邸について、リストから荷物を運び出し、サインを貰っていると、1人の令嬢が出てきた。
令嬢が使用人と業者のやり取りに立ち会う事はまず無い。
不思議に思っていると、「この木箱はあちらに運んで」と声を掛けていた。
あの中身は令嬢のものなのだろうか。
わざわざここまで出てくるほど大事なものなのだろうなと、思いながら馬車に戻った。
◇ ◇ ◇
「後は、もう下がっていいわ」
彼女はそういうと、使用人達を下がらせて、待ち人が来るのを木箱を眺めながら待つ。
「この中に彼女がいるのね・・・ふふっ」
木箱を眺めながら、微笑む彼女を不気味に思いながら1人の男性が近寄ってくる。
「待たせたな。で、これが依頼のものか?」
「えぇ、そうなの。中を確認したいのだけど、私では開けることが出来ないから、貴方開けてくれるかしら?」
「ちょっと待ってな」
彼は、そういうと一度外に出て、バールを手に持って戻ってきた。
箱の中を傷付けない様に、慎重に開けると・・・長い黒髪が視界に入る。
「・・・彼女だわ。それでは、依頼通りお願い出来るわね?」
「金さえ貰えれば、依頼通りするだけだ。じゃ、こいつ貰っていくな」
そう言うと、フェリシアを木箱から出して、肩に担いで去っていった。
「はぁ、これで目障りな女はいなくなったわね。サイラス様ってば、なんで魔力も無いような女を婚約者になんてしたんだろう?市井で偶然出会い、その後王宮のお茶会で出会った時は、運命を感じたのに。私だけだったなんて言わないよね?きっと、フェリシア様のお父様とサイラス様のお父様が友人だったからサイラス様もきっと無下にできなくて、婚約者にしてあげたんだわ」
ーーこれで、サイラス様は自由。いつでも迎えにきてね。
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