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二章 精霊姫 人間界に降りる

それぞれの馬車へ乗り・・・

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 女性はドレスが幅を取るため、お義父様とお義母様、私とロイ義兄様で馬車を分けていく事になった。

 (先程からロイ義兄様の視線が痛い・・・)

 「・・・ロイ義兄様、そんなに見つめられては穴が空いてしまいそうです」

 「あぁ、リアが余りにも美しくてね・・・その唇に触れられないのが残念で仕方がないよ」

 そういって微笑むロイ義兄様。
 
 (ロイ義兄様こそ、麗し過ぎてドキドキしますけどー!)

 「化粧が落ちてしまうので、流石にそれは遠慮して頂きたいですね」

 「ふふっ、分かっているよ。でも・・・こんな美しいリアを見たら、令息達が心配だな」

 「令息達ですか?」

 「必ず誰かはダンスを申し込んでくるだろう」

 「ダンス・・・でも、夜会ならダンスは踊るものですよね?」

 「・・・リア?私以外の男と踊るつもりがあるとでも?」

 そう言って、目を細めるロイ義兄様の瞳は妖しく光って見えた。
 反論は許さないとでも言うように、私を見つめるロイ義兄様に何も言えずに、会場に着くまで見つめあったままだった。

 ◇ ◇ ◇

 会場に着くと、控室に案内された。
 夜会デビューする令嬢と令息は、会場に入る際に名前を読み上げられ、会場入りをする。
 成人をし、今日から皆の仲間入りをすると認識して貰う為だ。

 私とロイ義兄様が控室に入ると、騒ついていたのが嘘のように静まり返った。

 (・・・なんか注目されている気がする)

 令嬢達はロイ義兄様を見て頬を染めて、令息は・・・あぁ、私か。
 そうだった。忘れてたけど、美少女に転生したんだったわ。

 ロイ義兄様が心配していた通り、私は令息達の熱い視線を浴びていた。
 これは・・・ダンス誘われちゃうよね。
 でも、それはロイ義兄様が許さないから、きっとロイ義兄様がどうにかするはず。

 ロイ義兄様こそ、デビューの令嬢達からダンスに誘われるんじゃないのかな。
 こんなに格好良いんだもん。
 それでも、ロイ義兄様がそれらの申し出を受けないと分かっているから、夜会を楽しむことだけを考えよう。

 徐々に、名前が呼ばれていき、控室にいる人数も減ってきていた。
 そろそろ私たちが呼ばれる番だ。

 ロイ義兄様の腕に手を回し、エスコートを受ける。

 アナウンスをされ、扉の中に入る。

 眩い光が降り注ぐ様に、夜とは思えないほど華やかで明るい会場だった。

 
 
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