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三章 精霊姫 側妃になる

子供たち

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 生まれて6ヶ月のアルフレッドとリリアーナとレオンハルトを連れて、庭園を散歩する。

 長男のレオンハルトは、2歳半になり、色んな事に興味津々の様で、すぐあちこち走り回ってしまうので、護衛や使用人達が転ばないか冷や冷やして見ているのが、面白い。

 2歳だから、頭が重くてすぐ転んじゃうのよね。

 一応、精霊たちも見てくれているから、転びそうになったらすぐフォローに入ってくれるので、ふわりと地面に倒れる感じになる。
 痛くないので、レオンハルトも泣くことはないけれど、いつも頭の中にハテナが浮かんでいるなーという表情をしている。

 転んだ時に、痛みを知るのも大事じゃないかな?と思いつつも、やっぱり痛い思いをさせるのは可哀想かなと思って、精霊たちがすることを特に注意することもなく見守っている。

 アルとリリは、四阿の日陰の中で、そよそよと吹く風が気持ち良いのか、大人しく寝ている。

 今はまだ寝て、食べてがお仕事の赤ちゃんだからね。

 「そういえば、子供たちには、あなた達の事は見えるけど、会話は出来るのかな?」

 『えー?会話?無理だよー!』

 『うんうん、無理だねー!無理ー!』

 『僕たちと会話が出来るのは、姫様だけだよー!』

 なる程。私しか会話が出来ないのね。
 他の人と意思の疎通はどうするのだろう。

 「ねぇ、姿は見えても、あなた達と会話が出来なければ、どうやって意思の疎通をするの?」

 『意志の疎通?必要ないよー』

 『うんうん、ないねー!』

 『僕たち、別に人間に伝えたいことなんてないからねー!』

 あー・・・なるほど。
 精霊達は自由だものね。
 人間に何かお願いされたからと言って、叶えてあげる義理も無いものね。

 「それでも、あなた達は、人間の話す言葉はわかるでしょ?それに反応することはないの?」

 『んー、時々花を咲かせて上げたりする位かなー』

 『僕は、水あげたりとかかなー』

 『僕は・・・あれ?何かしたことあったかなー?』

 大きな事はしないけど、些細なことは反応してあげたりするということかな。

 「我が子達も、あなた達と会話が出来ないのよね。出来たら良いのに・・・」

 『流石に、姫様の子でも姫様ではないから無理だねー!』

 『うんうん!でも、姫様の子だから、色々してあげちゃうかもー!』

 『精霊姫の子なんて貴重だよねー!時々助けてあげるよー!』

 「ふふっ、ありがとう。それなら安心出来るわ」

 四阿で精霊達と会話をしていると、レオンが私に向かって走ってくるのが見えた。
 椅子から立ち上がり、地面にしゃがみ込みレオンを受け止める体制に入る。

 私の胸にダイブするように、抱き付いてきたレオンをそのまま抱き上げる。

 「マー」

 「はい、ママですよ。今日も沢山動いてるわね」

 「ウー」

 「一杯動いたから、水分取りましょうね。それに、おやつにしましょうね」

 四阿の椅子に腰を掛けて、膝の上にレオンを座らせる。
 レオンも私に似たようで、ライチの果実水が好きで、他の果実水を勧めても全然飲もうとしない。
 
 ただ、果物は特に好き嫌いなく食べているので、果実水だけ変な拘りがあるのだなと思う。

 レオンとおやつを食べてのんびりと過ごしていると、水晶宮の結界内にヴァン様が入った気配がした。

 「リア、レオン、楽しそうだな。私も混ぜてくれるか?」

 「えぇ、勿論です。ヴァン様お疲れ様です」

 そうして、隣に座るのかと思ったら・・・レオンを膝に乗せたままの私を、そのまま自分の膝に乗せた。

 「・・・ヴァン様?」

 「ん?なんだ?」

 「レオンも乗せておりますし、重くないですか?」

 「レオンなんて、こんな小さいのに重さなんて感じるわけないだろ。それにリアの事はいつも膝に乗せているから、普通の事だろう?」

 「うっ、しかし、それはいつも2人だけの時でしたから・・・」

 「ははっ、子供の前では恥ずかしいか?」

 「えぇ、少し・・・」

 「仲良いところを見せてやれば良い。レオンもそれを見て育つ」

 そこがねー・・・なんとも言えないところなのよね。
 だって、私・・・側妃だからね!正妃じゃないのよ?分かってる?
 今回は、子が出来ないから側妃が必要とのことで、嫁いできたけれど、出来ればレオンには正妃となる相手とこんな関係を築いて欲しいなと思う。
 これで・・・レオンの正妃も子供が出来にくくて・・・なんて負のループになるのは避けたいわね。
 

 
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